【商標登録の異議申し立て】制度の概要や流れを紹介!

まとめ

・商標掲載公報の発行の日から2ヵ月以内であれば、商標登録に異議を申し立てることができます

・異議申し立て人の主張が認められれば、商標登録を取り消す旨の決定が下されます

・ただし、統計上、異議申し立ての勝算は高くなく、明らかな審査ミスがない限り、なかなか商標登録を取り消せません

商標登録に不満があれば、異議申し立て

あなたは、商標登録の異議申し立て制度を知っていますか?

特許庁の審査官も人間なので、ミスすることはあります。

そのため、商標権の設定登録後、一定期間内に限り、登録の取り消しを求める機会を第三者に与えています

異議申し立てがあれば、特許庁において、改めて、審理を行います。

このようにして、商標登録に対する信頼を高めることを目的にしています。

それでは、異議申し立て制度の概要について、説明していきます。

商標登録の異議申し立ての概要

商標登録の異議申し立てができる人

誰でも、商標登録に異議を申し立てることができます。

商標登録の異議申し立て期間

商標掲載公報(登録後に発行される公報)の発行の日から2ヵ月以内です。

なお、期間の延長は認められませんので、しっかりと期限を管理しましょう。

商標登録の異議申し立ての流れ

異議申し立ての流れは、以下の通りです。

(特許庁審判部の「審判制度の概要と運用」より)

商標登録の異議申し立ての方法

異議を申し立てるためには、以下のような商標登録異議申立書を特許庁に提出する必要があります。

         (特許庁ホームページより)                           

また、特許庁ホームページに、商標登録異議申立書の書き方のガイドラインも掲載されているので、ご参考ください。

なお、異議申し立ての標準的な審理期間は、6~8ヵ月です

商標登録の異議申し立てに掛かる費用

特許庁に支払う印紙代は、3000円に1区分につき8000円を加えた額です。

また、弁理士などの専門家に依頼すると、専門家に支払う手数料も掛かります。

【異議申し立ての結果①】商標登録を取り消す理由があると判断

審理をした結果、異議申立人の主張を認めて、商標登録を取り消す理由があると判断したとします。

その場合には、商標権者に取消理由通知書が送付されます。

商標権者には、取消理由通知に対して、意見書を提出する機会が与えられます。

商標権者が、意見書を提出した場合には、再度、審理を行った上で、決定を下します。

もし、商標登録を取り消す旨の決定が下された場合には、不服があれば、商標権者は訴訟を提起することが可能です

【異議申し立ての結果②】商標登録を取り消す理由がないと判断

審理をした結果、異議申立人の主張を認めずに、商標登録を取り消す理由がないと判断したとします。

その場合には、商標権者に意見書を提出する機会を与える必要がないので、そのまま、登録を維持する旨の決定が下されます

この決定に対して不服があっても、異議申し立て人は、訴訟を提起することができません

その代わりに、同一の理由により、無効審判を請求することができます。

なお、無効審判については、以下の記事をご参照ください。

商標登録の無効審判とは?制度の概要や勝算を紹介!

商標登録の異議申し立ての勝算

2021年に最終処分が出た異議申し立ての件数は、385件あります。

なお、48件は、結論が出る前に、取り下げ・放棄されています。

その中で、登録維持決定になった件数(却下を含む)は、315件だったのに対して、取り消し決定になった件数は、22件だけです

統計的に判断すると、異議申し立ての勝算は、高くはありません。

明らかな審査ミスがない限りは、なかなか異議申し立てが認められることはありません。

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