商標登録に掛かる費用は、商標登録に興味のある人、全員が気になります。
また、予算もあるので、多くの人が、商標登録に掛かる費用を抑えたいと考えています。
商標専門の弁理士として、働いていると、費用を抑えたいというニーズの高さを感じます
この記事を読めば、商標出願をするタイミングでの費用の抑え方が分かります。
また、商標の出願時に掛かる費用についても、教えます。
商標登録するために、出願時に掛かる費用
出願時には、特許庁に支払う費用(印紙代)が、必ず、掛かります。
また、統計上、商標出願を弁理士に依頼することが多いです。
特許庁の統計データによると、2022年、約15万件の商標出願のうち、約10万7千件、弁理士が代理しています。
本人出願・弁理士の代理出願・弁理士以外の代理出願をグラフにすると、以下の通りです。
弁理士に商標出願を依頼すると、特許庁に支払う印紙代の他に、弁理士に支払う手数料が発生します。
以下、これらの2つの費用について、詳しく紹介します。
特許庁に支払う費用(印紙代)
まず、特許庁に支払う印紙代は、商標登録する区分の数で、決まります。
区分とは、商品・役務(サービス)のカテゴリーで、1類~45類まで、計45個あります
特許庁に支払う印紙代は、「12,000円+8,600円×追加の区分数」です。
現状、出願時の印紙代を減額もしくは免除する制度はありません
弁理士に支払う手数料
弁理士に支払う手数料は、弁理士によって、大きく異なりますが、ある程度の相場感を示します。
古いデータですが、平成15年に、特許事務所を経営する719名の弁理士の回答をもとに、弁理士会がアンケート結果を公表しています。
1区分、商標出願した場合、商標出願の手数料のアンケート結果は、以下の通りです。
1区分の場合の手数料は、5~8万円が、70%を超えていて、圧倒的に多いです。
また、ほとんどの特許事務所では、区分数によって、手数料が増減します。
3区分、商標出願した場合、商標出願の手数料のアンケート結果は、以下の通りです。
3区分での商標出願の場合では、12~15万円、手数料を請求する弁理士が多いです。
ちなみに、筆者(すみや商標知財事務所)は、相場よりも、料金が低く、以下の通りです。
1区分目の出願手数料 5万円(税抜)
追加1区分あたりの出願手数料 3万円(税抜)
【商標登録の費用】出願時の節約ポイント
商標登録に掛かる費用を抑えたいというニーズは、高いです。
特に、個人事業主や中小企業で、事業が軌道に乗る前だと、商標登録に掛けられるコストも制限されます。
出願時の費用の節約ポイントは、以下の3つです。
- 商標登録する区分を限定する
- 自力で商標出願する
- 弁理士に依頼する場合、注意して弁理士を選ぶ
商標登録する区分を減らせば、その分、コストを節約できます。
まずは、メインの商品・サービスの区分に限定して、商標登録を取得します。
その後、必要があれば、追加で、他の区分も商標登録することが考えられます。
【参考事例】「くまモン」の商標戦略
例えば、人気キャラクターの名称「くまモン」の商標戦略が参考になります。
まずは、「文房具類」や「印刷物」などの16類の1区分で、商標登録(商登第5387806号)しています。
その後、爆発的に人気になったので、以下の多数の区分についても、追加で商標登録(商登第5540075号・商登第5544490号)しました。
- 3類 化粧品 など
- 4類 ろうそく など
- 5類 衛生マスク など
- 9類 電子出版物 など
- 11類 電球類及び照明用器具 など
- 12類 乳母車 など
- 14類 キーホルダー など
- 18類 かばん類 など
- 20類 クッション など
- 21類 おみくじ など
- 24類 カーテン など
- 25類 被服 など
- 26類 テープ など
- 27類 畳類 など
- 28類 すごろく など
- 29類 肉製品 など
- 30類 菓子 など
- 31類 野菜 など
- 32類 果実飲料 など
- 33類 日本酒 など
- 35類 広告業 など
- 36類 建物の貸与 など
- 39類 鉄道による輸送 など
- 41類 電子出版物の提供 など
- 42類 電子計算機用プログラムの提供 など
- 43類 宿泊施設の提供 など
- 44類 あん摩・マッサージ及び指圧 など
- 45類 占い など
「くまモン」はライセンスビジネスなので、商標登録が重要です。
しかし、成功するか、分からないので、まずはコストを抑えて、16類の1区分だけで商標登録しています。
自力で商標出願すれば、弁理士に費用を支払う必要がありません。
つまり、特許庁に支払う費用(印紙代)しか、掛からず、最低限のコストで済みます。
しかし、初心者が、自力で商標出願するのは、手間や時間が掛かり、また、内容を間違えるかもしれません。
それでも、費用を節約したいのであれば、自力で商標出願することが考えられます。
初心者だと、自力で商標出願するのは、難しいですか?
インターネットで調べながら、時間を掛ければ、初心者でも、自力で商標出願できるでしょう。ただし、内容に誤りがあると、大変なので、できれば、弁理士への依頼をお勧めします!
依頼する弁理士によって、大きく費用が異なります。
例えば、日本には、歴史のある大手特許事務所が存在します。
設立年 | 所員数など | |
TMI総合法律事務所 | 1990年 | 所員数1199名 (2024年1月5日時点) |
三枝国際特許事務所 | 1946年 | 所員数 約130名 |
中村合同特許法律事務所 | 1914年 | 所員数 約180名 |
ユアサハラ法律特許事務所 | 1902年 | 弁理士などの専門家76名 (2022年9月1日時点) |
大手だと安心感があるものの、手数料は高い傾向です。
一方、手数料の安さを売りにした特許事務所も存在します。
例えば、以下のような特許事務所は、破格の手数料で、サービスを提供しています。
出願時の手数料 (1区分の場合) | |
弁理士法人Toreru | 19,800円 |
みなとみらい特許事務所 | 18,480円 |
坪内特許事務所 | 10,000円 |
海特許事務所 | 9,000円 |
弁理士法人Smarca | 13,200円 |
特許事務所を比較しながら、予算に合った事務所を見つけられば、出願時のコストを抑えることができます。
なお、特許事務所の選び方については、以下の記事でも、詳しく紹介しています。
【必見】商標登録の費用の比較と特許事務所の選び方!【参考】筆者の事務所(すみや商標知財事務所)の場合
ちなみに、筆者の事務所(すみや商標知財事務所)は、1区分の場合の手数料が、5万円(税抜)です。
大手特許事務所よりは、安いですが、格安の特許事務所に比べて、高いです。
しかし、大手特許事務所で、12年、働いた経験があるので、商標関連のサービスの品質には、絶対の自信があり、「コスパ」は抜群だと自負しています。
業界では珍しい「商標専門」の弁理士
・商標出願の際に、特許庁に支払う費用(印紙代)が掛かり、また、弁理士に依頼すれば、弁理士に支払う手数料が掛かります
・商標出願の費用を節約したいというニーズは高いです。商標登録する区分を限定すれば、商標出願に掛かる費用を抑えられます
・また、自力で商標出願したり、注意して弁理士を選んだりすれば、商標出願に掛かる費用を抑えられるでしょう