日本有数のゲームメーカーのスクエニは、多数の商標登録を保有しています。
その中には、人気ゲームのドラクエに関連する登録商標が、いくつもあります。
商標専門の弁理士である筆者が、徹底的に、ドラクエ関連の商標登録を調べました。
ドラクエが好きな人であれば、楽しめる記事内容になっています。
また、ドラクエを保護するための徹底的な商標戦略が学べます。
さらに、ドラクエのようなゲームコンテンツについて、どのように商標登録を取得すべきか、分かります。
スクエニの商標出願・登録について
スクエニは、スクウェア・エニックス社の略称です。
スクエニは、2003年に、ゲームメーカーのスクウェアとエニックスの合併により誕生しました。
日本有数のゲームメーカーで、大人気のゲームタイトルをいくつも抱えています。
株式会社スクウェア・エニックスは、約1500件の商標登録・出願を保有しています。
また、親会社の株式会社スクウェア・エニックス・ホールディングスは、約340件の商標登録・出願を保有しています。
その商標登録の中には、人気ゲームのドラクエに関連した商標登録も、多数、含まれています。
そこで、ドラクエ関連の商標登録を紹介していきます。
ドラクエのゲームタイトルの商標登録
ドラゴンクエストは、大人気のRPGゲームシリーズの名称で、その略称が、「ドラクエ」です。
第一作目は、1986年5月27日に、旧エニックス社から発売されました。
発売前の1986年3月3日に「」を商標出願していて、商標登録しています。
ドラクエ関連の最も古い商標登録です。
その後、文字商標の「ドラコンクエスト」や略称の「ドラクエ」も、商標登録しています。
- DRAGON QUEST
- ドラクエ
ドラクエのような略称の商標登録の必要性については、以下の記事で紹介しています。
ちなみに、ドラクエの最初の3つの作品は、同じ舞台設定です。
ファンの間では、「ロト三部作」「ロトシリーズ」と呼ばれています。
そのため、「」も商標登録しています。
ドラクエのサブタイトルの商標登録
ドラゴンクエストは、11作目まで発売されています。
2作目以降には、サブタイトルが付けられています。
特に、有名なサブタイトルは、ドラゴンクエストⅢの「そして伝説へ・・・」です。
発売が予定されている12作目も含めて、サブタイトルの名称は、全て商標登録を取得しています。
- 悪霊の神々
- そして伝説へ・・・
- 導かれし者たち
- 天空の花嫁
- 幻の大地
- エデンの戦士たち
- 空と海と大地と呪われし姫君
- 星空の守り人
- 目覚めし五つの種族
- 過ぎ去りし時を求めて
- 選ばれし運命の炎
なお、サブタイトルの商標登録の有効性については、以下の記事で紹介しています。
「ドラクエ」から考えるサブタイトルの商標登録の必要性!ドラクエのスマホアプリ・アーケードゲームの商標登録
ドラクエ関連のスマホアプリも、いくつもリリースしています。
例えば、大人気のスマホアプリ「ドラゴンクエストウォーク」です。
リリース翌日にはApp Storeのセールスランキングで首位となり、その翌日には累計ダウンロード数が300万件に達しました。
また、ゲームアプリの「星のドラゴンクエスト」も大人気です。
配信開始から1週間で300万ダウンロードされました。
このようなドラクエのスマホアプリ関連の商標も、以下の通り、商標登録しています。
- ドラゴンクエストウォーク
- 星のドラゴンクエスト
- 星ドラ
- ドラゴンクエスト けしケシ!
