・商標権の効力は、日本全国に及びます。しかし、外国には、日本の商標権の効力は及びません
・商標権の存続期間は、設定登録日から10年間です。特許庁データベースで、存続期間満了日を確認できます
・更新登録の申請によって、何度でも存続期間を延長できます
商標権の地理的な効力の範囲
日本で商標登録を取得すると、どこまで効力が及ぶのでしょうか?
結論から言うと、商標権の効力は日本全国に及びます。
仮に、あなたが、北海道で「ABC」というレストランを運営しているとします。
あなたは、商標「ABC」を商標出願して、無事、商標登録できました。
その場合、商標権の効力は、実際の店舗がある北海道に限定されません。
商標権の効力が、北海道だけではなく、日本全国に及びます。
第三者が福岡のレストランの名称として「ABC」を使用すれば、商標権侵害に該当します。
逆にいうと、近隣に、似たような名前のお店がなくても、商標権の侵害に該当する危険性があります。
事業を開始する前に、特許庁データベースを使って、出願商標・登録商標をチェックすべきです。
商標登録を取得すると、その商標権は、日本全国に効力が及びます!
日本では、属地主義が採用されています。
属地主義とは、法律の適用範囲をその国の領域に限定するという考え方です。
すなわち、日本の商標権の効力は、日本に限定されます。
中国やアメリカなどの外国には及びません。
日本以外でも、商標を保護したければ、別途、外国に商標出願しましょう。
なお、世界的に、属地主義が採用されています。
よって、基本的には、外国の商標権が、日本での事業の障害にはなりません。
日本で商標を使用する場合、日本の出願商標・登録商標を調査すれば、十分です。
上述した通り、外国には、日本の商標権の効力が及びません。
しかし、外国に商品を輸出する場合、商標権の効力が及びます。
また、外国から商品を輸入する場合も、商標権の効力が及びます。
商標法2条3項には、商標の「使用」が定義されています。
その中で、輸出・輸入が、商標の「使用」に含まれています。
なお、これらの行為は、日本で行われるので、属地主義に反しません。
商標権の存続期間
商標登録は、いつまで存続するか、分かりますか?
商標法第17条第1項は、以下のように、規定しています。
商標権の存続期間は、設定の登録の日から十年をもつて終了する。
よって、商標権は、登録になってから、10年間、存続します。
具体的に言うと、審査を通過すると、特許庁から登録査定が届きます。
登録査定が届いたら、30日以内に、特許庁に登録料を納付します。
登録料を納付して、特に問題なければ、特許庁の原簿に記載されます。
つまり、商標権が設定登録になります。
この日から10年間が、商標権の存続期間です。
商標登録の存続期間を確認したいことは、多々あります。
そういった場合、公開データベース「J-PlatPat」で簡単に確認できます。
データベースには、誰でも、無料でアクセスできます。
例えば、データベースの「商標番号照会」の項目を選択します。
次に、「登録番号」の欄に、対象の商標登録を入力します。
入力したら、「照会」ボタンをクリックして、検索します。
検索結果の登録番号をクリックすると、登録内容の詳細が表示されます。
その中に、以下のように、存続期間満了日が記載されています。
なお、「商標検索」の項目を利用して、調べることもできます。
その場合、「商標(検索用)」の欄に、商標を入力して、案件を特定しましょう。
特許庁データベースを利用すれば、簡単に存続期間を調べられます
商標権の存続期間は、設定登録の日から10年で終了します。
しかし、商標法は、商標に蓄積された信用を保護することを目的としています。
場合によっては、10年の保護期間では、不十分です。
つまり、10年間で商標権が失効すると、不利益が生じる危険性があります。
そのため、更新登録の申請によって、10年間、存続期間を延長できます。
なお、更新できる回数に制限はなく、何度でも更新できます。
商標登録の更新については、以下の記事をご参照ください。
更新を繰り返すことで、商標権が消滅することはありません。
そのため、商標権は半永久的な権利と言われています。
実際、100年以上、存続している商標登録も存在します。
以下の記事では、明治時代から、生き続けている登録商標を5つ紹介しています。
興味のある方は、ぜひチェックしてください。
商標権の地理的な効力の範囲や存続期間で分からなければ、商標専門の弁理士に相談!
商標権のことで分からないことがあれば、専門家である弁理士に尋ねましょう。
特に、商標専門の弁理士が、商標に関する深い知識や経験があるので、オススメです。
なお、筆者(すみや商標知財事務所)にご相談いただければ、検討した上で、お答えします。
業界では珍しい「商標専門」の弁理士