「商標登録って高そう…」「そもそも個人事業主に必要なの?」
そんな不安や疑問をお持ちではありませんか?
実は、商標登録は、個人事業主こそ早めに取り組むべき“自己防衛策”。
ただし、費用の全体像や節約のコツを知らずに手続きを進めると、本来抑えられたはずのコストがかさんでしまうこともあります。
この記事では、
- 商標登録にかかる費用の内訳と変動する3つの要因
- 個人事業主が使える節約ポイント
- 実際にかかった費用例(リアルなケーススタディ)
を、弁理士の視点からわかりやすく、具体的に解説します。
これから商標登録を検討している個人事業主の方に、きっと役立つ内容です。

・すみや商標知財事務所の代表弁理士(登録番号18043)が執筆しています
・商標専門の弁理士として、13年以上、働いています
・個人事業主の方から相談を受けて、費用や節約ポイントを説明しました
・初心者向けに分かりやすく説明するのが、得意です
商標登録にかかる費用の全体像

商標登録に掛かる費用は、いつ発生しますか?

①商標出願のタイミング、②特許庁の審査を通過して、登録料を納付するタイミングで、必ず、費用が生じます!

商標登録に掛かる費用の種類を教えてください

費用の主な種類は、①特許庁に支払う費用(印紙代)と②弁理士に依頼した場合の弁理士に支払う手数料です!
なお、詳しくは、以下の記事で、紹介しています。

標登録の願書を特許庁に提出する際に、併せて、特許庁に費用(印紙代)を支払う必要があります。
1区分目が12,000円で、2区分目からは、追加する区分あたり、8,600円、掛かります。
つまり、出願時に掛かる印紙代は、「12,000円(1区分目)+8,600円×追加の区分数」です。
登録時にも、特許庁に支払う印紙代が掛かります。
なお、登録料の納付方法は、10年分一括と5年分分割を選ぶことができ、印紙代は、各々、以下の通りです。
10年分一括(10年分の費用):32,900円×区分数
5年分分割(5年分の費用):17,200円×区分数

特許庁に支払う費用(印紙代)は、安くならないですか?

特許庁は、印紙代の減免制度を用意していないので、残念ながら、費用を安くできません!
1区分の場合、商標出願に掛かる弁理士費用の相場は、5~8万円です。

商標出願に掛かる費用には、商標登録の願書作成の他に、事前の打ち合わせ等の費用も含まれています!
なお、弁理士によって、手数料も大きく異なります。

弁理士の手数料はピンキリだと思うので、参考までに、先生の事務所の手数料を教えてください

筆者の場合、1区分の出願手数料は、5万円です。
なお、期間限定で、新規のお客様には、出願手数料を10%引きにします!
また、特許庁の審査を通過して、登録料を納付する際にも、通常、弁理士の手数料・謝金が発生します。
1区分の場合、登録料の納付に掛かる弁理士費用の相場は、4~6万円です。

筆者の場合、区分数にかかわらず、登録時の手数料は、3万円です
費用が変動する3つのポイント

どのような要素で、商標登録に掛かる費用が決まりますか?

主に、以下の3つの要素(ポイント)で、商標登録に掛かる費用が変動します!
- 区分数が増えると費用も上がる
- 拒絶理由通知を受けると、追加費用が掛かるかも
- 自力出願 vs 弁理士依頼の違い
商標登録の区分の数で、商標登録に掛かる費用が決まります。

そもそも「区分」って、何ですか?

区分とは、商品・サービスのカテゴリーで、1類~45類まで、計45個あります
区分の数が増える程、商標登録の保護範囲が広がりますが、その分、特許庁に支払う費用(印紙代)が増額します。
また、弁理士に支払う手数料も、一般的に、区分の数が増える程、増額します。
特許庁の審査で、商標登録が認められないと判断すると、拒絶理由が通知されます。
拒絶理由通知を受けて、弁理士にお願いして、応答書面を特許庁に提出する場合、弁理士の手数料が生じる可能性が高いです。

特許庁に支払う費用(印紙代)は、いくらですか?