- ドラクエベビー&キッズ~スライムとあそぼう~
また、ゲームセンターなどで遊べるアーケードゲームにも、ドラクエ関連のものがあります。
例えば、メダルゲームの「星のドラゴンクエスト キングスプラッシュ」です。
様々な場所で導入されていて、日本全国で遊ぶことができます。
その他にも、以下の通り、ドラクエ関連のアーケードゲームの商標登録を取得しています。
- キングスプラッシュ
- クロスブレイド
- モンスターバトルスキャナー
ドラクエのスピンオフゲームの商標登録
ドラクエをモチーフにしたゲーム、ドラクエの登場人物をモチーフにしたスピンオフゲームも、多数、発売されています。
ドラクエのスピンオフゲームの先駆けは、「トルネコの大冒険 不思議のダンジョン」です。
ドラゴンクエストⅣの登場人物「トルネコ」を主人公としたダンジョンRPGです。
また、ドラゴンクエストモンスターズも、人気のドラクエのスピンオフゲームです。
様々なモンスターを主人公の仲間にして、育成しながら冒険を進めるRPGゲームです。
2023年には、「ドラゴンクエストモンスターズ3 魔族の王子とエルフの旅」が発売されました。
「ドラゴンクエストビルダーズ」も、人気ゲームです。
ブロックで表現された広大な世界を自由に創り、物語を紡いでいくブロックメイクRPGです。
以下の通り、スピンオフゲーム関連の商標も、商標登録しています。
- トルネコの大冒険
- ドラゴンクエスト・キャラクターズ
- ドラクエモンスターズ
- テリーのワンダーランド
- ルカの旅立ち
- イルの冒険
- マルタのふしぎな鍵
- ドラゴンクエストモンスターズジョーカー
- 魔族の王子とエルフの旅
- ドラゴンクエストビルダーズ
- アレフガルドを復活せよ
- 破壊神シドーとからっぽの島
- 闇竜と世界樹の城
ドラクエの漫画や映画の商標登録
ドラクエをモチーフにした漫画もあります。
例えば、「ドラゴンクエスト列伝 ロトの紋章」です。
「ドラゴンクエスト列伝 ロトの紋章」の商標登録を取得しています。
また、ドラクエをモチーフにした映画もあります。
2019年に公開された3DCGアニメーション映画の「ドラゴンクエスト ユア・ストーリー」です。
「ドラゴンクエスト ユア・ストーリー」を商標登録しています。
ドラクエのゲーム内のモンスター・呪文や武器の商標登録
ドラクエでは、主人公たちが、モンスターを倒すことで、経験値を得て、レベルアップしていきます。
様々なモンスターが出てきますが、その中には、名称を商標登録しているモンスターもいます。
ドラクエの代表的なモンスターは、スライムで、スライム関連の多数のグッズが、販売されています。
<ぬいぐるみクリーナー>
<ミニテーブル>
<クリップ付きキーホルダー>
よって、スクエニは、以下のスライム関連の商標登録を取得しています。
- スライム
- ぷにゅぷにゅスライム
また、膨大なモンスターのうち、「キングレオ」についても、商標登録を取得しています。
これは、以下の「キングレオ」という名称のカードゲームが発売されたことに起因しています。
ドラクエでは、呪文を使って、敵を攻撃したり、仲間の体力を回復させたりします。
多くの呪文が、登場しますが、その中には、商標登録を取得している呪文の名称もあります。
「メガンテ」と「パルプンテ」は、商標登録しています。
なぜ、この2つの呪文の名称を商標登録しているか?
それは、以下の通り、「メガンテ」「パルプンテ」という名前のカードゲームを発売したからです。
ゲーム内では、武器を装備することで、敵に与えるダメージを上昇することができます。
「てつのつるぎ」や「こんぼう」など、様々な武器が登場し、ドラクエの武器をモチーフにした商品も、販売されています。
例えば、勇者のみが装備できる伝説の武器、「天空の剣」をモチーフにしたおもちゃが、商品化されています。
スクエニは、「天空の剣」を商標登録しています。
ゲーム内の城・施設の商標登録
ドラクエのゲーム内には、様々な城やダンジョンが登場します。
ドラクエ4に登場する魔物の城「デスパレス」の名称を、商標登録しています。
調べてみると、「デスパレス」という名称のカードゲームが、販売されていました。
また、ドラクエのゲーム内には、「ルイーダの酒場」という店も登場します。
ルイーダの酒場では、一緒に旅をするメンバーを変更することができます。
スクエニは、「飲食物の提供」などを指定役務とする「ルイーダの酒場」の商標登録を取得しています。
