「菌活」第二事件の審決例紹介

まとめ

・商標登録の取り消しが認められず、「菌活」第一事件の審決例とは、正反対の判断が下されました

・「菌活」が登録商標である旨、記載していたことが、有利に働いたものと考えます

・🄬マークなどで商標登録表示することのメリットを示した事例になります

事件の概要

商標の実務で、参考になる判例・審決例を紹介していきます。

今回は、審判番号が取消2017-300140の「菌活」第二事件の審決例を紹介します。

まず、事件の概要を説明します。

本件の被請求人であるホクト株式会社は、標準文字の「菌活」の商標登録を保有していました。

(商登第5639700号)

これに対して、本件の請求人は、以下の29類の指定商品についての商標登録の取り消しを求めて、不使用取消審判が請求しました

きのこ入りカレー,きのこ入り即席カレー,きのこ入りシチュー又はスープのもと など

商標登録の部分的な取り消しが認められるか否か、争ったのが本件になります。

特許庁の判断

被請求人は、エリンギなどを原材料とするレトルトカレーの商品「ホクト エリンギカレー」を販売していました。

商品の包装箱の裏面は、以下の通りになります。

裏面には、3箇所に「菌活」の文字が記載されています。

被請求人は、このような証拠資料をもって、登録商標「菌活」を使用している旨、主張しました。

結論としては、特許庁の審判官は、被請求人の主張を認め、本件審判の請求は成り立たないと判断しました

まず、「菌活」は、一般的な辞書には掲載されておらず、造語になります。

そして、「菌活」が本件商標権者の所有する登録商標である旨の表示がされています。

つまり、包装箱の裏面に、「『菌活』はホクト(株)の登録商標です。」と記載されています

そうすると、包装箱に接する者は、その裏面の「菌活」の文字が、商標権者の所有する登録商標であることを看取・把握できると審判官は判断しました。

よって、カレーの包装箱には、登録商標と社会通念上同一と認められる商標が付されていたとのことです。

以上より、商標権者が、指定商品中「きのこ入りカレー,きのこ入り 即席カレー」について、登録商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していると判断しました。

審決例から学べること

以下の記事で紹介した「菌活」第一事件の審決例とは、正反対の判断が下されました

本件では、「菌活」が登録商標である旨、記載していたことが、商標権者に有利に働いたものと考えます。

商標登録後に、登録商標に🄬マークを付けて、商標が登録であることを表示することが多々あります。

積極的に商標登録表示することで、本件のように、不使用取消審判において、メリットがあるかもしれません。

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