筆者は、13年以上、商標専門の弁理士として働いてきました。
しかし、恥ずかしながら、2024年4月に大手特許事務所から独立・開業して、「さくっと書類作成」というツールを知りました。
そこで、実際に「さくっと書類作成」を利用してみて、商標登録の願書を作成しました。
この記事を読めば、「さくっと書類作成」の利用方法が分かります。
また、実際に利用してみた感想と「さくっと書類作成」を利用すべき人を教えます。
「さくっと書類作成」とは
「さくっと書類作成」は、特許庁が2020年12月から提供している書類作成支援ツールです。
「さくっと書類作成」を使えば、ブラウザの画面に入力するだけで、電子出願用の一部の書類を作成できます。
具体的には、商標に関する以下の書類を作成できます。
- 商標登録願
- 地域団体商標登録願
- 早期審査に関する事情説明書
- 商標登録料納付書
また、ブラウザの画面に入力する形式なので、ソフトをダウンロードする必要はありません。
「さくっと書類作成」で商標登録の願書を作ってみた!
実際に、「さくっと書類作成」を使ってみました。
今回は、筆者(角谷 健郎)の個人名義で、自分の事務所名「すみや商標知財事務所」の商標登録の願書を作成します。
その場合には、以下のステップで、「さくっと書類作成」を利用して、商標登録の願書を作りました。
まずは、「さくっと書類作成」に電子出願ソフトサポートサイトからアクセスします。
リンク先ページの「さくっと書類作成を開く」のボタンをクリックしてください。

はじめて使う時や初期化した後は、「パスワードの設定」がでます。

パスワードを設定した場合、「さくっと書類作成」を起動時にパスワード認証します。
筆者は、お試し利用なので、パスワードを設定しませんでした。
なお、後から変更して、パスワードを設定することもできます。
「書類をつくる」のタグから、対象の書類を選びましょう。
商標登録の願書なので、「四法」は「商標」を選択し、「作成書類」は「商標登録願」を選択します。
「新規作成」をクリックすれば、次のページに進みます。

次に、出願人の情報を入力します。
個人もしくは法人を選び、氏名(名称)や住所を記載します。
なお、法人の場合には、代表者の氏名を記載します。
今回、個人の名義なので、以下の通り、入力しました。

なお、「識別番号」は、初めて商標出願した場合に、特許庁から付与されます。
筆者は、識別番号が付与されているので、「住所又は居所」の欄を省略できます。
商標登録する商標を入力します。
今回、文字商標での商標登録を希望しているので、「種類」は「標準文字」を選択します。
また、「登録する商標」には、「すみや商標知財事務所」と入力します。

なお、ロゴや図形を商標出願したい場合、「種類」は「平面」を選択し、対象のデータをアップロードしましょう。
商標登録する「区分」を選択し、具体的な「商品・役務名」を記載します。
弁理士業の属する区分の「45類」を選択し、「商標に関する手続の代理」など、具体的な「商品・役務名」を記載しました。

商標登録する「区分」の決め方については、以下の記事で、紹介しています。
また、「商品・役務名」の決め方については、以下の記事で、紹介しています。
次に、手数料の納付方法や納付金額を入力します。
筆者が、普段、利用している「クレジットカード納付」を選択し、1区分の場合の印紙代(納付金額)の「12000」円を入力します。

なお、納付方法については、以下の記事で紹介していますが、ポイントが付いて、お得な「クレジットカード納付」をオススメしています。
作成した書類を確認します。
これまで入力した情報をもとに、確認画面が表示されますので、内容に間違いがないか、確認しましょう。
問題なければ、「編集終了」をクリックします。

