指定商品・役務の補正方法や注意点を、分かりやすく紹介!

まとめ

・特許庁に手続補正書を提出すれば、指定商品・役務を補正できます。実務上、手続補正書の提出は、よくあります

・手続補正書の記載内容は、そこまで複雑ではないので、自分で作成することも可能です

・しかし、いくつか注意点もあります。分からないことがあれば、できれば、商標専門の弁理士に相談することをお勧めします

指定商品・役務を補正するには、特許庁に手続補正書を提出!

商標出願した後に、指定商品・役務を補正することは、よくあります。

特に、特許庁から拒絶理由通知が届き、拒絶理由を解消するために、指定商品・役務を補正することが多いです。

指定商品・役務を補正するためには、手続補正書を特許庁に提出する必要があります。

実務上、手続補正書を提出する機会が多いので、手続補正書の記載方法を理解しましょう。

商標出願の手続補正書の記載方法を説明!

特許庁ホームページから、手続補正書のフォームを取得できます。

フォームを利用して、手続補正書を作成しましょう。

手続補正書の記載項目について、簡単に説明していきます。

(1)書類名

書類名は、フォームの通り、「手続補正書」と記載します。

(2)あて先

あて先は、「特許庁長官 殿」と記載します。

なお、拒絶理由が通知されていれば、審査官の氏名にしても、問題ないです。

拒絶理由通知書に担当の審査官の氏名が書かれています。

(3)事件の表示

事件の表示には、対象の商標出願の出願番号を記載します。

(4)補正をする者

出願人の情報を記載します。

識別番号を記載した場合は、「住所又は居所」の欄を省略できます。

なお、出願人自ら手続きを行い、出願人が法人の場合には、「代表者」の欄を設けて、代表者の氏名を記載します。

(5)発送番号

拒絶理由が通知された後に手続補正書を提出する場合は、発送番号を記載します。

発送番号は、拒絶理由通知書に書かれています。

なお、拒絶理由が通知されずに、自発的に補正する場合には、発送番号の記載は不要です。

区分全体を補正する場合には(全文補正)

「補正対象項目名」に「指定商品又は指定役務並びに商品及び役務の区分」と記載します。

「補正方法」には、「変更」と記載します。

また、「補正の内容」に【指定商品又は指定役務並びに商品及び役務の区分】と記載します。

その後に、補正後の区分と指定商品・役務を羅列します。

なお、特許庁ホームページでは、以下のように、記載方法を紹介しています

例を挙げて、簡単に説明します。

もともとの指定商品が、9類「眼鏡,ビデオカメラ」、16類「クレヨン,アルバム」だったとします。

9類「ビデオカメラ」を「デジタルビデオカメラ」に補正したい場合、以下のように、記載します。

【手続補正1】

 【補正対象書類名】 商標登録願

 【補正対象項目名】 指定商品又は指定役務並びに商品及び役務の区分

 【補正方法】    変更

 【補正の内容】

 【指定商品又は指定役務並びに商品及び役務の区分】

 【第9類】

 【指定商品(指定役務)】眼鏡,デジタルビデオカメラ

 【第16類】

 【指定商品(指定役務)】クレヨン,アルバム

また、9類「ビデオカメラ」を削除したい場合には、以下のように、記載します。

【手続補正1】

 【補正対象書類名】 商標登録願

 【補正対象項目名】 指定商品又は指定役務並びに商品及び役務の区分

 【補正方法】    変更

 【補正の内容】

 【指定商品又は指定役務並びに商品及び役務の区分】

 【第9類】

 【指定商品(指定役務)】眼鏡

 【第16類】

 【指定商品(指定役務)】クレヨン,アルバム

補正しない区分の指定商品(指定役務)も記載するよう、注意です。

補正しない区分の指定商品(指定役務)を記載しないと、削除されてしまいます。

区分単位の補正をする場合には(部分補正)

