筆者は、10年以上、商標専門の弁理士として、働いています。
2023年には、194件の商標出願を代理した実績があります。
よく依頼者から受ける質問が、「商標登録までに掛かる期間」です。
商標の専門家が、あなたの疑問に分かりやすく回答します。
この記事を読めば、「商標登録までに掛かる期間」が分かります。
また、どのような原因で、商標登録が遅れるか、学べます。
さらに、商標登録が遅れないようにする対策や期間を短縮する手段を、教えます。
商標登録までに掛かる期間について
日々、弁理士として商標業務をしていて、よく受ける質問があります。
その質問の1つが、「商標登録になるまでに掛かる期間」です。
確かに、商標出願したら、いつ頃に、商標登録になるか、気になりますね。
商標出願から、商標登録までの流れは、以下の通りです。
商標出願したら、すぐに商標登録になるわけではありません。
商標登録になるまで、いくつかの手続きがあるんですね
大まかに言えば、「商標出願→特許庁での審査→登録査定→登録料の納付→商標登録」の流れになるので、登録まで、結構、時間が掛かるよ!
スムーズに行けば、商標登録までに掛かる期間は、7~9ヵ月程度という体感です。
例えば、以下の登録第6783473号の商標登録は、2023年8月10日に出願して、2024年3月1日に登録されました。
商標出願してから登録になるまで、約7ヶ月、掛かっています。
ただ、案件によって、登録までの期間が大きく違うので、注意です。
出願してから、1年経っても、商標登録になっていないケースも、多数、あります。
審査期間が、商標登録までに掛かる期間に大きく影響!
商標登録までに掛かる期間は、特許庁での審査期間が、大きく影響します。
2024年3月の時点において、個人的な体感としては、出願してから6ヵ月前後で、審査結果が届いています。
なお、特許庁のウェブサイトにおいて、以下のような審査着手までの期間を公表しています。
特許庁ホームページの「商標審査着手状況(審査未着手案件)」で調べれば、簡単に最新状況が分かりますので、参考にしましょう。
なお、特許庁は、約3ヵ月ごとに、データを更新しています。
特許庁は、審査着手状況を公開しているんですね
特許庁HPにアクセスすれば、誰でも、最新の審査着手状況を確認できるので、とても便利です!
また、特許庁では、毎年、統計データを発表していて、その中で、商標のファーストアクション期間も、公表しています。
ファーストアクション期間とは、商標出願してから、審査結果の最初の通知(主に登録査定又は拒絶理由通知書)が発送されるまでの期間です。
簡単に言えば、出願してから、審査結果が届くまでの期間です。
2013年~2022年までをグラフにすると、以下の通りです。
2020年までは、審査が長期化していますが、2021年から、審査期間が短くなっています。
2022年は、平均して「5.8ヵ月」になっています。
特許庁としても、ファーストアクション期間を重視しています。
今後、極端に審査期間が長くなることはないでしょう。
年代によって、審査期間って、結構、違いますね
商標出願の件数や特許庁の審査官の人数は一定ではないので、時期によって、審査期間は大きく異なります!
商標登録までの期間が長くなる原因と改善方法
特許庁の審査官が、商標登録を認めないと、商標登録になりません。
特許庁での審査が長期化すると、商標登録までの期間が長くなります。
例えば、商標出願して、審査官が登録を認めないと判断すると、拒絶理由通知が届きます。
拒絶理由通知に応答した後、審査官が再審査を行います。
そのため、拒絶理由通知を受けると、商標登録になるのが遅れる可能性が高いです。
拒絶理由通知を受けると、どれぐらい商標登録になるのが遅れますか?
担当する審査官によります。拒絶理由通知に応答したら、翌週に登録査定が届くこともあるし、数ヶ月、連絡がないこともあります!
その他に、以下のような理由で、商標登録になるのが遅れる可能性があります。
指定商品・役務の表示が不明確だと、拒絶理由が通知され、商標登録になるのが遅延します。
また、出願の願書(申請書)の書式に不備があるのが、商標登録の遅延の要因です。
出願の願書(申請書)は、ミスのないよう、注意深く、作成しましょう。
さらに、登録査定になった後、登録料の納付が遅れるのも、遅延の原因です。
特許庁から登録査定が届いたら、速やかに、登録料を納付しましょう。
なお、コストは掛かりますが、弁理士に依頼して、商標出願すれば、このような遅延要素を排除できます。
例えば、弁理士はプロなので、出願の願書に不備があることは、ありません。
また、登録料の納付が遅れないよう、きちんと期限を管理してくれます。
早期審査で、商標登録までの期間を短縮できる!
通常、出願してから、審査結果が分かるまで、半年以上、掛かります。
案件によっては、もっと早く審査結果を知りたいということがあるかもしれません。
実際、依頼者から、「商標登録までの期間を短縮したい」と相談を受けることが多いです。
そのようなケースに備えて、特許庁では、特別に審査は早める制度(早期審査)も用意しています。
早期審査の申し出は、増加傾向で、2022年も、9101件の利用件数がありました。
早期審査は、ニーズの高い制度です。
早期審査を利用すると、どれぐらい審査期間を短縮できますか?
早期審査を利用すれば、審査期間を最短2か月間に短縮できます!
なお、早期審査制度の利用方法は、以下の記事で、詳しく紹介しています。
審査スピードを速められる!?商標の早期審査の利用条件や注意点を分かりやすく紹介・個人的な体感としては、スムーズに行けば、商標登録までに掛かる期間は、7~9ヵ月程度です。ただし、案件によって、数ヵ月程度の差があります
・審査着手までの期間が特許庁ウェブサイトに掲載されているので、目安になります
・早期審査制度を利用すれば、商標登録までの期間を短縮できます