特許庁に支払う費用(印紙代)は、原則、掛かりません!
弁理士に支払う手数料は、拒絶理由通知の応答内容によって、決まります。

筆者の場合、簡単な応答内容であれば、無料で対応しています!
なお、拒絶理由通知を避けるには、事前の商標調査が重要です。
弁理士に商標調査を依頼して、綿密に検討した上で、商標出願すれば、拒絶理由通知を回避できる可能性が高いでしょう。
自力出願であれば、特許庁に支払う費用(印紙代)だけで済みます。
一方、弁理士に依頼した場合には、弁理士に支払う手数料が発生します。
自力出願の方がコストを抑えられますが、労力や時間が掛かります。
以下の記事では、自力出願と弁理士依頼を比較しているので、参考にしてください。

個人事業主が使える3つの節約ポイント

個人事業主として稼げていないので、商標登録に掛かる費用をなるべく節約したいです

以下の3つのポイントを実践すれば、商標登録に掛かる費用を抑えられるでしょう!
- 事前に「似た商標」を検索しておく
- 事業に本当に必要な区分だけを選ぶ
- 自力出願のリスクと注意点を知った上で選択
同一分野において、同一もしくは類似の登録商標・出願商標が存在すると、商標登録できません。
よって、事前に、「似た商標」がないか、検索しておけば、無駄な商標出願を防げます。

どうやって、商標登録・商標出願を検索できますか?

オンラインのデータベース「J-PlatPat」を利用すれば、誰でも、無料で検索できます!
検索方法については、以下の記事で、具体的に紹介しています。


商標登録する区分を減らせば、その分、コストを節約できます。
個人事業主で、予算が限られているので、まずは、メインの商品・サービスの区分に限定して、商標登録を取得します。
その後、必要があれば、追加で、他の区分も商標登録することが考えられます。
【参考事例】「くまモン」の商標戦略
例えば、人気キャラクターの名称「くまモン」の商標戦略が参考になります。

まずは、「文房具類」や「印刷物」などの16類の1区分で、商標登録(商登第5387806号)しています。
その後、爆発的に人気になったので、以下の多数の区分についても、追加で商標登録(商登第5540075号・商登第5544490号)しました。
- 3類 化粧品 など
- 4類 ろうそく など
- 5類 衛生マスク など
- 9類 電子出版物 など
- 11類 電球類及び照明用器具 など
- 12類 乳母車 など
- 14類 キーホルダー など
- 18類 かばん類 など
- 20類 クッション など
- 21類 おみくじ など
- 24類 カーテン など
- 25類 被服 など
- 26類 テープ など
- 27類 畳類 など
- 28類 すごろく など
- 29類 肉製品 など
- 30類 菓子 など
- 31類 野菜 など
- 32類 果実飲料 など
- 33類 日本酒 など
- 35類 広告業 など
- 36類 建物の貸与 など
- 39類 鉄道による輸送 など
- 41類 電子出版物の提供 など
- 42類 電子計算機用プログラムの提供 など
- 43類 宿泊施設の提供 など
- 44類 あん摩・マッサージ及び指圧 など
- 45類 占い など

あの有名な「くまモン」でも、初めは、16類の1区分だけで、商標登録したんですね

ライセンスビジネスなので、商標登録が重要です。
それでも、成功するか、分からないので、まずは1区分だけにして、コストを抑えています!
自力での商標出願には、例えば、以下のリスクがあります。
- 出願書類の作成に手間が掛かる
- 出願書類の作成に時間も掛かる
- 商標登録で、適切にビジネスをカバーできない危険性アリ
また、自力での商標出願の場合、以下のような注意点があります。
- 特許庁への応答も自力で
- 期限の管理も自己責任
コスト節約のため、自力での商標出願を選択するのであれば、このようなリスク・注意点を事前に把握すべきです!
なお、このようなリスク・注意点を踏まえて、弁理士に依頼する場合、商標専門で、かつ、初心者向けに特化した「すみや商標知財事務所」にご依頼ください!
実際にかかった費用例(ケーススタディ)

