・使わなくなった商品を生かして、自分で加工して、新たに作成した商品を「リメイク品」と言います
・もとの素材に記載されている登録商標が残っている場合には、商標権侵害に該当する危険性があります
・フリマアプリやネットオークションサイトでも、商標権侵害のおそれのある商品の出品を禁止しているところがあります
リメイク品とは、「もとの素材を活かしながら、作り変えた再生品」
リメイク品とは、どのような商品か、分かりますか?
使わなくなった商品を生かして、自分で加工して、新たな商品を作成することがあります。
このように、もとの素材を活かしながら、作り直した・作り変えた再生品を「リメイク品」といいます。
特にブランド品は、デザインの高級感から、リメイク素材として、人気があります。
また、フリマアプリやネットオークションが普及して、近年、個人間の商取引が活発になっています。
個人でも、要らなくなったブランド品を利用したリメイク品を容易に販売できます。
リメイク品の使用や販売は、商標権侵害に該当するか?
それでは、自分が作ったリメイク品を使用・販売する行為は、商標権侵害になるのでしょうか?
まず、自作のリメイク品を自分で使用する場合には、商標権侵害に該当しないでしょう。
なぜなら、事業目的・商売目的で利用した場合、商標法上の「商標」に該当する一方で、私的利用であれば、「商標」に該当しないからです。
なお、商標法上の「商標」については、以下の記事をご参照ください。
私的に利用する場合には、商標法上の「商標」に該当しないので、商標権侵害にはなりません
それでは、自作のリメイク品を、フリマアプリなどで販売した場合は、商標権侵害に該当するでしょうか?
リメイクした商品に、全く登録商標が使用されていなければ、商標権の侵害に該当しません。
しかし、部分的にでも、リメイクした商品に登録商標が使用されていれば、商標権侵害に該当する危険性があります。
リメイク素材の登録商標が残っているリメイク品の場合には、商標権侵害に該当する可能性があります!
リメイク品を他人に販売した場合、商標権侵害に該当しうる理由
商標の機能が害されているかどうかが、商標権侵害の判断基準になります。
リメイク品の販売は、以下の2つの商標の主要機能を害する危険性があります。
- 商標の出所表示機能
- 商標の品質保証機能
以下、説明しますが、リメイクした商品に登録商標を使用して、これらの2つの商標の機能を害すると、商標権侵害に該当する危険性があります。
商標の主要な機能の1つが、出所表示機能になります。
リメイク品に接した需要者が、商標権者の出所を表示していると誤認するおそれがあるケースは、出所表示機能を害します。
つまり、リメイク品を見て、利用したリメイク素材のメーカーが販売したものと誤解させるようであれば、このようなケースに該当します。
また、品質保証機能も、商標の主要な機能になります。
品質保証機能とは、同じ商標が付された商品が同一の一定の品質であると、需要者に保証する商標の機能です。
しかし、リメイク品と実際のブランド品(正規品)では、品質に違いがありますので、品質保証機能を害する可能性があります。
リメイク品の商標権侵害についての参考の裁判例
不正競争防止法のケースになりますが、平成29年(ワ)第5423号の判例が参考になります。
判決文は、こちらです。
被告は、自社のウェブサイトにおいて、以下のようなリメイク品を販売していました。
これに対して、原告であるルイ・ヴィトン社が、被告に対して、損害賠償を求めた事案でs。
裁判所では、原告であるルイ・ヴィトン社の主張を認め、被告に対して、損害賠償を支払うよう、判断しました。
このように、ブランド品を利用したリメイク品を販売すると、権利侵害のリスクがあります。
高級ブランドの場合には、特に知的財産の保護意識が高いので、より注意する必要があります!
フリマアプリやネットオークションでのリメイク品の対応例
メルカリでは、商標権侵害に該当しうるリメイク品の出品を禁止しています。
メルカリの利用規則で、「ブランド品の全部または一部を加工したリメイク品」として禁止されている出品物にリメイク品を指定しています。
また、ヤフーオークションでも、商標権などの権利を侵害する物品の出品を禁止しています。
商標権侵害のリスクがあるリメイク品は、規約上も、フリマアプリやネットオークションでの出品ができない危険性があります。
リメイク品を出品したい場合、登録商標が使用されていないか、きちんと確認した上で、規約をチェックしましょう。
フリマアプリなどでリメイク品を出品する場合には、他者の商標権を侵害していないか、きちんと検討する必要があります!
リメイク品の販売が商標権侵害に該当するか、心配な方は、弁理士や弁護士に相談!
リメイク品を他人に販売している人は、商標権侵害に該当しないか、心配かもしれません。
心配な人は、商標専門の弁理士、もしくは、商標(知財)に強い弁護士に相談しましょう。
筆者(すみや商標知財事務所)に相談いただければ、親身になって、一緒に検討します。
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