商標登録は、一度取得すればずっと使える――と思っていませんか?
実は、商標権には有効期限があり、更新手続きをしなければ権利が消滅してしまいます。
大切なブランドを守るためには、更新のタイミングや申請書の書き方、手続きにかかる費用を正しく理解しておくことが欠かせません。
この記事では、初心者の方でも迷わないように、商標登録の更新方法を弁理士がわかりやすく解説します。
「何から手をつければいいか分からない…」という方も、この記事を読めば更新手続きがスムーズに行えるようになります。

・すみや商標知財事務所の代表弁理士(登録番号18043)が執筆しています
・商標専門の弁理士として、13年以上、働いています
・これまで、膨大な量の商標登録の更新をお手伝いしました
・初心者向けに分かりやすく説明するのが、得意です
更新手続きにより、商標登録の存続期間を延長できる!
商標登録になったら、それで終わりではありません。
商標登録の存続期間は、設定登録日から10年間です。
しかし、更新手続きにより、存続期間を延長できます。

更新の回数には制限なく、商標権は半永久的に存続できます!
なお、更新手続きしないと、商標登録が失効してしまいます。
更新手続きを忘れないよう、十分に注意しましょう。
商標登録の更新手続きのタイミング
存続期間が満了する前に、商標登録を更新できます。
具体的には、存続期間の満了前6ヵ月から満了日までの間に、手続きできます。
商標登録の更新により、存続期間が、10年間、延長されます。
なお、期限までに商標の更新をし忘れても、期限の経過後6ヶ月までなら、追納できます。
しかし、追納の場合、特許庁に支払う印紙代が、2倍になります。
商標登録の更新手続きに掛かる費用
特許庁に支払う印紙代の納付方法には、2パターンあります。
10年分を一括で納付する方法と、分割で5年分を納付する方法です。
10年分一括納付の場合の印紙代:43,600円×区分数
5年分の分割納付の場合の印紙代:22,800円×区分数
10年分のトータル費用で考えれば、一括で納付した方が、割安です。

特許庁に支払う費用(印紙代)以外にも、費用が掛かりますか?

弁理士に依頼する場合、弁理士の手数料が掛かります。事務所によって、異なりますが、筆者の場合、区分数に関わらず、一律3万円(税抜)です
商標登録の更新の申請書の具体的な記載方法
次に、「商標権存続期間更新登録申請書」の記載方法を説明します。
特許庁のホームページから、以下の様式見本を入手できます。

以下の項目ごとに、記載内容を説明していきます。
- 書類名
- 宛名先
- 商標登録番号
- 識別番号
- 代表者
- 商品及び役務の区分
- 納付の表示
- 特許印紙
「商標権存続期間更新登録申請書」と記載してください。
特許庁長官の氏名までは記載する必要はありません。
「特許庁長官 殿」と記載すれば十分です。
更新する商標登録の登録番号を記載してください。
特許庁から通知済みの9桁の申請人の識別番号を記載してください。
識別番号を記載した場合は、【住所又は居所】の欄は不要です。
なお、識別番号が分からなければ、【識別番号】の項目ごと削除しましょう。
代わりに、【住所又は居所】の欄を記載してください。
納付者が個人であれば、【代表者】の欄は不要です。
一方、納付者が法人の場合、【代表者】の記載が必要です。
更新と同時に、区分を限定する場合、【商品及び役務の区分】の欄を設けてください。
なお、更新する区分に変更がなければ、【商品及び役務の区分】の欄は不要です。
5年分の分割納付をする場合、【納付の表示】の欄を設けましょう。
「分割納付」と記載してください。
なお、10年分一括納付であれば、【納付の表示】の欄は不要です。
特許庁に支払う印紙を貼りましょう。
なお、収入印紙ではなく、特許印紙です。
商標登録の更新手続きのアドバイス
更新の申請書は、商標出願の願書に比べて、記載内容がシンプルです。
調べながら、記載すれば、誰でも、対応できます。
ただ、実際に作成してみて、不明な点が出るかもしれません。
そのよう場合、知り合いの弁理士・特許庁に相談しましょう。
また、手間や労力を省きたければ、弁理士に依頼しましょう。
ただし、その場合、弁理士に支払う手数料が発生します。
また、更新しないと、商標登録が失効します。
きちんと更新期限を管理しましょう。
以下の記事では、期限管理の代表的な方法を3つ紹介しています。

商標登録の更新のよくある質問(FAQ)
以下は、読者の方が迷いがちな「商標登録の更新」の実務上の疑問に対して、簡潔に答えたFAQです。
記事本文と合わせてご活用ください。
商標登録の更新は、存続期間満了日の 6ヶ月前から満了日まで に申請可能です。
満了日を過ぎても 6ヶ月以内であれば追納(猶予期間) が認められますが、印紙代が 通常の2倍 必要です。
特許庁に支払う印紙代は以下の通りです:
10年一括納付:43,600円 × 区分数
5年分割納付:22,800円 × 区分数
なお、満了後6ヶ月以内の追納時は、上記金額の 2倍 を支払う必要があります。
一括納付は費用面で有利ですが、分割納付はキャッシュフローに柔軟性があります。
将来の使用の見通しが曖昧な場合や短期使用を見込む場合には、分割納付を検討すべきです。
満了日から6ヶ月以内であれば追納により更新可能ですが、それを過ぎると商標権は満了日に遡って消滅します。
再度、商標出願する場合、他者が同一または類似の商標を登録していれば、再取得できないリスクがあります。
日本では更新時に使用証明は不要です(審査もありません)。
なお、アメリカやフィリピンなどでは、更新時に使用証拠の提出が要求されます。
更新期限を忘れないため、例えば、以下の対策が有効です。
- 特許庁の「特許(登録)料支払期限通知サービス」の利用
- Googleカレンダーなどの利用
- 弁理士事務所に管理を依頼(依頼中の別事務所でもOK)
【まとめ】商標登録の更新手続きで分からなければ、特許庁か商標専門の弁理士に相談!
・存続期間の満了前6ヵ月から満了の日までの間に、商標登録を更新できます
・具体的には、「商標権存続期間更新登録申請書」を特許庁に提出します。記載内容は、比較的、シンプルです。
・手間や労力を省きたければ、弁理士に依頼しましょう。また、期限内に、更新するよう、注意しましょう
商標登録の更新手続きでわかないことがあれば、特許庁に問い合わせましょう。
また、商標専門の弁理士に相談するのもアリです。

なお、筆者(角谷 健郎)にご連絡いただければ、親身になって、一緒に検討します。
事務所HPからもご相談いただけますが、以下のフォームからも簡単にお問い合わせいただけます。