【よくある質問】色違いのロゴも、それぞれ商標登録すべき?

商標専門の弁理士として、12年以上、働いていると、よく受ける質問があります。

その1つが、「色違いのロゴも使う場合には、それぞれ商標登録すべきか?」です。

そこで、商標の専門家である筆者が、お客様から頻繁に受ける質問にお答えします。

以下のような人に読んでほしい!

・ロゴの商標登録を検討している人

・場面に応じて、様々な色で、ロゴを使用している人

・効果的かつコスパ良く、商標登録を取得したい人

この記事を読めば、色違いのロゴも商標登録すべきか、分かります。

また、原則、色違いの商標登録は必要ない3つの理由例外的に色違いの商標も商標登録すべき2つのケースを、教えます。

【結論】メインの色のロゴのみ、商標登録すれば、十分!

結論としては、基本的には、メインの色のみ、商標登録すれば、十分です。

代表的な理由は、以下の3つです。

  • 色違いのロゴを他者が使った場合、権利行使できる可能性が高い
  • 条件を満たせば、色違い商標でも、登録商標と同一の商標と取り扱われる
  • 不使用取消審判が請求されても、色違いのロゴの使用で対抗できる

色違いのロゴを他者が使った場合、権利行使できる可能性が高い

登録商標と類似していれば、商標権を行使できます。

色違いのロゴは、メインの色のロゴと類似する可能性がかなり高いです。

よって、色違いのロゴであれば、基本的に、メインの色の商標権をもとに、権利行使できます

条件を満たせば、色違い商標でも、登録商標と同一の商標と取り扱われる

商標法70条1項は、以下の通り、規定しています。

第二十五条、第二十九条、第三十条第二項、第三十一条第二項、第三十一条の二第一項、第三十四条第一項、第三十八条第一項第二号若しくは第三項から第五項まで、第五十条、第五十二条の二第一項、第五十九条第一号、第六十四条、第七十三条又は第七十四条における「登録商標」には、その登録商標に類似する商標であって、色彩を登録商標と同一にするものとすれば登録商標と同一の商標であると認められるものを含むものとする。

つまり、以下の2つの条件を満たせれば、色違い商標が、登録商標と同一の商標と認められます。

  • 登録商標に類似する
  • 色彩を登録商標と同一にすれば、登録商標と同一の商標になる

不使用取消審判が請求されても、色違いのロゴの使用で対抗できる

商標登録を取り消せる、不使用取消審判という制度があります。

詳しくは、以下の記事で、ご参照ください。

簡単に言えば、登録商標を使用していないと、商標登録が取り消される危険性があります。

しかし、商標法上、色彩が、多少、異なっていても、登録商標と、社会通念上、同一の商標を使用しているとして、商標登録を維持できます

色違いのロゴをそれぞれ商標登録するデメリット

色違いのロゴをそれぞれ商標登録するデメリットは、コストが高額になることです。

色違いのロゴをそれぞれ商標登録するためには、何件も商標出願する必要があります。

虎さん
虎さん

高額なコストが掛かる割に、商標権の範囲が大きく広がるわけではないので、正直、コスパが悪いです!

メインの色のロゴのみ、商標登録している例(SONYのケース)

日本を代表する企業のソニーは、以下の企業ロゴを商標登録しています。

商登第6765799号

この企業ロゴは、製品やホームページなどで、様々な色で使用されています。

(ソニー株式会社の公式ホームページより)
(ソニー株式会社の公式ホームページより)
(商品「デジタルカメラ VLOGCAM」の公式ホームページより)
(商品「XPERIA」の公式ホームページより)

しかし、ソニーは、メインの色の白黒ロゴの商標登録しか、取得していません。

例外的に、色違いのロゴも商標登録した方がいいケース

コストも掛かるので、基本的には、メインのロゴのみ、商標登録すれば、十分です。

しかし、例えば、以下のようなケースであれば、例外的に、色違いのロゴも商標登録することをお勧めします

  • とても単純な図形で、色彩が大きな特徴となっている場合
  • 色違いのロゴも、頻繁に使用して、とても重要な場合

とても単純な図形で、色彩が大きな特徴となっている場合

とても単純な図形で、色彩が大きな特徴となっている場合、色彩の違いにより、印象が大きく異なります。

例えば、以下の金メダルをモチーフとして、商標登録したとします。

一方、以下の色違いのロゴも、使用したとします。

シンプルなデザインで、どちらも、色彩(金色と銀色)が特徴的です。

また、一方は「金メダル」という印象(観念)を受けるのに対して、もう一方は「銀メダル」という印象(観念)を受けます。

よって、色彩の違いにより、印象が大きく異なるので、このようなケースだと、色違いのロゴの商標登録を検討すべきです

色違いのロゴも、頻繁に使用して、とても重要な場合

色違いのロゴも、メインの色のロゴと同様、頻繁に使用していて、とても重要な場合があります。

そのような場合には、色違いのロゴも、コストを掛けて、商標登録すべきです。

ソフトバンクの例

例えば、大手の電気通信会社のソフトバンクは、以下のロゴを商標登録しています。

商登第5315237号

ソフトバンクは、自社のホームページなどで、大々的に使用しています。

(ソフトバンク株式会社の公式ホームページより)

一方、ソフトバンクは、以下の色違いのロゴも、商標登録しています。

商登第5315236号

こちらの色も、プロ野球チーム「福岡ソフトバンクホークス」などで、大々的に使用しています。

(福岡ソフトバンクホークスの公式ホームページより)

このような場合には、コストを掛けてでも、色違いのロゴを商標登録するのが有効です。

どの色で商標登録すべきか、迷ったら、商標専門の弁理士に相談!

以上の通りですが、実際に商標登録しようとした際、どの色で商標登録すべきか、迷うこともあるでしょう。

迷ったら、商標専門の弁理士に相談しましょう

筆者(すみや商標知財事務所)にご相談いただければ、親身になって、一緒に検討します。

業界では珍しい「商標専門」の弁理士

まとめ

・色違いのロゴも商標登録すべきか、よく相談を受けます。基本的には、メインの色のみ、商標登録すれば、十分です

・色違いのロゴを他者が使った場合、権利行使できる可能性が高く、また、条件を満たせば、色違い商標でも、登録商標と同一の商標と取り扱われるからです

・ただし、とても単純な図形で、色彩が大きな特徴となっている場合など、一部の例外的なケースでは、色違いのロゴも商標登録することが考えられます

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