ハウスマークの重要性と個別ブランドとの保護戦略の違い

まとめ

・ハウスマークとは、企業の営業標識として用いられるもので、企業を代表するような商標・マークになります

・提供する商品・サービスに共通して使用され、また、様々な場面で使用されるので、ハウスマークは、最重要の商標・マークの1つになります

・日本の商標出願の有無、出願する区分の数、外国への商標出願の戦略などで、ハウスマークと個別ブランドで違いが出ます

ハウスマークとは

あなたは、ハウスマークとは何か、分かりますか?

ハウスマークは、コーポレートマークとも言われていて、企業の営業標識として用いられるマークになります。

消費者がハウスマークを見れば、どの企業が提供する商品・サービスか、判断することができます。

例えば、以下のような商標が、ハウスマークになります。

        (商登第5419081号)
   (商登第2681252号)
  (商登第2048648号)
   (商登第6478440号)

上記の登録商標を見て、どの企業のマークか、すぐに分かったと思います。

このように企業を代表するような商標・マークが、ハウスマークになります。

ハウスマークとは、コーポレートマークとも言われ、その企業を代表するような商標・マークになります

ハウスマークの重要性

ハウスマークは、その企業を代表するようなもので、様々な場面で使用します。

例えば、その企業が提供する商品・サービスに、共通して使用されます。

また、自社のウェブサイトやカタログなどにもハウスマークを記載します。

ソフトバンク社のホームページを例にすると、以下の通り、大々的にハウスマークが使用されています。

(ソフトバンク株式会社のホームページより)

テレビCMなどの広告でも、以下のように、ハウスマークが大々的に使用されます。

(ソフトバンク株式会社のCMより)

さらには、取引先の一覧を示す際に、ハウスマークが掲載されることもあります。

(株式会社ペンシルのホームページより)

このように様々な場面で使用されるハウスマークは、その企業にとって、最重要の商標・マークの1つになります。

ハウスマークは様々な場面で使用され、企業を代表する商標・マークなので、その企業にとって、最重要な商標の1つになります

個別ブランドとの保護戦略の違い

企業には、特定の商品やサービスに使用する商品名・サービス名などの個別ブランドも存在します。

商標保護の予算にも限りがありますので、ハスマークと個別ブランドでは、当然、商標による保護戦略にも違いが出てきます。

商標専門の弁理士としての経験を踏まえて、主な相違点は以下の通りです。

日本の商標出願の有無

ハウスマークは、企業にとっての最重要の商標・マークになります。

仮に、第三者にハウスマークの商標登録を取得されてしまうと、事業に支障が生じる危険性があります。

そのため、多くの企業が、ハウスマークについては、きちんと商標出願しています

一方、商品名・サービス名などの個別ブランドは、ハウスマークに比べて、数も多いです。

弁理士としては、個別ブランドも商標出願することをお勧めしますが、コストも掛かります。

実情としては、漏れなく個別ブランドを商標出願している企業を少なく、多くの企業が、主要な個別ブランドのみ、商標出願している印象です。

商標出願する区分の数

ハウスマークは、その企業の取り扱う商品・サービスに使用します。

よって、ハウスマークの商標出願は、広範囲に指定商品・役務をカバーして、商標出願する区分の数も多いです

区分数によって、特許庁に支払う印紙代が増減しますので、ハウスマークの商標出願のコストも高くなります。

それに比べて、個別ブランドの場合、商標を使用する商品・サービスが限定されています。

個別ブランドの商標出願の指定商品・役務は、ハウスマークの場合よりも、狭くなるのが一般的です。

商標出願する区分の数も、ハスマークよりも、少なく、その分、費用も抑えられます。

外国への商標出願の戦略

ハウスマークについては、外国への商標出願にも積極的です。

事業進出していない国においても、先を見越して、商標出願することがあります。

コストを掛けてでも、多くの国に商標出願することが多いです。

一方、個別ブランドについては、外国でも商標登録を取得している企業は多くありません。

事業展開の予定がある国に商標出願することはありますが、事業予定のない国で、防衛的に個別ブランドの商標出願することは、ほとんどありません。

外国への商標出願には、多額のコスト・労力が掛かりますので、個別ブランドまで、手が回らないのが実情になります。

分割納付するか

登録料を納付する際、もしくは、商標登録を更新する際に、分割納付を選択することができます。

商品・サービスのライフサイクルが短い可能性がある個別ブランドの場合、分割納付を選択することがあります。

コストを抑えることができるので、分割納付の利用は有効です。

一方で、ハウスマークの場合、変更せずに、長く使用することが想定されます。

また、10年分のトータルのコストで考えると、分割納付の方が、少し割高になります。

経験上、ハウスマークの場合には、分割納付を選択することは、滅多にありません。

商標弁理士の経験上、個別ブランドよりも、多額の費用を使い、商標登録で、ハウスマークを広く保護する傾向があります

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です