アパレル会社にとって、ブランドは重要で、アパレル業界では、商標登録に積極的な会社が多いです。
しかし、商標登録するのに、商標登録する区分を決める必要があり、迷う人が多いです。
区分とは、商品・サービスのカテゴリーで、計45個あります
筆者は、商標専門の弁理士で、アパレル会社の多くの商標出願を代理してきました。
この記事を読めば、アパレル業の商標登録は、どの区分で出願すべきか、分かります。
また、商標登録の費用を抑えるための方法と注意点を、教えます。
アパレル業のメインの区分は、25類(被服など)
ファッション関連アイテムには様々なものがあり、その性質や用途、素材によって、複数の区分に分かれます。
その中でも、アパレル業では、被服、履物、帽子などが含まれる「25類」が、メインの区分です。
その他に、例えば、以下の区分(特に18類)もカバーすることが考えられます。
- 3類(香水 など)
- 9類(サングラス、眼鏡 など)
- 14類(時計、身飾品 など)
- 18類(バッグ など)
- 24類(ハンカチ、タオル など)
- 26類(頭飾品 など)
セレクトショップや通販サイト名の場合、35類(小売業)をカバー
オリジナルブランドではなく、他社製品を販売するセレクトショップもあります。
セレクトショップの場合には、小売業の35類をカバーしましょう。
通販サイト名やショップ名の場合も同様で、小売業の35類をカバーすべきです。
なお、35類の小売業(小売等役務)については、以下の記事で、詳しく説明しています。
商標法上の「小売等役務」の概要など、分かりやすく紹介!コラボ商品があれば、対象の商品区分もカバー
ファッションブランドだと、他業種のブランドやキャラクターとコラボすることがあります。
コラボする内容によって、商標登録すべき区分が増える可能性があります。
例えば、以下の区分などもカバーすることが考えられます。
- 16類(文房具類 など)
- 21類(マグカップ、食器 など)
- 28類(おもちゃ、運動用具 など)
アパレル業の参考の登録例
例えば、ユニクロの人気アイテムで、薄くてあたたかい機能性の商品「ヒートテック」です。
株式会社ファーストリテイリングは、以下の商標登録を保有しています。
商標登録している区分は、25類(被服など)だけです。
日本を代表するアパレルのユニクロは、様々なパターンの会社ロゴの商標登録があります。
その中でも、例えば、株式会社ファーストリテイリングは、以下の商標を商標登録しています。
上記の商標登録は、以下の多数の区分をカバーしています。
- 3類 化粧品,香料類 など
- 9類 サングラス など
- 14類 身飾品,時計 など
- 18類 かばん類 など
- 20類 クッション,家具 など
- 24類 布製身の回り品,まくらカバー など
- 25類 被服,履物 など
- 26類 頭飾品,被服用アクセサリー など
- 27類 バスマット,キッチンマット など
- 28類 おもちゃ,運動用具 など
- 35類 様々な商品の小売業
- 42類 ファッションデザインの考案 など
- 45類 ファッションについての助言及び情報の提供 など
ユニクロのロゴは、多額のコストを掛けてでも、様々な商品・サービスを保護しています
作業服で有名なワークマンが、女性層までターゲットを拡げたコンセプトストア「ワークマン女子」を展開しています。
株式会社ワークマンは、以下の商標登録を保有しています。
アパレル店舗の名称ということもあり、商標登録している区分は35類(各種商品の小売業)だけです。
区分の数が増えると、その分、費用も高額に
アパレルのブランドだと、区分が増える傾向にあります。
商標登録に掛かる費用は、区分数に比例するので、費用が高額になりがちです。
そのため、以下のような対策を検討しましょう。
- 主要な商品の区分に限定
- 商品のライフサイクルを考慮
むやみに出願する区分数を増やすと、商標登録する費用が高額になります。
主要な商品の区分に限定して、出願する区分の数を減らせば、コストを抑えられます。
区分の限定の具体的な事例
例えば、あなたがアパレルショップを運営していて、オリジナルブランドの洋服・バッグやサングラスを取り扱っていたとします。
しかし、他のアイテムに比べて、サングラスの販売数が少なく、売り上げも高くないです。
その場合、とりあえず、サングラスの商品区分(9類)では商標出願しないことが考えられます。
なお、サングラスの売り上げが伸びたら、追加して商標出願することもできます。
ファッション関連アイテムには流行性や季節性があり、ライフサイクルの短い商品が多いです。
ライフサイクルの短い商品であれば、わざわざ商標登録する必要がないかもしれません。
商品のライフサイクルを考慮して、商標登録する商標を絞れば、コストを節約できます。
アパレル業の商標登録の裏技(小売業の35類を活用)
多くの区分にまたがる商品を取り扱っているものの、商標登録の費用を抑えたいことがあります。
そのような場合、小売業の35類の活用が考えられます。
35類で商標登録を取得するメリットは、以下の2つです。
- 商標登録の費用を抑えられる
- 商標登録の類似範囲で、多くの商品をカバーできる
商標登録の費用を抑えられる
あるゆる商品の小売業は、全て35類に該当します。
35類の1区分だけ、商標出願すれば、様々な商品の小売業をカバーできるので、商標登録の費用を抑えられます。
商標登録の類似範囲で、多くの商品をカバーできる
現行の商標実務では、商品とその商品の小売業は、類似すると判断されます。
よって、35類の商標登録の類似範囲で、多くの商品をカバーできます。
例えば、あなたが、35類で、被服・サングラスなどの小売業で商標登録を取得したとします。
その場合、9類のサングラスについて、同一・類似の商標を他人が商標出願しても、あなたの商標登録により拒絶されます。
費用を節約するため、35類で商標登録した場合、不使用取消審判には、注意が必要です。
35類は、あくまでも小売業で、商品の区分ではありません。
店舗名としてではなく、商品ブランドとして使用している場合、不使用取消審判によって、35類の商標登録が取り消される危険性があります。
予算に余裕ができたら、メインの商品だけでも、商品の区分で商標登録することをお勧めします。
アパレル業での商標登録で分からないことがあれば、商標専門の弁理士に相談!
アパレル業での商標登録で分からないことがあれば、商標登録の専門家(弁理士)に相談しましょう。
なお、筆者は、アパレル会社の数多くの商標登録を手伝った経験があります。
筆者(すみや商標知財事務所)にご連絡いただければ、親身になって、一緒に検討します。
弁理士歴12年の商標専門の弁理士
・アパレル業のメインとなる区分は、25類(被服など)です。しかし、ファッション関連アイテムには様々なものがあり、18類(バッグなど)や14類(時計・身飾品など)なども商標登録でカバーすることが考えれます
・セレクトショップの場合や通販サイト名・ショップ名の場合には、各種商品の小売業の35類をカバーすべきです
・取り扱うアイテムの種類が多いと、区分数が多くなり、費用が高くなりがちです。費用を抑えたければ、出願する区分の限定や小売業の35類の活用を検討しましょう