アメリカの商標は「先に使った者勝ち」?先使用主義の注意点と登録の意味を解説

日本での商標制度では、先に出願した者が権利を得る「先願主義」が基本ですが、アメリカでは事情が異なります。

アメリカでは「先に使った者」に商標の優先権が認められる「先使用主義」が原則です。

この制度の違いを理解せずにビジネスを展開すると、商標を先に使っていたにもかかわらず登録を逃す、他人に商標権侵害を主張されるリスクが生じます。

本記事では、アメリカにおける先使用主義の基本的な考え方と、日本の制度との違い、注意すべき3つのポイントを事例を交えて解説します。

さらに、アメリカであえて商標登録をする意味についても詳しくご紹介します。

なお、本記事の要点だけを2分の動画にまとめたので、併せて、ご活用ください!

記事の信頼性
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すみや商標知財事務所の代表弁理士(登録番号18043)が執筆しています

米国テンプル大学のロースクールを卒業し、アメリカの法律に精通しています

・商標専門の弁理士として、13年以上、働いています

これまで、多くのアメリカの商標出願を手伝い、アメリカの商標制度を学びました

米国ロースクール卒業の弁理士が直接担当

【アメリカ商標登録の対応実績、多数あり】

アメリカの先使用主義では、「先に商標を使用した人が優先」

日本など多くの国では、先に商標出願した人が優先される先願主義を採用しています。

つまり、早く商標出願した人に商標登録が認められます。

先願主義制度の詳細については、以下の記事をご参照ください。

商標トラブルを防ぐには“先願主義”の理解が必須!失敗例も紹介

しかし、アメリカは、先願主義ではなく、先使用主義を採用しています。

先使用主義を採用している国は、世界的にみて、ほとんどありません。

先使用主義のもと、アメリカでは、先に商標を使用した人が優先されます。

少し分かりにくいので、想定事例を使って、説明します。

弁理士すみや
弁理士すみや

多くの国では先願主義を採用している中、アメリカは先使用主義を採用しています

アメリカでの先使用主義の想定事例

2022年に、A社が、ニューヨーク州で、チョコレートに商標「ABC」の使用を開始する。

その後、2023年に、B社が、フロリダ州で、「ABC」という名称のチョコレートを販売して、商標「ABC」を商標出願したとします。

上記のような事実関係だと、アメリカで、最も早く商標「ABC」を使用していたのは、A社です。

先使用主義を採用しているアメリカでは、商標登録を受ける権利は、B社ではなく、A社にあります。

仮に、B社の商標登録が認められたとしても、これに対して、A社は、異議申し立てや無効審判で、争うことができます。

弁理士すみや
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アメリカでは、先に商標出願している人よりも、先に商標を使用している人を優先します!

アメリカの先使用主義の3つの注意点

アメリカでの使用証拠の保管

アメリカでは、先に使用した人が優先されるので、アメリカでの使用証拠が重要です

先使用主義のもとでは、早ければ、早いほど、望ましいので、アメリカで商標の使用を開始したら、すぐに証拠資料を保管しましょう。

なお、使用証拠には、商標や日付がきちんと記載されている必要があります。

ちなみに、以下の記事で紹介した通り、定期的に使用宣誓書を提出する必要があるので、そういった観点でも、使用証拠の保管は重要です。

【アメリカ】商標の「使用宣誓書」の提出義務を分かりやすく解説!

商標登録が取り消されるリスク

商標出願して、商標登録を取得できたとしても、先使用者が存在する可能性があります。

つまり、商標登録を取得できたとしても、先使用者の存在により、商標登録が取り消されるリスクがあります。

なお、アメリカでは、商標登録後、継続して5年間使用し、その後に「商標法15条(Section 15)の宣誓書」を提出すると、「不可争性(incontestability)」を獲得できます。

不可争性が認められると、当該商標権について、一部の無効理由による争いが制限されるため、権利の安定性が高まります。

アメリカでの商標調査の難しさ

事前の商標調査では、先行の登録商標・出願商標をチェックするだけでは不十分です。

アメリカでは、未登録の先使用商標(コモンロー商標)まで調査対象になるため、日本より調査範囲が広くなります。

そのため、専門会社に委託して、インターネット検索、企業情報、SNS、業界データベースなども含めて調査します。

弁理士すみや
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このような調査方法を「フルサーチ」と言いますが、調査費用が、かなり高額です!

