商標登録をしようと思って、まず、何からすべきか、迷う人も多いでしょう。
12年以上の弁理士歴がある商標専門の筆者が、商標登録のために決めるべき、3つの必要事項を教えます。
この記事を読めば、商標登録するためには、まず、何を検討すべきか、分かります。
また、その際に、どのような点に注意すべきか、教えます。
商標登録するためには、商標出願する必要あり
商標権は、著作権のように、自動的に発生するものではありません。
商標登録を取得することで、商標権が発生します。
商標登録を取得するためには、特許庁に商標出願する必要があります。
商標出願して、特許庁での審査を通過できれば、商標登録できます。
商標登録のために決めるべき、3つの必要事項
商標登録しようと思ったら、商標出願の願書(申請書)の記載事項を決める必要があります。
具体的には、以下の3つの必要事項を決めましょう。
- 商標登録する商標
- 商標登録する区分と指定商品・役務
- 商標出願人の名称(氏名)と住所
商標出願の願書には、「商標登録を受けようとする商標」の項目があります。
商標登録する商標をどうするか、決める必要があります。
商標登録する商標は、商標権の権利範囲を決めるので、重要です!
商標登録する商標は、文字 or ロゴ
経験上、多くの人が迷うのが、「文字」にするか、「ロゴ」にするか、です。
ロゴを見ながら、個別に具体的に判断していますが、例えば、以下のように判断しています。
将来的にロゴ変更の可能性がある場合
→「文字」での商標出願がオススメ
ロゴ変更の可能性が低い、ロゴが特徴的、文字ではなくロゴをメインに使用する場合
→「ロゴ」での商標出願がオススメ
実際に、お客様から相談を受けた際は、ロゴを見ながら、個別に具体的に判断しています
なお、2件分の費用が掛かりますが、文字とロゴ、両方とも商標登録を取得することもあります。
文字の場合には、カタカナ or アルファベット or 二段併記 など
文字の場合、カタカナにするか、アルファベットにするか等で、迷うことが多いです。
基本的には、メインで使用する態様で、商標出願することをお勧めしています。
なお、文字で商標出願する場合、標準文字制度を利用することが多いです。
標準文字制度については、以下の記事で、詳しく紹介しています。
また、商標の実務上、以下のように、カタカナとアルファベットの二段併記にして、商標出願することも多いです。
文字を二段併記にして、商標登録するメリット・デメリットを、以下の記事で紹介しています。
ロゴの場合には、どのロゴを商標登録するか
ロゴの場合、様々な態様のロゴを使用していることがあります。
例えば、縦書きのロゴや横一連のロゴなど、様々なバリエーションで使用しているケースです。
そのようなケースでは、メインで使用するロゴを商標登録することをお勧めしています。
願書には、「商品及び役務の区分」と「指定商品又は指定役務」の欄があります。
なお、「役務」とは、分かりやすく言えば、「サービス」のことです。
商標出願するためには、「商標登録する区分」と「指定商品・役務」を検討しましょう。
区分とは、商品・サービスのカテゴリー
区分とは、商品・サービスのカテゴリーです。
区分は全部で45個あり、商標登録する区分の数によって、商標登録に掛かる費用が決まります。
各区分の商品・サービスをざっくりと紹介すると、以下のリストの通りです。
1類 | 化学品 | 16類 | 紙、紙製品、事務用品 | 31類 | 生きている動植物 |
2類 | 塗料、着色料 | 17類 | 電気絶縁用などの材料 | 32類 | アルコールを含有しない飲料、ビール |
3類 | 洗浄剤、化粧品 | 18類 | 革、旅行用品、馬具 | 33類 | ビールを除くアルコール飲料 |
4類 | 工業用油、工業用油脂、燃料、光剤 | 19類 | 金属製でない建築材料 | 34類 | たばこ、喫煙用具、マッチ |
5類 | 薬剤 | 20類 | 家具 | 35類 | 広告、事業の管理、小売・卸売 |
6類 | 卑金属、その製品 | 21類 | 家庭用品、化粧用具、ガラス製品 | 36類 | 金融、保険、不動産の取引 |
7類 | 加工機械 | 22類 | ロープ製品、織物用の原料繊維 | 37類 | 建設、設置工事、修理 |
8類 | 手動工具 | 23類 | 織物用の糸 | 38類 | 電気通信 |
9類 | 科学用、電気制御用などの機械器具 | 24類 | 織物、家庭用の織物製カバー | 39類 | 輸送、旅行の手配 |
