・熊本県は、広範囲の商品・役務(サービス)で、くまモンに関する商標登録を保有しています
・熊本県は、日本国内でのくまモンの使用について、無償で、商標ライセンスしています。これにより、多くの企業が、くまモンを利用しています
・まずは、多くの人にキャラクターやブランドを知ってもらうことが重要です。くまモンのように、使用許諾のハードルを下げるのは、有効な戦略です
くまモンは、大人気の「ゆるキャラ」
あなたは、「くまモン」を知っていますか?
くまモンは、2010年に誕生した熊本県のPRマスコットキャラクターです。
いわゆる、「ゆるキャラ」で、2011年には、ゆるキャラグランプリで優勝しています。
くまモンは大人気で、関連の商品が、多数、販売されています。
2011年から2021年の関連商品の累計売上高は、1兆円を超えています。
また、様々な企業とコラボしたり、テレビ番組にも出演しています。
くまモンの商標登録
人気が出ると、第三者に無断で使用されます。
人気が出る前に、商標登録を取得するのが効果的です。
熊本県は、以下のくまモン関連の商標登録を取得しています。
- くまモン
くまモンの商標登録の指定商品・役務は、多岐に及びます。
文房具類や菓子だけでなく、「宿泊施設の提供」や「鉄道による輸送」などのサービスもカバーしています。
様々な企業とのコラボが考えられるため、コストを掛けて、広範囲に商標登録を取得しました。
実際、三井ガーデンホテル熊本では、くまモンのコンセプトルーム(宿泊施設)を提供しています。
熊本県は、広範囲の指定商品・役務で、くまモンの文字と図形の商標登録を保有しています
【くまモンの商標戦略】無償での商標のライセンス(使用許諾)
熊本県は、熊本県の企業などに対して、くまモンを使用させています。
登録商標を第三者に使用させる場合、通常、商標権者はライセンス契約を結びます。
売り上げの数%を、ライセンス料として、商標権者に支払うことが多いです。
しかし、熊本県は、日本国内でのくまモンの使用について、無償で、登録商標の使用許諾しています。
あえて、無償でライセンスすることで、多くの企業が、自分の商品・サービスに、くまモンを使ってくれます。
多くの企業が使用すれば、人の目に触れる機会が増えるので、くまモンの認知度が向上します。
くまモンの認知度が上がれば、熊本県のPRにつながります。
無償で商標をライセンスすることで、好循環が生まれます。
無償で商標ライセンスすることで、多くの企業にくまモンを使用してもらい、熊本県のPRになりました!
【大成功】くまモンによる地域おこし
くまモンによって、熊本県は、地域おこしに成功しました。
熊本県の多くの商品・サービスに、くまモンが使用されています。
くまモンが目印になり、くまモンが付いていれば、熊本県の関連の商品だと認識できます。
また、日本全国には、多くのくまモンのファンがいます。
くまモン関連のグッズを販売すれば、くまモンのファンが購入してくれます。
さらに、くまモンの可愛らしい姿が、熊本県の好印象に繋がっています。
熊本県のイメージ向上にも役立っています。
【注意】熊本県以外の商標出願はNG
熊本県は、くまモンの登録商標の日本国内での使用については、無償で、許諾しています。
しかし、くまモンに関する商標登録の取得については、熊本県は許容していません。
くまモンのオフィシャルホームページで、以下のように注意しています。
また、他人が、無断で、くまモン関連の商標を出願しても、熊本県の商標登録が存在するので、拒絶される可能性が高いです。
実際、以下の商標は、熊本県以外の第三者が出願した商標です。
- くまモンのすまフォン
- クマモンのしっぽ
審査において、先行商標と抵触するとして、拒絶理由が通知されました。
おそらく、熊本県のくまモンの登録商標が登録の障害となったようです。
くまモンの商標を多くの企業に使用してもらいながらも、商標登録は、熊本県が独占的に保有しています。
くまモンの文字や図形を含む商標を第三者が出願しても、熊本県の商標登録で拒絶される可能性が高いです
くまモンの商標戦略を参考に
ゆるキャラなどのキャラクターや地域ブランドを使った地域おこしは、各地で、行われています。
ヒットすれば、地域経済の活性化が期待できます。
まずは、多くの人にキャラクターやブランドを知ってもらうことが重要です。
くまモンのように、使用許諾のハードルを下げることで、多くの人に利用してもらうのが有効です。
ただし、無断・無許可で使用させると、ブランドイメージが損なわれる危険性があります。
どのような商品やサービスにキャラクター・ブランドを使用するか、チェックしましょう。
なお、商標ライセンスの前提として、商標登録を取得する必要があります。
対象のキャラクターや地域ブランドについては、きちんと商標出願しましょう。
様々な事業をカバーできるよう、広範囲に商品・役務(サービス)を指定することをお勧めします。
地域おこしのためのキャラクターやブランドの商標登録の取得をお勧めします。商標登録を活用して、第三者のキャラクターやブランドの使用を管理しましょう!