・ライブ会場やショップなどで、グッズを販売するので、グループ名を商標登録することをお勧めします
・特許庁データベースで調べると、人気の男性アイドルグループの名称は、ほとんど、商標登録されています
・実際、Snow Man、NUMBER_I、BTS、BE:FIRST、SMAPの5つのグループは、日本に関連する商標登録・出願を保有しています
人気男性アイドルグループの名称の商標登録の必要性
男性だけで構成されるアイドルグループは、多数、あります。
その中には、爆発的に人気のグループも、いくつか、存在します。
そのような人気グループの名称は、商標登録を取得することをお勧めします。
実際、特許庁データベースで調べると、人気の男性アイドルグループの名称は、ほとんど、商標登録されています。
その代表的な理由は、以下の通りです。
人気グループの場合、ライブ会場やショップなどで、グッズを販売しています。
タオル、団扇やTシャツなど、販売するグッズは、多種多様です。
そのグッズには、ほとんどグループ名が記載されています。
よって、販売するグッズでのグループ名の使用を保護するため、商標登録を取得することが考えられます。
実際、商標登録をチェックすると、様々な商品をカバーしています
商標出願しないでいると、他者に商標登録を取得される危険性があります。
特に、人気グループの名称は、世間に知れ渡りますので、勝手に商標出願されるリスクは高いです。
取得された範囲では、グループ名が使用できなくなる危険性があります。
異議申し立てや無効審判を請求することで、商標登録を取り消せる可能性がありますが、費用や時間が掛かります。
このようなリスクを排除するために、早めにグループ名も商標出願するのが、有効だからです。
グループ名を公表する前に、商標出願するのが、望ましいです!
人気男性アイドルグループの名称の商標
旧ジャニーズ事務所の所属のグループをはじめ、人気の男性アイドルグループが、数多く、存在します。
その中から、5件のアイドルグループをピックアップしました。
関連する日本の商標登録などを、紹介していきます。
① Snow Manとは
Snow Manは、日本の9人組の男性アイドルグループです。
所属事務所は、SMILE-UP.(旧ジャニーズ事務所)です。
2012年に、深澤辰哉さん、佐久間大介さん、渡辺翔太さん、宮舘涼太さん、 岩本照さん、阿部亮平さんの6人で結成されました。
その後、向井康二さん、目黒蓮さん、村上真都ラウールさんの3人が加入しました。
2019年8月8日にCDデビューすることが発表され、2020年1月22日にシングル「D.D.」でデビューしました。
爆発的な人気を誇り、リリースしたCDでは、ミリオンヒットを連発しています。
また、2023年の大みそかに、YouTubeで、音楽ライブなどの生配信を行いました。
同時接続数は、最大133万超えで日本記録を更新し、日本歴代1位の記録を達成しました。
② 「Snow Man」の登録商標について
旧ジャニーズ事務所は、以下の「Snow Man」の登録商標を取得しています。
なお、出願日は、2019年8月8日です。
Snow ManのCDデビューの発表日に、商標出願していて、興味深いです。
CDデビューの発表により、注目が集まり、勝手に「Snow Man」を商標出願される危険性が高まります。
そのような商標出願を排除するため、CDデビューの発表日に商標出願したようです。
③ 「Snow Man」の商標登録の権利範囲が狭い理由
「Snow Man」の商標登録の権利範囲、つまり、区分と指定商品は、以下の通りです。
- 9類 電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,眼鏡,楽器用エフェクター
- 11類 ペン型ライト,電球類及び照明用器具,家庭用電熱用品類
- 16類 紙製包装用容器,プラスチック製包装用袋
- 18類 皮革製包装用容器,携帯用化粧道具入れ,傘
- 20類 木製・竹製又はプラスチック製の包装用容器,家具,アドバルーン,木製又はプラスチック製の立て看板
- 21類 化粧用具,ガラス製又は陶磁製の包装用容器
大人気グループなので、様々なグッズを販売しています。
それにも関わらず、バッグ・クッションや文房具などがカバーされておらず、権利範囲が狭いです。
これには、理由があります。
2019年8月8日に出願した時点で、類似する先行商標が、多数、存在していました。
実際、特許庁の審査において、計18件の他社の先行商標が、障害となりました。
例えば、以下のような先行商標です。
先行商標の問題を解消するため、多くの指定商品を削除しました。
そのため、限定した指定商品で、商標登録になりました。
① Number_iとは
Number_iは、日本の3人組の男性アイドルグループです。
所属事務所は、滝沢秀明さんが代表を務めるTOBEです。
2023年10月15日のYouTube生配信において、Number_iを結成したことを発表しました。
メンバーは、平野紫耀さん・神宮寺勇太さん・岸優太さんです。
3人とも、旧ジャニーズ事務所のKing & Princeのメンバーでした。
2024年1月1日に、デジタルシングル「GOAT」をリリースしました。
② 「Number_i」関連の出願商標について
特許庁データベースで調べると、以下の「Number_i」関連の商標を出願しています。
出願日は、どちらも、2023年10月11日です。
2023年10月15日に、グループ名を公表する前に、出願しています。
③なぜ、出願人の名義が「菅田 由紀子」さんなのか?
