フランチャイズ展開する際に、慌てて、商標登録の依頼を受けることが多々あります。
フランチャイズ展開するのであれば、商標登録は必須ですが、その理由が分かりますか?
この記事を読めば、フランチャイズ展開する際に、商標登録が必要な5つの理由が分かります。
また、フランチャイズ展開したのに、商標登録しなかった場合のリスクを教えます。

・すみや商標知財事務所の代表弁理士(登録番号18043)が執筆しています
・商標専門の弁理士として、12年以上、働いています
・フランチャイズ展開の際に、商標登録のご依頼を受けたことが、多数、あります
・初心者向けに分かりやすく説明するのが、得意です
フランチャイズとは、何か?

そもそも「フランチャイズ」って、何ですか?

フランチャイズとは、ロイヤリティを払って、ノウハウや権利をもらうビジネスシステムです!
フランチャイズは、コンビニや飲食店、小売店など、様々な業種で取り入れられています。
フランチャイズ本部(チェーン本部)は「フランチャイザー」、加盟店は「フランチャイジー」と呼ばれます。
フランチャイザーは、加盟金やロイヤリティなどを加盟店から徴収でき、安定した収入を得られます。
一方、フランチャイジーは、フランチャイザーから得たブランドの使用権や経営ノウハウなどを活用できます。

フランチャイズ展開するなら、商標登録すべき理由

フランチャイズ展開する際に、どうして商標登録が必要なんですか?

フランチャイズ展開する際に、商標登録すべき代表的な理由は、以下の5つです!
- フランチャイズ契約に利用するため
- 他者に自分の商標を使用させないため
- フランチャイジーを守るため
- 事業規模の拡大によるリスクの上昇に対処するため
- フランチャイズ契約を解消した後のトラブル防止のため
フランチャイズを契約する際に、フランチャイジーに自分のブランドを使用させます。
商標登録することで、フランチャイズ契約に利用できます。

商標登録がないと、他者が勝手に自分の商標を使用しても、文句を言えないです。
他者の模倣行為を止めるためには、商標登録が重要です。

同一もしくは類似の他人の商標登録が存在したら、商標の使用が、他人の商標権を侵害します。
そのため、フランチャイジーが、商標権者から、訴えられるかもしれません。
フランチャイジーを守るためにも、きちんと商標登録して、自分のブランドを独占的に使用する権利を得ましょう。

商標の世界は、「早い者勝ち」が原則なので、商標登録していないと、他人に勝手に商標登録される危険性があります。

特に、フランチャイズ展開により、事業規模が拡大すると、店名などが、より多くの人に認知されるので、他人が商標登録するリスクが高まります。
フランチャイズ展開により、店名などが、多くの人に認知される前に、きちんと商標登録しておきましょう。
フランチャイズ契約を解消した後も、元フランチャイジーが、フランチャイザーのブランドを使用し続けることがあります。

そのような場合、自分のブランドを商標登録することで、元フランチャイジーの使用行為の中止を要求できます。
商標登録せずに、フランチャイズ展開した場合のトラブル

商標登録せずに、フランチャイズ展開すると、どのようなトラブルの危険性がありますか?

例えば、フランチャイジーに、勝手に商標登録を取得されることが多々あります!
フランチャイズ契約が終了した後のトラブル事例(スマホ修理王)
株式会社フラッシュエージェントは、「スマホ修理王」という名称で、スマホなどの修理サービスを提供しています。

フラッシュエージェントは、フランチャイズで事業していましたが、「スマホ修理王」を商標登録していませんでした。
そのため、フランチャイズ契約を解消した元フランチャイジーが、勝手に、「スマホ修理王」を商標登録しました。

これに気付いて、慌てて、「スマホ修理王」の商標登録に対して、無効審判を請求して、また、「スマホ修理王」を商標出願しました。

無効審判とは、瑕疵(ミス)がある商標登録を取り消すための制度です!
裁判まで、争って、どうにか「スマホ修理王」の商標登録を取り消すことができ、フラッシュエージェントが、「スマホ修理王」の商標登録を取得できました。
なお、裁判例(令和4年(行ケ)第10034号 審決取消請求事件)の全文は、こちらです。

他人に商標登録されたとしても、無効審判を利用すれば、商標登録を取り消せますよね?

確実に、商標登録を取り消せるわけではありません!
また、多額の費用も掛かりますので、フランチャイズの展開前に、きちんと商標登録することが重要です
フランチャイズ展開する場合の商標登録の注意点

フランチャイズ展開する際に、商標登録するのに、どのような点に注意すべきですか?

フランチャイズ展開する際の商標登録では、以下の3点に注意しましょう!
- 商標登録する区分には、35類を含める
- ロゴと文字、どちらで商標登録するか、検討
- 事前に、データベースで、他者の商標登録をチェック
商標登録するには、商標登録する区分を決める必要があります。

区分とは、商品・サービスに属するカテゴリーで、1類~45類まで計45個あります
フランチャイズ事業に関する区分が35類で、以下のサービスが、35類に属します。
- フランチャイズ事業の運営
- フランチャイズ事業の管理
- 事業の指導
- フランチャイズ店の業務の管理
よって、商標登録する区分には、本業の事業が属する区分の他に、35類も含めましょう。

例えば、以下の通り、ロゴで、フランチャイズ用の商標登録を取得することがあります。
一方で、以下の通り、文字で、フランチャイズ用に商標登録することもあります。
- モスバーガー
- ニコニコレンタカー
- スクールIE
文字ではなく、ロゴをメインで使用する場合であれば、ロゴで商標登録することが多いです。
一方で、将来的にロゴが変更する場合などは、ロゴではなく、文字での商標登録が有効です。
なお、文字とロゴ、どっちで商標登録すべきか、以下の記事で詳しく紹介しています。


予算に余裕があれば、文字とロゴ、どちらも商標登録することも多いです!
同一もしくは類似する他者の商標登録が存在すると、商標登録できません。
事業計画に大きな影響を及ぼすので、データベース「J-PlatPat」を利用して、事前に商標登録をチェックしましょう。

なお、検索方法については、以下の記事で、詳しく紹介しています。

フランチャイズ展開のため、商標登録するなら、商標専門の弁理士に相談!
フランチャイズ展開するのであれば、予算を掛けて、適切な範囲で、商標登録を取得すべきです。
そのため、できれば、商標専門の弁理士に相談しましょう!

筆者(すみや商標知財事務所)に相談いただければ、親身になって、一緒に検討します。
業界では珍しい「商標専門」の弁理士
・フランチャイズ契約に利用するため・他者に自分の商標を使用させないために、フランチャイズ展開には、商標登録が必須です
・さらに、商標登録で、フランチャイジーを守ったり、フランチャイズ契約の解消後のトラブルを予防したりできます
・実際、商標登録しないと、トラブルになることが多々あります。例えば、元フランチャイジーが、勝手に無断で商標登録したケースがあります