秋葉原に、ドラクエをコンセプトにしたレストラン「ルイーダの酒場」があるので、商標登録したようです。
ドラクエの主人公のほとんどが、「勇者」です。
「勇者」といえば、ドラクエを想起する人が多いと思います。
そのため、「勇者」という単語をスクエニは大切にしていて、「勇者」を商標登録しています。
「勇者」の商標登録は5件もあり、様々な商品やサービスをカバーしています。
また、1989年に商標出願していて、長年、スクエニが「勇者」という単語を大切にしてきたことが分かります。
ドラクエには、無数のキャラクターが登場し、色々なセリフを発しています。
その中で、初代ドラクエで登場するセリフ「ゆうべはお楽しみでしたね」は、商標登録されています。
これは、「ゆうべはお楽しみでしたね」というタイトルの漫画があるからで、テレビドラマ化もされました。
また、ゲームを途中で終えるとき、ゲーム内で、「冒険の書」に記録することで、データをセーブします。
ドラクエは、「冒険の書」の名称も、商標登録を取得しています。
実際、「冒険の書」をモチーフにしたグッズも、販売しています。
ドラゴンクエストⅩに関連した商標登録
ドラゴンクエストXは、ドラクエシリーズでは、初のオンラインゲームです。
2012年8月にWii版が発売され、その後、Nintendo Switchなど、様々なゲーム機でも発売されています。
今も、定期的に大型アップデートが行われて、コンテンツが追加されています。
ドラゴンクエストXに関連した商標登録が、複数、あります。
例えば、ドラゴンクエストXに登場する笑いと夢に生きる種族「プクリポ」です。
また、定期的に発売される追加パッケージには、それぞれストーリーの名称が付けられています。
例えば、2024年3月21日発売の追加パッケージのストーリーの名称は、「未来への扉とまどろみの少女」です。
このようなストーリーの名称も、商標登録しています。
ドラゴンクエストX関連の商標登録は、以下の通りです。
- 未来への扉とまどろみの少女
- いにしえの竜の伝承
- 眠れる勇者と導きの盟友
- 5000年の旅路 遥かなる故郷へ
- いばらの巫女と滅びの神
- 天星の英雄たち
- 冒険者のおでかけ便利ツール
- おでかけモシャスdeバトル
ドラクエから派生した文房具・アパレルブランドの商標登録
ドラクエから派生した商品も、多数あります。
例えば、「バトルえんぴつ」です。
鉛筆を転がして上向きになった面を乱数として使用するゲームです。
主に小学生に人気を博しています。
「バトルえんぴつ」の略称である「バトエン」を、商標登録しています。
また、「バトルえんぴつ」に付随したアイテムに、「おたすけケシゴム」があります。
スクエニは、「おたすけけしごむ」も商標登録しています。
また、赤ちゃんや子供用のドラクエ商品のブランドもあります。
「ドラクエ ベビー&キッズ」です。
これに伴い、「」も、商標登録しています。
「ドラクエ」を保護するための徹底した商標戦略!
「ドラクエ」は、幅広い世代から、長年、愛されていて、ドラクエ関連の様々なスピンオフ作品やスマホアプリが発売されています。
また、その他にも、ドラクエをモチーフとした商品・サービスも、多数、提供されています。
このような中で、ドラクエのブランドを維持していくために、商標登録が有効です。
商標登録には、コストが掛かりますが、それでも、多数のドラクエ関連の商標を登録して、「ドラクエ」を徹底的に保護しています。
スクエニによって、「ドラクエ」は最重要ブランドの1つであることが分かります。
なお、「ドラクエ」と同様、世界的に人気のある「ポケモン」も、商標登録に積極的です。
興味のある方は、以下の記事を、チェックしてください。
商標登録による「ポケモン」の徹底した保護(「ポケモン」の関連商標を紹介)なお、商標登録で分からないことやお困りのことがあれば、筆者(すみや商標知財事務所)まで、ご連絡ください。
業界では珍しい「商標専門」の弁理士
・「ドラクエ」は、大人気のRPGゲームシリーズの「ドラゴンクエスト」の略称です。ドラクエ関連の様々な商品・サービスが展開されています
・ドラクエ関連の商標は、多数、登録されています。ゲーム内の呪文・武器やモンスターの名称まで、商標登録を取得しています
・ドラクエ関連の商標登録を分析すると、緻密な商標戦略で、多額の費用を掛けて、「ドラクエ」を広く保護していることが分かります