欧州連合商標とは?出願のメリット・デメリットと賢い活用法

欧州市場でのブランド保護を検討している方にとって、欧州連合商標(EUTM)は非常に重要な選択肢のひとつです。

しかし、一方でメリットだけでなく、デメリットや注意すべきポイントも存在します。

この記事では、欧州連合商標の基本的な仕組みから、出願する際のメリット・デメリット、さらに賢く活用するための判断基準まで、弁理士の視点でわかりやすく解説します。

欧州市場での商標戦略を成功させるために、ぜひ参考にしてください。

記事の信頼性
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すみや商標知財事務所の代表弁理士(登録番号18043)が執筆しています

・商標専門の弁理士として、13年以上、働いています

これまで、多くの欧州での商標出願を担当しました

・初心者向けに分かりやすく説明するのが、得意です

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欧州連合商標(EUTM)とは

欧州の各国で商標登録を取得したい場合、ドイツやフランスなど、各国の知財局に商標出願することができます。

その他に、欧州連合商標(EUTM)として商標出願する方法もあります。

具体的には、欧州知的財産庁(EUIPO)に商標出願を行います。

欧州連合商標の商標登録を取得できれば、その効力は、EU加盟国の全てに及びます。

つまり、1件の商標登録で、ドイツ・フランス・イタリア・スペインなど、27の加盟国をカバーすることができます。

なお、保護期間は、出願日から10年で、10年ごとに商標登録を更新できます。

経験上、日本の企業が、ヨーロッパに商標出願する際には、欧州連合商標(EUTM)で商標出願することが、かなり多いです。

虎さん
虎さん

欧州連合商標の効力は、EUの全加盟国に及びます。日本の多くの企業が、欧州で商標出願する際に、欧州連合商標を利用しています

欧州連合商標出願のメリット

最大のメリットは、コストが抑えられることです。

EU加盟国全てで商標登録を取得するには、各国の知財局に商標出願する必要がありましたが、欧州連合商標であれば、1件の商標出願で済みます。

各国で商標出願する場合に比べて、大幅に費用を節約することができます。

また、EU加盟国全てを1件の商標登録でカバーできるので、商標登録の管理も簡単です

もし、各国ごとに商標登録を取得した場合、それぞれ更新期限も違うので、複数の商標登録を管理する必要があります。

虎さん
虎さん

1件でEU全加盟国をカバーできるので、コストを抑えることができ、また、商標の登録の管理も容易です!

欧州連合商標出願のデメリット

欧州連合商標出願のデメリットとしては、EU加盟国の一ヵ国でも、類似する先行商標があった場合には、EU加盟国全体に影響を及ぼす可能性がある点です。

分かりにくいので、具体例を出して、説明します。

あなたが、指定商品「化粧品」で商標「ABC」を欧州連合商標出願したとします。

デンマークに「化粧品」の先行商標「ABC」が存在すると、権利者から異議申し立てにより、あなたの欧州連合商標出願が拒絶される可能性があります。

この場合、デンマーク以外で商標登録が認められるわけではなく、EU加盟国全てで商標登録が認められません。

欧州連合商標は、EUの全加盟国での一体の権利であって、一部の国だけ、切り離せたりできません。

虎さん
虎さん

EU加盟国のうち、1ヵ国でも先行商標が存在し、商標出願が拒絶されれば、その効力は、加盟国の全てに及びます!

なお、欧州連合商標の審査制度については、以下の記事で、紹介しています。

EUTM(欧州連合商標)の審査は当事者任せ?日本との違いと2つのリスク

欧州連合商標出願を利用するかの判断基準

欧州連合商標は、EU加盟国全てをカバーできる便利な制度ですが、欧州連合商標出願を利用するかの判断基準を紹介します。

まず、EU加盟国のうち、事業を進出している、もしくは、進出する予定のある国の数です

例えば、進出する予定があるのは、フランスだけで、とりあえず、フランスに商標出願したいとのことであれば、フランスでの直接の商標出願で十分です。

一方、今後、多くのEU加盟国に事業進出する予定があるとのことであれば、欧州連合商標出願を利用することが考えられます。

また、欧州連合商標出願だと、自動的に全ての加盟国に出願したことになり、一部の加盟国を出願対象から除くことができません

よって、先行商標の調査を実施して、一部の国で障害となりそうな先行商標が見つかった場合、欧州連合商標出願を利用しないことが考えられます。

欧州連合商標の場合、一部の加盟国で先行商標があれば、商標出願が拒絶されたり、商標登録が取り消されるリスクがあります。

その効力は、先行商標のある加盟国だけではなく、EU加盟国全てに及ぶからです。

基本的には、1件でEU加盟国をカバーできるので、欧州連合商標出願はお勧めです。

ただし、出願対象の国の数や先行商標の存在によっては、欧州連合商標で出願しないことも考えられます。

虎さん
虎さん

欧州連合商標出願は便利かつ有効な制度ですが、出願対象の国数が少なかったり、一部の国で先行商標が存在した場合には、欧州連合商標で出願しないことも考えられます

本記事のまとめ

・欧州の各国で商標登録を取得したい場合、ドイツやフランスなど、各国の知財局に商標出願する方法の他に、欧州連合商標出願することが考えられます

・欧州連合商標で商標登録を取得できれば、その効力は全てのEU加盟国に及び、商標登録の管理も簡単です

・ただ、EUの全加盟国での一体の権利なので、ある加盟国での先行商標により拒絶された場合、EU加盟国全てで商標登録が認められません

経験豊富な商標専門の弁理士に、欧州の商標出願を依頼しよう!

経験がない弁理士に、欧州の商標出願を依頼すると、適切に対応できない危険性があります。

できれば、経験豊富な商標専門の弁理士に、欧州の商標出願を依頼しましょう。

筆者(角谷 健郎)は、欧州の商標出願の経験も豊富で、商標専門の弁理士なので、ご遠慮なく、ご相談ください(初回の相談、無料です)。

事務所HPからもご相談いただけますが、以下のフォームからも簡単にお問い合わせいただけます。

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