日本の企業が、経済大国のアメリカに商標出願することは多いです。
日本とは異なり、アメリカには使用宣誓書制度があるので、注意です。
この記事を読めば、アメリカの使用宣誓書の概要が分かります。
また、どのような使用証拠を、いつ提出すべきか、教えます。
・すみや商標知財事務所の代表弁理士(登録番号18043)が執筆しています
・商標専門の弁理士として、12年以上、働いています
・これまで、多くのアメリカの商標出願を手伝い、アメリカの商標制度を学びました
・初心者向けに分かりやすく説明するのが、得意です
アメリカでの商標の使用宣誓書について
日本では、登録によって、商標権が発生します。
一方、アメリカでは、商標を使用することで、権利が発生します。
このような制度を「使用主義」と言います。
使用主義のもと、アメリカでは、商標を使用していることが重視されます!
そのため、アメリカで商標出願すると、実際に商標を使用している証明(使用宣誓書)を定期的に提出する必要があります。
もし、使用宣誓書を提出しないと、商標登録が認められなかったり、商標登録が取り消されます。
アメリカでの商標の使用宣誓書に記載する内容と添付物
使用宣誓書には、使用している全ての指定商品・役務を記載します。
また、アメリカでの使用証拠も添付します。
なお、区分ごとに、1つの使用証拠を提出すれば、認められます。
アメリカでの使用証拠の例は、以下の通りです。
- 商標が付された商品の写真・カタログ
- 商標が付されている商品ラベル・タグの写真
- 商標と関連する広告・ウェブサイト(役務の場合)
米国特許商標庁(USPTO)のホームページでは、以下の通り、使用証拠を例示しています。
なお、商品に関する使用証拠の方が、役務(サービス)に比べて、厳格に審査されますので、注意しましょう。
アメリカでの使用証拠を提出する必要があるので、関連資料をきちんと保管しましょう
アメリカでの商標の使用宣誓書の提出時期
アメリカでは、商標出願の方法が、いくつかあります。
例えば、アメリカでの実際の使用に基づいて商標出願することもできます。
また、日本での商標登録を基礎にして商標出願することもできます。
出願方法によっては、商標登録前でも、使用宣誓書の提出が要求されますので、注意しましょう。
以下のようなケースでは、商標登録前の使用宣誓書の提出が要求されます。
アメリカでの実際の使用もしくは使用意思に基づき、商標出願した場合、商標登録前に使用宣誓書の提出が要求されます
なお、マドプロ出願でアメリカを指定した場合も、出願時に、使用宣誓書の提出が必要ですが、使用証拠の提出は不要です。
いずれの出願方法でも商標登録になった後、定期的に使用宣誓書の提出が要求されます。
具体的には、以下のタイミングで、使用宣誓書の提出が必要です。
- アメリカでの登録日から、5年目~6年目の間
- アメリカでの登録日から、10年ごと、更新申請のタイミング
アメリカで商標登録したら、使用宣誓書の提出期限を正確に把握して、きちんと期限管理することが重要です!
アメリカの使用宣誓書制度の注意点(抜き打ちチェック)
指定商品・役務のうち、実際に使用していないものについては、削除することをお勧めします。
削除せずに宣誓書を提出すると、宣誓した内容に虚偽があったことになり、将来、商標登録が取り消される危険性があります。
また、登録後の使用宣誓書に対しては、AUDITプログラムが採用されて、無作為に抜き打ちチェックが行われます。
1区分のうち、1つの指定商品・役務の使用証拠で十分ですが、抜き打ちチェックに選べると、追加の使用証拠の提出が要求されます。
AUDITプログラムに選ばれて、期限内に通知(Office Action)に応答しないと、商標登録、全体が取り消されるので、注意です!
もし、使用証拠が提出できなかった場合には、不使用の指定商品・役務を削除する必要があります。
なお、AUDITプログラムについて、こちらのUSPTO(米国特許商標庁)のホームページで詳しく紹介しています。
使用宣誓書の提出義務のもとでのアメリカ商標出願の戦略
使用宣誓書を提出できないと、商標登録が認められなかったり、商標登録が取り消されます。
アメリカは、使用主義を採用していて、商標の使用を重視していますので、止むを得ません。
再度、商標登録を取得したい場合には、アメリカで再出願することが考えられますが、追加コストが掛かります。
アメリカで商標を使用していないと、結局、商標登録を維持・取得できません。アメリカでの事業計画に沿って、アメリカの商標出願を検討しましょう!
コストを節約するため、アメリカで事業展開の見通しが立つまで、アメリカでの商標出願を控えることも考えられます。
アメリカの商標制度が分からければ、経験のある弁理士に相談しよう!
アメリカの商標制度は独特で、分からないこともあるでしょう。
そのような場合には、まずは、アメリカでの商標実務の経験がある日本の弁理士に相談しましょう。
ちなみに、筆者(すみや商標知財事務所)にご相談いただければ、アメリカの代理人と連携しながら、検討・対応します。
業界では珍しい「商標専門」の弁理士
・実際に商標を使用している証明(使用宣誓書)を定期的に提出する必要があり、提出しないと、商標登録が取得できなかったり、権利が失効します
・使用宣誓書には、商標が付された商品の写真・カタログなど、アメリカでの使用証拠を添付します
・商標登録後に、定期的に、使用宣誓書の提出が要求されます。また、出願方法によっては、商標登録前にも、使用宣誓書の提出が必要になります