商標出願した経験がない人が、ほとんどで、多くの方が、商標登録までの流れを知りません。
弁理士歴10年以上の商標専門の弁理士が、商標登録までの流れを、分かりやすく紹介します。
この記事を読めば、初心者でも、商標登録までの流れを、ざっくりと把握できます。
また、すでに商標出願した人は、その後の流れを知れます。
商標登録までの大まかな流れ
商標登録を取得するには、商標出願する必要があります。
それでは、商標出願してから、その後の流れを知っていますか?
特許庁のホームページで、商標審査の流れを、簡潔にチャートで説明しています。
商標登録までの流れについて、もう少し詳しく、説明していきます。
【商標登録までの流れ①】まずは商標調査(必須ではない)
必須の手続きではありませんが、まずは、商標調査することをお勧めします。
具体的には、自分の事業分野において、同一もしくは類似する先行商標がないか、確認しましょう。
同一もしくは明らかに類似する先行商標があれば、商標の変更を検討しましょう。
商標調査については、以下の記事で、詳しく説明しています。
なお、データベース「J-PlatPat」を使用すれば、誰でも、無料で、先行商標を検索できます。
【商標登録までの流れ②】特許庁に願書を提出
商標調査して、商標登録の可能性がありそうだったら、次は、願書(商標出願の申請書)の提出です。
願書を特許庁に持参するか、郵送します。
また、専用の出願ソフトを提出すれば、オンラインでも提出可能です。
願書の記載・提出方法について、以下の記事で詳しく説明しています。
なお、弁理士に頼めば、願書の作成・提出を代行してくれます。
弁理士に依頼する代表的なメリット・デメリットは、以下の通りです。
弁理士に依頼するメリット | VS | 弁理士に依頼するデメリット |
・時間や労力を省略できる ・適切な内容で、商標出願できる | ・弁理士に支払う手数料が掛かる |
お金が掛かりますが、願書の作成の時間や労力を省きたければ、弁理士に依頼しましょう。
【商標登録までの流れ③】特許庁による商標出願の公開
出願してから、2~3週間程度で、出願内容が公開されます。
具体的には、特許庁が、公開公報を発行します。
一般に公開されるので、誰でも閲覧できます。
非公開には、できませんか?
意匠のように、非公開にはできません。商標出願したら、必ず公開されます!
公開公報から、情報が洩れる危険性があります。
いわゆる、「商標バレ」です。
自分が公表するまで、誰にもバレたくないケースでは、公表日の前日に、商標出願することがあります。
【商標登録までの流れ④】特許庁での審査
まずは、特許庁において、方式審査が行われます。
方式審査では、願書が商標法の定めに沿った形式か、チェックします。
特に問題なければ、次の実体審査に進みます。
一方、願書に不備があれば、特許庁は手続補正指令書を送付します。
期限内であれば、不備を是正でき、基本的に、特許庁の言う通りに、対応すれば、簡単に是正できます。
なお、疑問点があれば、電話して、直接、特許庁の担当者と相談できます。
無事に方式審査を通過したら、次に、特許庁で実体審査します。
商標法の規定に基づき、出願商標が登録を認められるか、特許庁の審査官が判断します。
その結果、商標登録を認めると判断したら、出願人に登録査定を送付します。
一方、商標登録を認められないと判断したら、拒絶理由通知書を送付します。
すぐに出願が拒絶されるわけではなく、拒絶理由を解消する機会が与えられます。
意見書や手続補正書を提出して、拒絶理由が解消できれば、特許庁から登録査定が届きます。
なお、拒絶理由通知書の対応方法については、別の記事で、詳しく説明しています。
一方、意見書や手続補正書を提出しても、拒絶理由が解消しないことがあります。
その場合、特許庁は拒絶査定を送付して、これで、特許庁での審査は終了です。
なお、拒絶査定に納得できなければ、拒絶査定不服審判を請求して、争うこともできます。
拒絶理由通知書が届いても、慌てずに、冷静に対応しましょう!
【商標登録までの流れ⑤】特許庁に登録料を納付
登録査定が届いたら、30日以内に、登録料を特許庁に納付します。
登録料の納付方法は、10年分一括納付と5年分分割納付の2パターンあります。
それぞれのメリットや納付書の記載方法は、以下の記事で紹介しています。
【商標登録までの流れ⑥】特許庁が登録公報・登録証を発行
特許庁に登録料を納付することで、設定登録になり、商標権が発生します。
特許庁は、商標登録公報を発行します。
商標登録に不満がある人は、公報発行日から2ヶ月以内であれば、異議を申し立てられます。
最後に、特許庁は、登録証を発行し、出願人に送付します。
なお、登録証は、「賞状」みたいなものに過ぎず、特に効力はありません。
登録証の効力については、以下の記事で説明しています。
「商標登録までの流れ」についてのアドバイス
大まかに言えば、方式審査・実体審査をパスすれば、登録査定が届きます。
その後、登録料を納付することで、出願商標が登録になります。
商標登録までの流れを理解した上で、登録査定を目指しましょう。
なお、何らかの不備や拒絶理由が見つかれば、特許庁から通知が届きます。
原則、応答する機会が与えられますので、安心してください。
きちんと内容を確認・検討した上で、適切に対応しましょう。
また、よく依頼者から質問を受けるのは、審査期間です。
2023年現在の筆者の体感としては、出願してから、6~8ヵ月程度で、審査結果が届いています。
特許庁のウェブサイトでも、審査着手までの期間を公表されています。
約3ヵ月ごとに更新しているので、気になる方は、チェックしてみてください。
早期審査制度を利用すれば、審査期間を最短2ヶ月程度に短縮できます。
早期審査制度を利用するためには、出願商標を使用している、もしくは、使用の準備を進めている必要があります。
その他にも、早期審査の利用の条件があります。
詳しくは、以下の記事で、紹介しています。
「商標登録までの流れ」が分からなければ、特許庁や商標専門の弁理士に相談!
商標登録までの流れで分からない点があれば、特許庁に問い合わせましょう。
また、商標専門の弁理士に相談するのも、アリです。
筆者(すみや商標知財事務所)にご相談いただければ、検討の上、ご連絡します。
業界では珍しい「商標専門」の弁理士
・商標出願したら、出願が公開されます。その後、特許庁での方式審査・実体審査に進みます
・審査をパスして、登録査定になれば、登録料を納付して、商標権が発生します
・審査過程で、何らかの不備や拒絶理由が見つかれば、特許庁から通知が届きます。原則、応答する機会が与えられますので、安心してください