実際に、どれぐらいの費用が掛かるか、知りたいです

商標登録までに、実際に掛かった3つの費用例(ケーススタディ)を紹介します!
特許庁に支払う費用(印紙代)が生じます。
また、弁理士に依頼するので、弁理士の手数料が発生します。
今回は、筆者の事務所の規定の手数料で、計算します。
出願時・登録時に掛かる費用と総額は、以下の通りです。
出願時に掛かる費用:印紙代12,000円+手数料55,000円=67,000円
登録時に掛かる費用:印紙代32,900円+手数料33,000円=65,900円
総額 132,900円
自力出願なので、弁理士の手数料は掛かりません。
つまり、特許庁に支払う費用(印紙代)だけで、済みます。
出願時・登録時に掛かる費用と総額は、以下の通りです。
出願時に掛かる費用:印紙代12,000円
登録時に掛かる費用:印紙代32,900円
総額 44,900円
自力出願なので、出願時には、弁理士の手数料は掛からず、印紙代だけで済みます。
しかし、特許庁から拒絶理由通知が届き、自力での対応が難しく、途中から、弁理士にお願いしたら、そこから、弁理士の手数料が掛かります。

自力で商標出願したものの、拒絶理由通知が届き、途中から代理した経験は、多いです!
出願時・拒絶理由の応答時・登録時に掛かる費用、及び、総額は、以下の通りです。
出願時に掛かる費用:印紙代12,000円
拒絶理由の応答時に掛かる費用:手数料77,000円
登録時に掛かる費用:印紙代32,900円+手数料33,000円=65,900円
総額 154,900円
商標登録の費用対効果とは?

個人事業主にとって、商標登録は、コスパが良いですか?

個人事業主にとって、自分の屋号やロゴは重要な財産です!
十数万円で、自分の財産を、10年間、保護できるので、コスパは悪くないです
商標登録を取得すれば、登録商標を独占的に使用できます。
弁理士に依頼したとしても、たった十数万円で、屋号やロゴの10年間の独占権を得られます。
一方、名前が盗まれたり、訴えられたりすると、損失は、その何十倍も掛かります。
また、ブランドの信頼性、取引先との信用にも関わり、深刻な被害が生じます。
【まとめ】個人事業主こそ商標登録で「自分のビジネスの顔」を守ろう

個人事業主こそ、自分の屋号やロゴを商標登録すべきですね

その通りです!
節約ポイントを抑えた上で、商標登録して、「自分のビジネスの顔」を守りましょう
個人事業主こそ、商標登録して、「自分のビジネスの顔」を守ることが重要です。
商標登録の費用は高すぎるわけではないですが、賢く選ぶことで、費用を抑えられます。
また、出願準備の段階でしっかりと先行商標を調べ、無駄なく進めることが、コストの節約に直結します。
さらに、プロ(商標専門の弁理士)に頼むことで安心・確実に進められるという選択肢もあります。
個人事業主の屋号・ロゴの商標登録は、できれば、商標専門の弁理士に依頼しよう!
商標登録までの流れ・商標出願のやり方は、以下の記事で、紹介しています。


しかし、個人事業主は、あらゆる業務を自分で対応する必要があるので、商標登録まで、手が回らないことが多いです。
時間や手間を省くために、商標登録は、商標専門の弁理士に依頼しましょう!

筆者(角谷 健郎)にご相談いただければ、親身になって、一緒に検討して、商標登録までサポートします!
事務所HPからもご相談いただけますが、以下のフォームからも簡単にお問い合わせいただけます。