突然届いた「商標権侵害」という題名の封筒。中を開ければ、身に覚えのない主張と「法的措置」「損害賠償」という恐ろしい言葉の羅列……。
いま、あなたの心臓はバクバクしているかもしれません。「自分のビジネスはもう終わりだ」「すぐに名前を変えなければ」と絶望しているかもしれません。

しかし、どうか落ち着いて、深呼吸して読み進めてください。
23歳でこの業界に飛び込み、商標専門の弁理士として、13年以上、商標のことだけを考えてきた私からお伝えしたいことがあります。

その警告書は、裁判所の判決ではありません。相手の弁護士が勝手に送りつけてきた、ただの「一方的な主張(手紙)」に過ぎないのです。プロの目から見れば、その多くが「ただの言いがかり」や「ハッタリ」であることも珍しくありません。
この記事では、相手の威圧感に飲まれず、あなたが正当に自分のビジネスを守り抜くための「反撃のヒント」を、大手特許事務所時代に数多くの修羅場をくぐり抜けてきた私の実体験を交えてお伝えします。

・すみや商標知財事務所の代表弁理士(登録番号18043)が執筆しています
・商標専門の弁理士として、13年以上、働いています
・商標権侵害に関する相談に数多く対応しています
・初心者向けに分かりやすく説明するのが、得意です
【結論】商標権侵害の警告書は「裁判所の判決」ではありません。ただの「お手紙」です

商標権侵害の警告書が届きました。この名前、もう使えないですよね?

警告書は、商標権者からの「お手紙」に過ぎません!
実際には商標権侵害には該当せず、継続して、名称を使用できる可能性があります
警告書は、裁判所の判決ではなく、相手が「こうしてほしい」と願っているだけの「希望条件」に過ぎません。
内容証明の威圧感に騙されず、冷静に判断してください。
中身は、あくまでも相手の主観に過ぎず、弁護士・弁理士の名義の警告書であっても、反論できる可能性があります。
「法的措置」、なぜ、そんなに怖い言葉を使うのか?
それは、手紙一通であなたをビビらせて、タダで言うことを聞かせたいからです。

警告書が届き、びっくりするのは当然ですが、思考停止することなく、冷静に対応するのが重要です。
なぜ、プロが見れば「言いがかり」のような警告書が届くのか?

相手は商標権を持っているので、正当な主張ですよね?

商標権は、強力な権利ですが、必ずしも万能ではありません!
プロから見れば、「言いがかり」のような警告書に、何も考えずに、応じるのは絶対にダメです!
素人の権利者は、商標登録を一つ取ると「その言葉を世界中で独占できる」と誤解し、不当に広い範囲に牙を剥くことが多々あります。
しかし、それは、大きな勘違いです。
商標権の効力が及ぶのは、その指定商品・役務の類似範囲内に過ぎません。
例えば、「化粧品」についての商標登録であれば、「洋服」「自動車」「スマホ」や「おもちゃ」での同一名称の使用にまでは、効力が及びません。

相手のプロも仕事です。「侵害の可能性が10%」しかなくても、100%侵害しているかのように書くのが彼らの「勝ちパターン」なのです。
「言いがかりをつけて、応じてくれれば、儲けもの」という戦略を取ることも多々あります。
弁護士などの専門家は、交渉に長けているので、相手の術中にはまらないよう、要注意です。

実際には、お互いに話し合って、妥協点を見つけることが多いです。
そのため、最初の通知(警告書)では、最もハードルの高い要求をするのがセオリーです!
【実録】私が体験した、あまりにも理不尽な商標権侵害の「警告書」の裏側

現場をよく知っている、すみや先生が体験したエピソードが知りたいです

理不尽な商標権侵害の実体験を2つ示して、特別に「警告書」の裏側を教えます!
これは、私が大手特許事務所に勤務していた際の実話です。
当時、私が担当していたある大手メーカーが、「ゲームを開始する際のごく一般的な動作を示す言葉」を商標登録しました。例えるなら、家電の「スタート」ボタンのように、誰もが使わざるを得ない言葉です。
そのメーカーは、その言葉を画面上でわずかでも使っている同業他社に対し、毎月のように大量の警告書を送り続けました。
専門家である私の目から見れば、ほとんどのケースは法律上「非侵害」でした。なぜなら、その言葉はブランド名(商標)としてではなく、単なる「操作説明(機能表示)」として使われていたからです。これを専門用語で「商標的使用ではない」と言います。
私は、「これは権利の濫用に近い。送るべきではない」と何度も進言しましたが、「これはビジネス(戦略)だから」と一蹴され、警告書の送付が止まることはありませんでした。
ただ、驚くべきはその後です。警告書を受け取った会社の半分近くが、法的根拠のない「言いがかり」にビビってしまい、素直に要求に応じてしまったのです。
本来、変える必要のない名前を変え、払う必要のないコストを支払う。
「相手が大手だから」「弁護士名義で届いたから」と思考停止に陥り、言われるがままに応じることの恐ろしさを、私は現場で痛感しました。
ある日、新たに商標登録をしたいと連絡を受けました。
商標登録の経緯を確認すると、警告書が届き、相手の勢いに押されて、改名を検討しているとのこと。
しかし、念のため、私が、警告書を確認したところ、プロの眼からみると、相手の登録商標とは、全く似ていない。
そのことをお客様に伝えたところ、驚きとともに、感謝の言葉。
「もっと早く、すみや先生に相談すれば、良かった。ありがとうございます。」
ブランドを捨てかける寸前で、どうにか救えました。
その商標権侵害の警告は正当か?「言いがかり」を見分ける4つのチェックポイント

