【欧州】欧州連合商標出願のメリット・デメリット

まとめ

・欧州の各国で商標登録を取得したい場合、ドイツやフランスなど、各国の知財局に商標出願する方法の他に、欧州連合商標出願することが考えられます

・欧州連合商標で商標登録を取得できれば、その効力は全てのEU加盟国に及び、商標登録の管理も簡単です

・ただ、EUの全加盟国での一体の権利なので、ある加盟国での先行商標により拒絶された場合、EU加盟国全てで商標登録が認められません

欧州連合商標(EUTM)とは

欧州の各国で商標登録を取得したい場合、ドイツやフランスなど、各国の知財局に商標出願することができます。

その他に、欧州連合商標(EUTM)として商標出願する方法もあります。

具体的には、欧州知的財産庁(EUIPO)に商標出願を行います。

欧州連合商標の商標登録を取得できれば、その効力は、EU加盟国の全てに及びます。

つまり、1件の商標登録で、ドイツ・フランス・イタリア・スペインなど、27の加盟国をカバーすることができます。

なお、保護期間は、出願日から10年で、10年ごとに商標登録を更新できます。

経験上、日本の企業が、ヨーロッパに商標出願する際には、欧州連合商標(EUTM)で商標出願することが、かなり多いです。

欧州連合商標の効力は、EUの全加盟国に及びます。日本の多くの企業が、欧州で商標出願する際に、欧州連合商標を利用しています

欧州連合商標出願のメリット

最大のメリットは、コストが抑えられることです。

EU加盟国全てで商標登録を取得するには、各国の知財局に商標出願する必要がありましたが、欧州連合商標であれば、1件の商標出願で済みます。

各国で商標出願する場合に比べて、大幅に費用を節約することができます。

また、EU加盟国全てを1件の商標登録でカバーできるので、商標登録の管理も簡単です

もし、各国ごとに商標登録を取得した場合、それぞれ更新期限も違うので、複数の商標登録を管理する必要があります。

1件でEU全加盟国をカバーできるので、コストを抑えることができ、また、商標の登録の管理も容易です!

欧州連合商標出願のデメリット

欧州連合商標出願のデメリットとしては、EU加盟国の一ヵ国でも、類似する先行商標があった場合には、EU加盟国全体に影響を及ぼす可能性がある点です。

分かりにくいので、具体例を出して、説明します。

あなたが、指定商品「化粧品」で商標「ABC」を欧州連合商標出願したとします。

デンマークに「化粧品」の先行商標「ABC」が存在すると、権利者から異議申し立てにより、あなたの欧州連合商標出願が拒絶される可能性があります。

この場合、デンマーク以外で商標登録が認められるわけではなく、EU加盟国全てで商標登録が認められません。

欧州連合商標は、EUの全加盟国での一体の権利であって、一部の国だけ、切り離せたりできません。

EU加盟国のうち、1ヵ国でも先行商標が存在し、商標出願が拒絶されれば、その効力は、加盟国の全てに及びます!

欧州連合商標出願を利用するかの判断基準

欧州連合商標は、EU加盟国全てをカバーできる便利な制度ですが、欧州連合商標出願を利用するかの判断基準を紹介します。

まず、EU加盟国のうち、事業を進出している、もしくは、進出する予定のある国の数です

例えば、進出する予定があるのは、フランスだけで、とりあえず、フランスに商標出願したいとのことであれば、フランスでの直接の商標出願で十分です。

一方、今後、多くのEU加盟国に事業進出する予定があるとのことであれば、欧州連合商標出願を利用することが考えられます。

また、欧州連合商標出願だと、自動的に全ての加盟国に出願したことになり、一部の加盟国を出願対象から除くことができません

よって、先行商標の調査を実施して、一部の国で障害となりそうな先行商標が見つかった場合、欧州連合商標出願を利用しないことが考えられます。

欧州連合商標の場合、一部の加盟国で先行商標があれば、商標出願が拒絶されたり、商標登録が取り消されるリスクがあります。

その効力は、先行商標のある加盟国だけではなく、EU加盟国全てに及ぶからです。

基本的には、1件でEU加盟国をカバーできるので、欧州連合商標出願はお勧めです。

ただし、出願対象の国の数や先行商標の存在によっては、欧州連合商標で出願しないことも考えられます。

欧州連合商標出願は便利かつ有効な制度ですが、出願対象の国数が少なかったり、一部の国で先行商標が存在した場合には、欧州連合商標で出願しないことも考えられます

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