商標出願の名義は、どちらも「菅田 由紀子」さんです。
株式会社TOBEの名義ではありません。
これは、おそらく、「商標バレ」を警戒したものと推測します。
商標を出願すると、特許庁データベースに、出願した商標が公開されます。
出願商標から、公表前に、グループ名がバレるかもしれません。
このようなリスク(商標バレ)を回避するために、あえて、株式会社TOBEの名義で出願しなかったと考えます。
④ 「Number_i」のロゴの商標トラブル
「Number_i」のロゴが、日本のロックバンド「The BONEZ」のロゴと類似していると話題になりました。
TOBEは、The BONEZの所属事務所と話し合いを重ねて、和解することができました。
近年、SNSを通じて、急速に広まり、炎上するリスクがあります。
商標を決める際には、このような炎上リスクを考慮する必要があります。
① BTSとは
BTSは、韓国の7人組の男性アイドルグループです。
メンバーは、JINさん、SUGAさん、J-HOPEさん、RMさん、JIMINさん、Vさん、JUNG KOOKさんです。
2013年6月13日にCDデビューして、日本では、2014年にデビューしました。
2020年に発売した「Dynamite」は、世界的に大ヒットしました。
ミュージックビデオは公開24時間で1億110万回再生されました。
さらに、アメリカのグラミー賞にもノミネートされました。
2021年に発売した「Butter」も、世界的に大ヒットし、こちらもグラミー賞にノミネートされました。
② BTS関連の登録商標について
所属事務所のビッグヒット ミュージックは、以下の「BTS」関連の商標登録を保有しています。
また、BTSのファンは、「ARMY」と呼ばれています。
BTSの所属事務所は、以下の通り、「ARMY」についても、商標登録を取得しています。
このような商標登録から、BTSが、ファンを大切にしているグループだと分かります。
BTSの世界的な大成功には、ファンを大切にする姿勢が影響しているはずです。
なお、別称の「防弾少年団」や略称の「バンタン」の商標登録は見つかりませんでした。
③ 日本以外でのBTS関連の商標出願について
BTSは、日本だけではなく、世界中で、大人気です。
そこで、マドプロ出願を利用して、世界各国に商標出願しています。
調べたところ、アメリカ、カナダ、中国、イギリスなどで、BTS関連の商標を出願しています。
さらには、アルジェリア、エジプト、インド、イラン、モンゴルやアフリカ諸国でも、商標出願しています。
商標出願を調べても、BTSが、グローバルに活動していて、世界中で大人気なのが分かります。
① BE:FIRSTとは
BE:FIRSTは、日本の7人組のボーイズグループです。
所属事務所は、SKY-HIさんが代表を務めるBMSGです。
オーディション番組で選抜された7名で、結成されました。
メンバーは、島雄 壮大さん、久保 舜斗さん、廣瀨 真人さん、黒田 竜平さん、池亀 樹音さん、三山 凌輝さん、上村 礼王さんです。
2021年に、プレデビュー曲「Shining One」を配信リリースし、その後、「Gifted.」でCDデビューしました。
また、2022年から、NHK紅白歌合戦にも出場しています。
② 「BE:FIRST」関連の登録商標について
BMSGは、以下の商標登録を取得しています。
なお、出願日は、どちらも2021年7月16日です。
2021年8月13日にグループ名が公表されたので、公表する前に、きちんと商標出願していました。
なお、BE:FIRSTのオフィシャルファンクラブの名称は、「BESTY」です。
BMSGは、以下の通り、「BESTY」の商標登録も取得しています。
① SMAPとは
SMAPは、日本の男性アイドルグループです。
所属事務所は、ジャニーズ事務所(現SMILE-UP.)です。
メンバーは、中居正広さん、木村拓哉さん、稲垣吾郎さん、草彅剛さん、香取慎吾さんです。
また、森且行さんも、1996年に脱退するまで、メンバーでした。
1988年に結成され、1991年にCDデビューしました。
2016年12月31日に解散するまで、28年間、活動しました。
「国民的グループ」と称されて、「世界に一つだけの花」など、大ヒット曲も、多数、あります。
② 「SMAP」の登録商標について
ジャニーズ事務所(現SMILE-UP.)は、以下の商標登録を取得しています。
なお、SMAPは、残念ながら、解散してしまったので、すでに存在しません。
しかし、解散後も、商標登録を更新していて、商標登録を維持しています。
SMAPのグループ名は、現在も、広く知れ渡っています。
また、SMAPのCDなどは、解散後も、売れ続けています。
そういった観点から、SMAPの商標登録は、これから、何十年も、生き続けるでしょう。
③ 他人が「SMAP」と商標出願すると、拒絶される
他人が「SMAP」と商標出願したら、特許庁は、どのように判断するでしょうか?
実際に、2023年に商標出願した事例を紹介します。
昭和飛行機工業が、商標「SMAP」を商標出願しました。
なお、指定商品は「観測用ロケット並びにその部品及び附属品」などです。
これに対して、特許庁は、本願商標が、以下の商標法4条1項8号の規定に該当すると判断しました。
他人の肖像又は他人の氏名若しくは名称若しくは著名な雅号、芸名若しくは筆名若しくはこれらの著名な略称を含む商標
「SMAP」は、日本の国民的アイドルグループ名(芸名)で、現在も、日本で著名と判断しました。
よって、SMAPの元メンバーの承諾がなければ、商標登録できないと、拒絶理由を通知しました。
④ ちなみに、第三者が「TOKIO」を商標出願したら、こちらも拒絶された
ちなみに、SMAPの後輩グループ「TOKIO」も、第三者によって、商標出願されました。
こちらは、拒絶査定に承服せず、審判まで争いました。
しかし、最終的に、SMAPの商標出願と同様、TOKIOのメンバーの承諾がなければ、商標登録できないと判断されました。
商標登録で分からなければ、商標専門の弁理士に相談!
このように、アイドルグループの名称を商標登録することは、多々あります。
しかし、実際に商標登録しようとすると、分からないことが出てくるかと思います。
分からないことがあれば、商標専門の弁理士に相談しましょう。
なお、筆者(すみや商標知財事務所)に相談いただければ、親身になって、一緒に検討します。
業界では珍しい「商標専門」の弁理士