商標権侵害の警告が正当なのか、正直、素人には判断が難しいです

「言いがかり」か、見分けるポイントは4つで、どれか1つでも当てはまれば、反論可能です!
なるべく専門用語を使わずに、初心者にも、分かりやすく説明していきます
ただの説明文や機能の表示なら、どれだけ商標が似ていても侵害になりません。ここが最大の逆転ポイントです。
以下の記事で紹介している「巨峰事件」が分かりやすいので、この事例を使って、説明します。
商標「巨峰」の商標権者は、段ボールに「巨峰」を使っていた業者を訴えました。

商標登録の指定商品は「包装用容器」なので、形式的には、商標権侵害に該当します。
しかし、裁判所は、商標権侵害を認めませんでした。

その理由は、段ボールの「巨峰」の文字は、段ボールの中身が巨峰であることを示しているに過ぎず、商標的に使用していないからです。
「巨峰事件」が示す通り、登録があるからといって、あらゆる使用が禁止されるわけではありません。
たとえ商標が似ていても、それが「商品の説明」や「中身の表示」に過ぎないなら、商標権侵害は成立しないのです。
警告書を送る側は、この「実態」をあえて無視し、形式的な登録内容だけであなたを追い詰めてくることが多々あります。
「これは単なる説明文ではないか?」というあなたの直感は、法的に正当な反論になる可能性があります。相手の要求を丸呑みする前に、まずはプロの眼でその使い方を精査しましょう。
警告書を受け取った方の多くが「一文字違いだから、もう言い逃れできない」と絶望されます。しかし、23歳から商標一筋の私から見れば、それは大きな誤解です。
商標が似ているか(類否)の判断で、実務上最も重視されるのは「称呼(読み方)」です。
一般的には「一音しか違わないならアウト」と思われがちですが、実務に精通したプロの眼で見れば、「その一音の違いによって、明確に区別できる(非類似)」と判断されるケースが実は大半なのです。
相手の弁護士は、あえて似ている部分だけを強調して「侵害だ」と迫ってきます。しかし、彼らが正解を決めるわけではありません。
たった一音の違いに「逆転の鍵」が隠れている可能性を、プロの眼では見逃せないです。
「名前が完全に一致しているから、もう逃げられない」
そう思われるかもしれませんが、まだ諦めるのは早いです。商標権の効力は、登録された「指定商品・役務(商品やサービスのジャンル)」の範囲内にしか及ばないからです。
驚くべきことに、警告書を送る側がこのルールを無視(あるいは勘違い)して、全く無関係なジャンルの事業者にまで「侵害だ」と主張してくるケースが多々あります。
- 相手は「カバン」で登録しているのに、あなたの「飲食店」に警告してきた
- 相手は「アプリ」なのに、あなたの「教育セミナー」を攻撃してきた
このように、商標(名前)が同じでも、扱っている商品やサービスが似ていなければ、法律上の侵害にはなりません。
相手の登録内容を細かく分析すれば、その警告が「ただの的外れな言いがかり」だと判明することも多いのです。
攻められたとき、最大の防御は「相手の武器(商標権)を取り消す」ことです。
実は、登録されていても「3年以上使われていない商標」は、不使用取消審判という手続きで取り消すことができます。
なお、不使用取消審判の詳細は、以下の記事で、紹介しています。
もし、相手が名前だけ取って放置している状態なら、その権利自体を消滅させ、警告の根拠を根底から覆せるのです。
「守る」だけでなく、相手の弱点を突いて「武器を壊す」
この逆転の発想こそが、泥沼の紛争を最短で終わらせる決定打になることも珍しくありません。
相手の商標登録が本当に「生きている」のか、きちんと確認しましょう。
まとめ:納得できない警告書に「はい」と言う前に
相手が弁護士だから、自分が間違っているんだろう」 そう思って、大切な商品名やブランドを捨てようとしていませんか?
一度「侵害を認めます」という返事をしてしまえば、後からプロが介入しても、その判断を覆すのは至難の業です。
相手の言いなりになることは、あなたがこれまで積み上げてきた努力を、自らドブに捨てるのと同じです。

私は23歳で知財業界に入り、大手特許事務所で「警告書を送る側」と「受ける側」の両方のドロドロした裏側を見てきました。
・「商標権さえあれば何でも言える」と勘違いしている権利者
・侵害でもないのに、恐怖を煽って屈服させようとするプロのテクニック
そんな不当な「言いがかり」から、挑戦する人を救いたいという思いで、私は独立しました。
その警告書、まだ諦める必要はありません。

あなたのケースが「戦える」のか、それとも「引くべき」なのか。商標専門の弁理士の私が、あなたの軍師として客観的に鑑定します。
