「Always Coca-Cola」事件の判例紹介

まとめ

・「Always Coca-Cola」の使用について、「オールウエイ」の商標権を侵害するか、問題となりました

・結論としては、「Always Coca-Cola」はキャッチフレーズとして認識されて、商標としての使用に該当しないので、商標権を侵害しないと判断されました

事件の概要

商標の実務で、参考になる判例・審決例を紹介していきます。

今回は、東京地方裁判所の平成9年(ワ)第10409号の判決、いわゆる「Always Coca-Cola」事件の判例を紹介します。

まず、事件の概要を説明します。

原告は、以下の登録商標「オールウエイ」の商標権者です。

(商登第1643930号、URL: https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/TR/JP-1981-012358/40/ja)                                           

一方、被告であるコカ・コーラ社は、以下の通り、「Always Coca-Cola」と記載されたコカ・コーラの缶を製造・販売していました。

これに対して、原告が、自己の商標権に基づき、被告行為の差し止めと損害賠償を求めて、裁判所に提起しました。

裁判所の判断

被告の行為は、原告の商標権の侵害に該当するでしょうか?

結論から言えば、原告の商標権を侵害しないとして、裁判所は原告の請求を棄却しました

過去、コカ・コーラ社は、「Come on i n.Coke」や「I feel Coke.」等の様々なキャッチフレーズによるキャンペーンが実施されてきました。

「Always Coca-Cola(オールウェイズ コカ・コーラ)」のキャッチフレーズは、これらのキャンペーンの一環として、平成5年から長期間にわたり、大規模に広告宣伝活動が行われました。

「Always Coca-Cola」は、ごく短い語句ですが、いつもコカ・コーラを飲みたいとの気持ちを抱くというような、商品の購買意欲を高める効果を有します。

よって、コカ・コーラの缶に記載された「Always」(オールウェイズ)は、コカ・コーラ社がグループとして実施している、販売促進のためのキャンペーンの一環であるキャッチフレーズの一部であると認識されます

つまり、商品を特定する機能、もしくは、出所を表示する機能を果たす態様で用いられているものとはいえないので、商標としての使用に該当せず、原告商標の権利侵害に該当しないと、裁判所は判断しました

判例から学べること

商標としての使用に該当するか否かが、争点になりました。

以下のような判例も、同様の点が争いになりましたので、併せて、ご参照ください。

本件では、キャッチフレーズに該当するとして、商標として機能しないので、商標としての使用に該当しないと判断されました。

ただ、キャッチフレーズに該当するか、判断が難しいです。

このような問題に直面した場合、弁理士などの専門家に相談することをお勧めします

ちなみに、筆者(すみや商標知財事務所)にご相談いただければ、親身になって、一緒に検討します。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です