「ワールドカップ」という名称は、誰もが知っている言葉です。
実は、この言葉を含んだ「〇〇ワールドカップ」という名称が、さまざまな団体や企業によって商標登録されていることをご存じですか?
同じような名前でも、各々、商標登録されている、つまり、商標登録がすみ分けられています。
本記事では、「ワールドカップ」の実例をもとに、商標登録のすみ分けの仕組みと注意点を説明します。

・すみや商標知財事務所の代表弁理士(登録番号18043)が執筆しています
・商標専門の弁理士として、13年以上、働いています
・商標登録に関する相談を、多数、受けています
・初心者向けに分かりやすく説明するのが、得意です
ワールドカップとは
あなたは、「ワールドカップ」と聞いて、どのようなイベントを思い浮かべますか?
多くの人は、サッカーの世界大会のワールドカップを思い浮かべるでしょう。

ただ、ラグビー好きの人は、ラグビーのワールドカップを想起するかもしれません。

さらに、2023年には、日本でも、バスケットボールのワールドカップが開催されて、盛り上がりました。

バスケットボールのワールドカップを想起する人もいるかと思います。
その他の世界的なイベントの名称にも、「ワールドカップ」が使用されています。
それでは、「ワールドカップ」の商標は、誰のものでしょうか?

「ワールドカップ」の語が使用された世界大会のイベント名称は、いくつもあります
サッカーなどのスポーツイベントの「ワールドカップ」の商標登録
スポーツイベントの名称として、「ワールドカップ(World Cup)」を含む登録商標が、いくつも存在します。
以下、スポーツイベントの分野での商標登録の一例になります。






なお、「FIFA」は、国際サッカー連盟の略称です。
登録商標「FIFA WORLD CUP」は、サッカーのワールドカップです。
「ワールドカップ」だけでは、どのスポーツの大会か、判断できない
サッカーのワールドカップの「FIFA WORLD CUP」が、最も有名でしょう。
しかし、サッカー以外にも、様々なスポーツ・競技の「ワールドカップ」の名称が、併存して、商標登録になっています。
つまり、「ワールドカップ」の語だけでは、どのスポーツの大会か、判断できません。
スポーツの名称や団体名と組み合わせることで、どこが主催する何の国際大会か、判断できます。
よって、「ワールドカップ」の商標は、誰のものでも、ありません。

スポーツイベント分野で、「ワールドカップ」単体での商標登録はないのですか?

「ワールドカップ」単体での商標登録はありません。スポーツの名称や団体名を組み合わせることで、商標登録が併存しています!
その他のイベントの「ワールドカップ」の商標登録
娯楽などのイベントの分野でも、「ワールドカップ(World Cup)」を含む登録商標が、いくつも存在します。
以下、娯楽などのイベント名称での商標登録の一例です。





娯楽などのイベントの分野でも、「ワールドカップ」だけでは、何の大会か、判断できません。
他の単語と組み合わせることで、各社の商標が、併存して、商標登録になっています。

娯楽などのイベントの分野でも、「ワールドカップ」単体での商標登録はなく、「ワールドカップ」を含む商標が併存して、登録になっています
ワールドカップから考える「商標登録のすみ分け」
「ワールドカップ」の語は、様々な分野で「世界大会」の意味合いで使用されています。
「ワールドカップ」だけでは、人によって、思い浮かべる大会も違うので、誰の商標でもありません。
「FIFA」などの団体名や「RUGBY」(ラグビー)などの競技名を組み合わせることで、商標登録がすみ分けられています。
このように、他の単語・言葉を組み合わせることで、商標登録が併存している事例が多々あります。
あなたが商標出願を検討している場合、社名や団体名を組み合わせることで、先行商標で区別できるかもしれません。
商標登録の併存状況が、先行商標と区別できるかの1つの目安になります。
データベース「J-PlatPat」を利用して、チェックしてみましょう。

実務上、社名や団体名を付けることで、商標登録を取得することは、よくあります
ワールドカップ関連の商標登録の「よくある質問」(FAQ)
以下は、読者の方が迷いがちな実務上の疑問に対して、簡潔に答えたFAQです。
記事本文と合わせてご活用ください。
はい、組み合わせ方や使用される商品・サービスの区分によっては、一般的な語でも商標登録が可能です。
ただし、サービスの直接的な内容表示に過ぎない場合、商標登録が認められません。
必ずしもそうとは限りません。
指定商品・役務と類似しない場合や、混同のおそれがないと判断される場合には、使用が許されることもあります。
ただし、判断が難しいため、専門家への事前相談をお勧めします。
まずは既に商標登録されていないかを調査する必要があります。
調査の方法については、以下の記事で紹介しています。

すでに商標登録されている場合は使用許諾を得る必要があり、無断使用はリスクを伴います。
許可を得る、別名称を考える、または使用が可能かを慎重に判断する必要があります。
はい、可能です。
例えば「ワールドカップ」関連の商標が、スポーツイベント(第41類)と関連グッズ(第25類や第28類など)に登録されているケースがあります。
ただし、その分、費用は高くなります。
基本的には可能です。
ただし、公序良俗や著名商標の不正取得と判断される場合には、商標出願が拒絶される危険性があります。
また、国際的に権利を管理している団体が、すでに商標登録していることも多いです。
著名商標に類似した商標を使用することは、たとえ区分が違っていても「著名商標の希釈化」や「不正競争行為」として問題になることがあります。
許可なしでの使用は非常に慎重にすべきです。
商標権侵害が認められた場合、差止請求や損害賠償請求を受けます。
さらに、悪質な場合は刑事罰を受ける可能性があります。
【まとめ】「商標登録のすみ分け」で分からないことがあれば、商標専門の弁理士に相談!
・「ワールドカップ」の語を使用した世界大会の名称は、いくつも存在します
・「ワールドカップ」だけでは、どのイベントを指しているか、分からず、ワールドカップの商標は誰のものでもありません
・実際、団体名や競技名を「ワールドカップ」の語と組み合わせることで、商標登録がすみ分けられています
「商標登録のすみ分け」で分からないこともあるでしょう。
もし、分からないことがあれば、商標専門の弁理士に相談しましょう。

なお、筆者(角谷 健郎)にご相談いただければ、親身になって、一緒に検討します。
事務所HPからもご相談いただけますが、以下のフォームからも簡単にお問い合わせいただけます。