・キャッチフレーズやスローガンと認識できる商標は、識別力を有さないとして、拒絶される可能性があります
・ただし、登録例・拒絶例を勘案すると、キャッチフレーズやスローガンと認識されるか否か、審査官・審判官の主観が影響している印象です
・他の文字と組み合わせて、ロゴ化することで、確実に、識別力欠如の拒絶理由を回避できますが、権利範囲が狭まるリスクも否定できません
キャッチフレーズやスローガンの商標登録の可能性
キャッチフレーズやスローガンは、商標登録できると思いますか?
結論からいえば、キャッチフレーズやスローガンと認識できる商標は、識別力を有さないとして、拒絶される可能性があります。
商標法3条では、商標登録の要件を規定しています。
同条1項6号において、以下の商標は、原則、登録できない旨、規定しています。
前各号に掲げるもののほか、需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標
より具体的に、商標審査基準の商標法3条1項6号の項目には、以下のように、規定されています。
出願商標が、その商品若しくは役務の宣伝広告又は企業理念・経営方針等を普通に用いられる方法で表示したものとしてのみ認識させる場合には、本号に該当すると判断する。
つまり、宣伝広告又は企業理念・経営方針などのキャッチフレーズ・スローガンとしてのみ、認識される場合には、商標登録が認められません。
しかし、キャッチフレーズやスローガンと認識されるか、明確な基準がなく、判断が付きにくいのが、実情です。
キャッチフレーズやスローガンの商標登録例と拒絶例
最近の審決例から、登録例と拒絶例を紹介します。
以下の商標は、特許庁の審査では、商標法3条1項6号で拒絶されたものの、審判で争った結果、登録が認められた商標になります。
商標「完了画面でクレカ変更」(不服第2021-016061号)
商標「無理なく、無駄なく、美しく」(不服第2022-004467号)
商標「使うたび、新鮮。」(不服第2022-000616号)
商標「艶肌すっぴん美人」(不服第2022-001708号)
一方、以下の商標は、特許庁の審査で、商標法3条1項6号で拒絶されて、審判で争っても、判断が覆らずに、拒絶された商標になります。
商標「かける!待つ!流すだけ!」(不服第2021-015590号)
商標「耳まわり肌トラブル」(不服第2021-009043号)
商標「「製造」じゃない、「創造」だ。」(不服第2022-000305号)
商標「日本一裁判しない弁護士」(不服第2021-014735号)
他者がキャッチフレーズとして同じような商標を使用していないか、勘案されますが、正直、審査官や審判官の主観も影響しているかと思います。
商標登録のためのキャッチフレーズやスローガンの対応策(ロゴ化する)
同じようなキャッチフレーズ・スローガンを他者が使用していないようであれば、商標出願にチャレンジすることが考えられます。
しかし、商標法3条1項6号の拒絶理由を確実に回避したければ、他の文字と組み合わせて、ロゴ化して商標出願することも考えられます。
例えば、以下のような商標は、ロゴ化して、商標登録を取得しています。
ただし、ロゴ化して商標登録を取得することで、権利範囲が狭まるリスクも否定できません。
メリット・デメリットを把握した上で、ロゴ化して商標出願するか否か、検討しましょう。
キャッチフレーズやスローガンの商標登録で分からなければ、商標専門の弁理士に相談!
キャッチフレーズやスローガンの商標登録で分からないことや迷うこともあるかと思います。
そのような場合には、商標専門の弁理士に相談しましょう。
筆者(すみや商標知財事務所)にご相談いただければ、親身になって、一緒に検討します。
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