10類 | 医療用機械器具、医療用品 | 25類 | 被服、履物 | 40類 | 物品の加工その他の処理 |
11類 | 照明用、加熱用などの装置 | 26類 | 裁縫用品 | 41類 | 教育、娯楽、スポーツ、文化活動 |
12類 | 乗物その他移動用の装置 | 27類 | 床敷物、織物製でない壁掛け | 42類 | コンピューター、ソフトウェアの開発 |
13類 | 火器、火工品 | 28類 | 玩具、遊戯用具、運動用具 | 43類 | 飲食物の提供、宿泊施設の提供 |
14類 | 貴金属、宝飾品、時計 | 29類 | 動物性の食品、加工食品 | 44類 | 医療、美容、農業のサービス |
15類 | 楽器 | 30類 | 植物性の加工食品、調味料 | 45類 | 冠婚葬祭、警備、法律のサービス |
まずは、事業内容に応じて、商標登録する区分を決める
商標を使用する事業の内容に応じて、商標登録する区分を決めます。
商標登録する区分を誤ると、適切に、事業をカバーできません。
また、商標登録する区分の数によって、商標登録に掛かる費用が決まります。
よく検討して、商標登録する区分を決定しましょう。
慣れていないと、商標登録する区分を誤ることが多々あります。判断に迷うようであれば、専門家(弁理士)に相談しましょう!
区分が決まったら、具体的な指定商品・役務の表示を考える
商標登録する区分を決めたら、次に、具体的な指定商品・役務の表示を考えます。
例えば、25類であれば、「被服,帽子,靴類」のような具体的な表示です。
なお、「アパレル商品」「ファッションアイテム」の表示だと、不明確と判断されて、認められません。
区分ではなく、指定商品・役務が、商標権の権利範囲になります。十分に検討して、決定しましょう!
具体的な指定商品・役務の決め方については、以下の記事で紹介しています。
願書には、「商標登録出願人」の項目があります。
初めての商標出願の場合、「住所又は居所」「氏名又は名称」を記載します。
なお、法人の場合には、「代表者」の項目を設けて、代表者の氏名も記載します。
出願人の名義は、法人or個人
出願人の名義は、法人でも個人でも、どちらでもOKです。
自分の状況や事業内容に応じて、どちらにするか、決定しましょう。
なお、商標出願した後に、名義を変更することもできます。
住所は、どうするか?
法人の場合には、原則、登記簿上の住所を記載します。
ただし、特許庁から書類が郵送された場合に、きちんと受け取れる住所にしましょう。
また、個人の場合には、自宅を記載することが多いです。
ただし、データベース「J-PlatPat」において、市区町村まで公開されます。
プライバシーの保護が気になる方は、自宅以外に住所するか、検討しましょう。
商標登録する商標などが決まったら、願書を作成しよう!
商標登録する商標や指定商品・役務が決まったら、商標出願の願書を作成できます。
商標出願の願書の記載方法については、以下の記事で、詳しく紹介しています。
弁理士に依頼する場合、弁理士と相談しながら、必要事項を決定!
弁理士に依頼して、商標出願を進めることも、多々あります。
弁理士に依頼する場合、弁理士と一緒に検討しながら、商標登録のための必要事項を決めていきます。
弁理士(特に商標専門の弁理士)であれば、経験や知識があるので、的確なアドバイスを受けられます。
また、指定商品・役務についても、弁理士が提案することが多く、筆者自身も、毎回、お客様に提案しています。
弁理士に依頼する前に、商標登録する商標や指定商品などを決める必要がありますか?
決める必要はありません!私の場合、お客様と一緒に検討・相談しながら、商標登録する商標などを決めていきます
分からないことがあれば、商標専門の弁理士に相談!
特に、初めて商標出願する方は、分からないことが出てくるでしょう。
何か分からないことがあれば、一人で悩まずに、商標専門の弁理士に相談しましょう。
筆者(すみや商標知財事務所)に相談いただければ、親身になって、一緒に検討します。
業界では珍しい「商標専門」の弁理士
・商標権は、著作権と異なり、自動的に発生する権利ではなく、商標登録により権利が生じます。商標登録を取得するためには、特許庁に商標出願する必要があります
・商標登録するためには、「商標登録する商標」「商標登録する区分と指定商品・役務」「商標出願人の名称(氏名)と住所」を決めます
・弁理士に依頼して、商標出願する場合、弁理士と一緒に相談・検討しながら、商標登録する商標や指定商品などを決めていきます