商標「リフナビ大阪」の判例紹介

まとめ

・商標「リフナビ大阪」が、「リフナビ」のロゴ商標と類似すると、裁判所は判断しました

・引用商標の1文字目は、デザイン化されていますが、「ノ」や「ソ」ではなく「リ」と認識すると判断しました

・文字の一部分をデザイン化する手法は、一般的です。しかし、デザインの仕方によって、想定していない文字に認識される危険性があるので、注意しましょう

事件の概要

商標の実務で、参考になる判例・審決例を紹介していきます。

今回は、知的財産高等裁判所の令和5年(行ケ)第10010号の判決、商標「リフナビ大阪」の判例を紹介します。

まず、事件の概要を説明します。

原告は、以下の文字商標「リフナビ大阪」を商標出願しました。

(商願第2022-43886号)

しかし、特許庁の審査で、本願商標が、以下の引用商標と抵触するとして、本件の商標出願が拒絶されました。

(商登第5937768号)

この判断に対して、拒絶査定不服審判を請求しました。

しかし、判断が覆らず、拒絶査定が維持されました。

この審決に不服のある原告が、審決の取り消しを求めて、訴訟を提起したのが本件になります。

引用されたロゴ商標を「リフナビ」と認識するか、争点になりました

裁判所の判断

あなたは、本願商標が、引用商標と類似していると思いますか?

結論から言えば、裁判所は、本願商標が引用商標と類似するとして、原告の請求を棄却しました

裁判所の判断について、紹介していきます。

「リフナビ」が本願商標の主要部分か?

本願商標中の「リフナビ」の語は、辞書にも掲載されず、一種の造語と認識されます。

よって、「リフナビ」部分は、サービスの内容表示ではなく、需要者に対して、強い印象を与えます。

一方、本願商標「リフナビ大阪」中の「大阪」は、日本の地名です。

よって、「大阪」部分は、サービスの提供場所などを表示しているに過ぎません。

以上より、本願商標中の「リフナビ」部分が、本願商標の主要部分と判断しました。

主要部分の「リフナビ」が、本願商標から分離・抽出して、認識されます。

「大阪」は地名の表示に過ぎないので、「リフナビ」が本願商標の主要部分との裁判所の判断は妥当です

引用商標を「リフナビ」と認識するか?

引用商標の1文字は、ロゴ化されています。

原告は、1文字目が「ノ」もしくは「ソ」だと主張しました。

一方、被告は、「リ」だと主張しました。

裁判所は、被告の主張を認めて、引用商標を「リフナビ」と判断しました。

以下の図形が、判断のキーポイントになりました。

上記の図形も含めて、1つの文字と認識できます。

また、上記の図形は、真上から真下に向かって、まっすぐに配置されています。

よって、1文字目は、「ソ」・「ノ」ではなく、「リ」と認識できます

言われてみれば、確かに、引用商標の1文字目を「ソ」や「ノ」と認識できそうです。ただ、普通は、「リ」と認識すると思います!

本願商標は引用商標と類似するか?

本願商標の主要部分は、「リフナビ」です。

また、引用商標は、「リフナビ」をロゴ化したものです。

需要者は、本願商標と引用商標を誤認・混同するおそれがあります。

よって、本願商標は、引用商標と類似すると判断しました

判例から学べること

文字の一部分をデザイン化する手法は、一般的に行われています。

ただ、本件で争われたように、デザインの仕方によって、想定していない文字に認識される危険性があります

本件の「リ」と「ソ」の他に、「ン」と「ソ」など、似ているカタカナが存在します。

デザインが出来上がったときに、自分が想定している文字と認識できるか、チェックしましょう。

また、第三者に意見を聞くことも有効です。

迷うようであれば、同僚・友達や家族に、何の文字に見えるか、尋ねてみましょう。

想定していない文字と認識されないよう、ロゴ作成の際には、注意しましょう!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です