ロゴ商標「ストーンオーシャン」の審決例紹介

まとめ

・商標「」から「ストーンオーシャン」(STONE OCEAN)部分を分離・抽出して認識しないと判断しました

・結論として、商標「」と商標「」が類似しないと、審判官は判断しました

事件の概要

商標の実務で、参考になる判例・審決例を紹介していきます。

今回は、審判番号が不服2022-6182のロゴ商標「ストーンオーシャン」の審決例を紹介します。

まず、事件の概要を説明します。

株式会社集英社は、「キーホルダー」「時計」「かばん類」などを指定商品とする、以下のロゴ商標を出願しました。

(商願第2021-145517号)                          

しかし、特許庁の審査において、以下の先行商標「STONE OCEAN」と抵触するとして、拒絶されました。

(商登第6433929号)                                  

この判断に不服のある集英社が、拒絶査定不服審判を請求したのが本件になります。

特許庁の判断

あなたは、出願商標「」と引用商標「」が類似していると思いますか?

つまり、出願商標「」から「ストーンオーシャン」(STONE OCEAN)部分が分離・抽出して認識されるでしょうか?

結論から言えば、両商標が類似していないと審判官は判断しました

出願商標中の「ジョジョの奇妙な冒険」の文字は、「荒木飛呂彦」著の漫画作品のタイトルになります。

同作品は、シリーズのコミックスの累計発行部数が1億部を突破し、アニメ化や映画化、関連グッズの販売もされています。

また、同作品の第6部のコミックスは、17巻(2003年発売)まで刊行され、そのアニメ作品のタイトルとして、本願商標と構成を共通にする標章が表示されています。

つまり、出願商標は、構成全体としては漫画作品のタイトルに通じます。

さらに、まとまりのよい不可分一体の構成も勘案すると、出願商標から、それぞれの構成部分(段)を分離して観察することは取引上不自然であると審判官は判断しました。

なお、出願商標中、需要者に対して強く印象及び記憶に残るのは、我が国で広く知られている漫画タイトルの「ジョジョの奇妙な冒険」の文字部分と判断しています。

審決例から学べること

いわゆる結合商標から一部分が分離・抽出して認識されるか否か、本件では争点になっています。

「ジョジョの奇妙な冒険」のような著名な表示が含まれていたり、商標自体が広く知れ渡っている場合には、判断に影響します。

つまり、結合商標から一部分が分離・抽出して認識されるか否か、判断する際には、対象の商標やその構成要素の著名性も考慮する必要があります。

なお、著名商標(Reebok)の組み合わせになる、以下の「Reebok ROYAL FLAG」の判例も、併せて、ご参照ください。

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