区分単位で補正することも、可能です。

「補正対象項目名」に、補正する区分を記載します。

「補正方法」には、「変更」と記載します。

また、「補正の内容」に、「補正対象項目名」と同じ区分を記載します。

その後に、補正後の区分と指定商品・役務を羅列します。

なお、特許庁ホームページでは、以下のように、記載方法を紹介しています

区分単位の補正をする場合には、補正対象の区分だけ記載すれば、十分です

こちらも、例を挙げて、簡単に説明します。

もともとの指定商品が、9類「眼鏡,ビデオカメラ」、16類「クレヨン,アルバム」だったとします。

9類「ビデオカメラ」を「デジタルビデオカメラ」に補正したい場合、以下のように、記載します。

【手続補正1】

 【補正対象書類名】 商標登録願

 【補正対象項目名】 第9類

 【補正方法】    変更

 【補正の内容】

 【第9類】

 【指定商品(指定役務)】眼鏡,デジタルビデオカメラ

また、9類「ビデオカメラ」を削除したい場合には、以下のように、記載します。

【手続補正1】

 【補正対象書類名】 商標登録願

 【補正対象項目名】 第9類

 【補正方法】    変更

 【補正の内容】

 【第9類】

 【指定商品(指定役務)】眼鏡

商標出願の手続補正書の提出方法

手続補正書は、オンラインで提出できます。

その他に、特許庁への郵送により、手続補正書を提出することもできます

その場合の住所とあて先は、以下の通りです。

〒100-8915

東京都千代田区霞が関三丁目4番3号

特許庁長官 宛

なお、担当審査官を宛先にする必要はありません

手続補正書の費用(特許庁に支払う印紙代は掛かりません!)

気になる費用について、紹介します。

まず、特許庁に支払う費用(印紙代)は、基本的には、掛かりません

よって、自分で、手続補正書を作成して、特許庁に提出する場合は、原則、無料です。

ただし、指定商品・役務を補正することで、区分が増えた場合には、別途、特許庁に支払う費用(印紙代)が発生します。

また、弁理士に依頼する場合には、弁理士に支払う手数料が掛かります。

手数料には、弁理士によって、様々ですが、3万円~5万円程度のことが多いです。

ただ、簡単な補正内容であれば、無料で対応してくれる弁理士もいます

実際、筆者も、無料で、対応することが多いです

指定商品・役務を補正するときの注意点!

意図した通りに、正しく補正する

指定商品・役務を意図した通りに、正しく補正するよう、注意しましょう。

例えば、補正方法に「削除」と記載できます。

ただし、「削除」は、その区分すべての指定商品・役務を削除するときに、記載します。

つまり、一部の指定商品・役務を削除したい場合には、補正方法の「削除」は使えません。

よって、9類の指定商品「ビデオカメラ」を削除したい場合、以下のような記載方法は、正しくないです

【手続補正1】

 【補正対象書類名】 商標登録願

 【補正対象項目名】 第9類

 【補正方法】    削除

 【補正の内容】

 【第9類】

 【指定商品(指定役務)】ビデオカメラ

要旨を変更する補正は認められない

指定商品(役務)の範囲を実質的に拡張又は変更する補正は、要旨を変更するので、認められません

例えば、指定商品「日本酒」の「ビール」への補正は、商品の範囲を変更するので、認められません。

また、指定商品「日本酒」の「アルコール飲料(ビールを除く。)」への補正も、商品の範囲を拡張するので、認められません。

一方で、指定商品(役務)の範囲の減縮・誤記の訂正・明瞭でない記載を明瞭なものに改める補正ならば、要旨変更には該当しません。

例えば、指定商品「アルコール飲料(ビールを除く。)」の「日本酒」への補正は、商品の範囲の減縮なので、認められます。

先行商標との抵触関係を解消する場合、削除する指定商品・役務に漏れがないように

先行商標との抵触関係を解消するために、指定商品・役務を補正することが、よくあります。

その場合、先行商標の指定商品・役務と、類似する指定商品・役務を全て削除する必要があります

商品・役務の類似判断は、類似群コードをもとに、判断します。

なお、類似群コードの利用方法については、以下の記事で紹介しています。

類似する指定商品・役務が残っている場合には、先行商標との抵触関係を解消できないので、注意です。

指定商品・役務の補正で分からなければ、特許庁や弁理士に相談!

実際に手続補正書を作成してみると、記載方法に迷うことがあるかもしれません。

その場合、特許庁に電話・相談してみることも考えられます

特許庁の担当者が、親身に対応してくれるはずです。

また、商標専門の弁理士に相談するのも有効です。

筆者(すみや商標知財事務所)に相談いただければ、親身になって、一緒に検討します。

業界では珍しい「商標専門」の弁理士

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