商標「Reebok ROYAL FLAG」の判例紹介

まとめ

・本願商標「」と引用商標「」が類似しないと裁判所が判断しました

・商標から一部分が分離・抽出して認識されるか否か、判断する際には、識別力の強弱が考慮されます

・ただ、現状、画一的に判断するのは難しいので、商標の類否の判断に迷うようであれば、弁理士などの専門家に相談しましょう

事件の概要

商標の実務で、参考になる判例・審決例を紹介していきます。

今回は、知的財産高等裁判所の平成27年(行ケ)第10159号の判決、いわゆる「Reebok ROYAL FLAG」商標の判例を紹介します。

まず、事件の概要を説明します。

原告は、「履物」などの商品を指定して、以下の商標を出願しました。

(商願第2013-051911号)

しかし、特許庁の審査において、本願商標が、以下の先行商標と類似するとして、本件の商標出願が拒絶されました。

(商登第5532571号)

この判断に対して、拒絶査定不服審判を請求しましたが、判断が覆らず、拒絶査定が維持されました。

原告(出願人)が、この審決の取り消しを求めて、訴訟を提起したのが、本件になります。

裁判所の判断

あなたは、本願商標「」と引用商標「」が類似すると思いますか?

つまり、本願商標「」から、「ROYAL FLAG」の文字が分離・抽出して、認識されるでしょうか?

結論から言えば、本願商標の構成のうち、「ROYAL FLAG」の文字部分だけを抽出すべきではなく、本願商標と引用商標は類似しないと、裁判所は判断しました

まず、本願商標中の「Reebok」の文字部分は、原告の商号の略称又は展開するブランドの名称として、需要者の間に広く認識されていたと裁判所は認定しました。

よって、「Reebok」の文字部分は、商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えると判断しました。

一方、本願商標中の「ROYAL FLAG」の文字部分については、外観上、他の文字や図形よりも、小さく記載されていて、また、「ROYAL」・「FLAG」という一般的な英単語をつないだものに過ぎません。

よって、「ROYAL FLAG」の文字部分は、自他商品を識別する機能が全くないわけではないが、「Reebok」の文字部分との対比において、出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものではないと裁判所は考えました。

このような状況から、本願商標は、全体として一体的に観察するか、もしくは、出所識別標識として強く支配的な印象を与える「Reebok」の文字部分を抽出して認識すると判断しました。

つまり、本願商標から、「ROYAL FLAG」の文字が分離・抽出して、認識されないと考えました。

外観、称呼及び観念において相違するとして、本願商標「」と引用商標「」が類似しないと裁判所は判断しました。

判例から学べること

この判例から分かるように、商標から一部分が分離・抽出して認識されるか否か、判断する際には、識別力の強弱が考慮されます

ただ、判例・審決例によって、判断が分かれていて、画一的に判断するのが難しいのが現状になります。

「Reebok」のような、いわゆるハウスマークを付加した登録商標は、多数、存在します。

あなたが先行商標を調べてみて、このような問題に直面した場合には、判断が難しいので、できれば、弁理士などの専門家に相談することをお勧めします

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