なお、アメリカでの使用状況まではチェックしない簡易的な調査方法もありますし、また、商標調査は必須の手続きではありません。

コストを考慮しながら、商標調査を実施するか、また、どのような調査方法にするか、検討しましょう!

米国ロースクール卒業の弁理士が直接担当

【アメリカ商標登録の対応実績、多数あり】

先使用主義のアメリカで商標登録するメリット

アメリカでは、先使用主義なので、商標登録を取得しても意味がないように思えます。

しかし、アメリカで商標登録することで、様々なメリットが得られます

登録商標について適法な権利を有することが推定される!

商標登録を取得することで、権利者が登録商標について適法な権利を有していることが推定されます。

つまり、第三者に対して権利行使する際に、原則として、改めて権利が有効であることを立証する必要がありません。

登録商標の権利がアメリカ全土に通知される!

アメリカでは、商標を先に使用した者に、コモンロー上の権利(先使用の権利)が発生します。

ただし、その権利範囲は、実際に商標を使用している地域や、認知が及んでいる範囲に限定されます。

一方、アメリカでの商標登録は、州単位ではなく、アメリカ連邦の商標法に基づきます。

そのため、商標登録を取得することで、登録商標の権利者であることが、アメリカの全土に通知されるという擬制効果を得られます。

これによって、商標登録後に他州で同一又は類似商標を使用し始めた第三者に対して、権利行使しやすくなります。

虎さん
虎さん

アメリカは先使用主義ですが、商標登録を取得することに様々なメリットがあります。

アメリカに事業進出する際には、アメリカでの商標出願を検討しましょう!

ちなみに、アメリカでの商標出願から登録までの流れについて、以下の記事で紹介しています。

【図解あり】アメリカの商標出願を5ステップで簡単解説!初心者にもわかる登録までの流れ

先使用主義だが、アメリカでは「使用前」での商標出願も可能

アメリカは先使用主義ですが、まだ使用していない段階でも、Intent-to-Use(使用意思)に基づく商標出願が可能です。

そのため、アメリカでは販売前だが、ブランド名を先に確保したい場合には、早めの商標出願が有効です。

ただし、最終的に登録を受けるためには、実際の使用証拠(Statement of Use)の提出が必要になります。

【注意】先に商標を使用していても、必ず勝てるわけではない

アメリカでは、先に商標を使用していた人が優先されます。

しかし、実際には、どの地域で、いつから使用していたのか、本当に商標として使用していたのか、等が争点になります。

そのため、「先に使っていた」と主張するだけでは不十分です。

例えば、販売ページ、請求書、広告、展示会資料、SNS投稿など、使用時期や使用地域が分かる証拠が重要になります。

また、アメリカでは、州ごとにコモンロー上の権利が発生するため、ニューヨーク州での使用実績しかない場合、カリフォルニア州など他州では権利主張できないケースもあります。

このように、アメリカでは、先使用主義である一方、実務上は「商標登録」も非常に重要です!

米国ロースクール卒業の弁理士が直接担当

【アメリカ商標登録の対応実績、多数あり】

アメリカの商標制度が分からなければ、経験のある弁理士に相談しよう!

本記事のまとめ

・アメリカでは、先に商標を使用していた人が優先される「先使用主義」を採用しています

・先願主義を採用している日本とは商標実務が相違するため、使用証拠の保管が、さらに重要になり、また、商標登録の取り消しリスクや商標の調査方法も違います

・先使用主義を採用しているものの、アメリカにおいて商標登録を取得するメリットは色々とあります

アメリカの商標制度は独特で、分からないこともあるでしょう。

そのような場合には、まずは、アメリカでの商標実務の経験がある日本の弁理士に相談しましょう。

ちなみに、筆者(角谷 健郎)にご相談いただければ、アメリカの代理人と連携しながら、検討・対応します。

弁理士すみや
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米国テンプル大学ロースクールを卒業していて、アメリカの法律にも精通しています!

事務所HPからもご相談いただけますが、以下のフォームからも簡単にお問い合わせいただけます。

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