最後に、書類名を付けて保存します。
今回は、「名称」を「テスト用」として、「はい」をクリックして、保存しました。

これで商標登録の願書の作成は、完了なので、インターネット出願ソフトを使って特許庁へ電子出願します。
「さくっと書類作成」で商標登録の願書を作った感想
実際に利用してみて、「さくっと書類作成」は、かなり便利でした。
一方、「さくっと書類作成」に対して、不満に思うこともありました。
筆者が感じた「さくっと書類作成」のメリット・デメリットを紹介します。
初心者でも、分かりやすく操作できる
初めて、「さくっと書類作成」を利用しましたが、迷うことがありませんでした。
初心者でも、分かりやすく操作できるよう、「さくっと書類作成」は工夫されています。
ソフトをダウンロードせずに、利用できる
ソフトをダウンロードするのは、面倒です。
しかし、「さくっと書類作成」は、ソフトをダウンロードせずに、利用できます。
電子出願にしか、対応していない
「さくっと書類作成」は、電子出願用の願書しか、作成できません。
つまり、郵送する場合の紙での出願用の願書には、対応していません。
代理人による出願には、対応していない
「さくっと書類作成」は、個人事業主・中小企業向けのサービスです。
そのため、代理人による商標出願を想定して、設計されていません。
弁理士が、日常的に使用するのには、向いていないです。
「さくっと書類作成」を利用すべき人
以下の3つの条件を満たす人であれば、「さくっと書類作成」の利用をお勧めします。
- インターネット出願ソフトをインストロールしている
- あまり商標出願した経験がない
- 音や色などの特殊な商標ではなく、文字・ロゴ・図形の商標登録を希望している
「さくっと書類作成」は、電子出願にしか対応していません。
インターネット出願ソフトをインストールするのは、結構、手間が掛かります。
わざわざ1件の商標登録のために、出願ソフトをインストールするのは、お勧めできません。
一方、インターネット出願ソフトをインストロールしていれば、電子出願でき、「さくっと書類作成」を利用できます。
商標出願の経験が豊富であれば、「さくっと書類作成」を利用せずに、商標登録の願書が作れるでしょう。
一方、初めて商標出願する方や商標出願の経験がほとんどない方には、「さくっと書類作成」をお勧めします。
直感的に操作できるので、簡単に、商標登録の願書を作成できます。
音や色などの特殊な商標には、「さくっと書類作成」では対応できません。
一方、文字・ロゴや図形など、一般的な商標であれば、「さくっと書類作成」で対応できます。
特殊な商標でなければ、「さくっと書類作成」の利用を検討しましょう。
「さくっと書類作成」のよくある質問(FAQ)
以下は、読者の方が迷いがちな実務上の疑問に対して、簡潔に答えたFAQです。
記事本文と合わせてご活用ください。
願書の形式は整いますが、審査結果は別です。
「さくっと書類作成」は願書の体裁・形式を整えるのに非常に便利ですが、審査官が内容を審査する基準に適合するかは別問題です。
特許庁の審査では、指定商品・役務の適正さや類似・識別性の判断がされるため、形式が整っていても拒絶理由が出ることがあります。
「さくっと書類作成」は願書作成ツールであり、調査や戦略設計は含まれません。
無料ツールは形式作成に適していますが、例えば、以下は含まれません:
・先行商標の網羅的調査
・類似性判断・拒絶リスクの評価
・指定商品・役務の戦略設計
・拒絶対応(補正・意見書作成)
これらは専門的判断が必要なステップですので、重要な名称や戦略的出願では専門家に依頼するのが安心です。
はい、出願前であれば修正可能です。
願書作成ツール上で再編集し、最新の内容で出願することができます。
ただし、出願後(特許庁に受理された後)は、商標登録する商標は、原則、補正できず、また、指定商品・役務も、要旨を変更する補正は認められません。
「さくっと書類作成」は書類作成に特化したツールであり、商標調査はできません。
商標調査は、先行権利・類似・識別性などを評価する工程であり、専門的スキルが必要です。
プロの判断や網羅性のある調査を併せて行うのがリスク回避につながります。
拒絶理由通知が来た場合には、補正や意見書を作成する必要があります。
「さくっと書類作成」は願書の作成支援ですが、拒絶対応(意見書・補正書作成)は含まれていません。
この段階では、専門家(弁理士)による対応が効果的なケースが多いため、早めの相談が安心です。
【まとめ】「さくっと書類作成」は名器ですが、設計図を書くのはあなた自身です!
・「さくっと書類作成」を利用すれば、登録する商標、商標登録する区分と商品・役務名、出願人の情報などを入力するだけで、商標登録の願書が簡単に作成できます
・初心者でも、分かりやすく操作でき、ソフトをダウンロードせずに、利用できます。ただし、電子出願にしか対応しておらず、また、代理人による出願にも対応していません
・あまり商標出願した経験がなく、インターネット出願ソフトをすでにインストロールしている人には、「さくっと書類作成」の利用をお勧めします
このツールは、形式ミスを防ぐには最高です。
しかし、入力した「商品名」が他社と被っていないか、選んだ「区分」があなたの将来のビジネスをカバーできているかまでは教えてくれません。
せっかく「さくっと」出した出願が、数ヶ月後に「拒絶理由通知」という地雷を踏んでしまっては、時間も費用も台無しです。
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