士業の事務所の名称、どの区分で商標登録するの?

まとめ

・士業は、専門的なサービスを提供し、他者の模倣を防ぐため、士業の事務所の名称を商標出願することがあります

・特許事務所や法律事務所の名称の場合は45類、監査法人の名称の場合は35類など、出願すべき必須の区分があります

・士業の特定のサービス(役務)を指定した場合には、出願人の名義によっては、拒絶理由が通知されて、登録できない危険性があるので、注意しましょう

士業の事務所名で、必ず指定すべき出願区分

士業は、専門的なサービスをお客さまに提供しています。

他者に模倣されるのを防ぐため、士業の事務所の名称を商標出願することがあります。

1類~45類まで、出願区分がありますが、どの区分で商標出願すべきでしょうか?

士業ごとに、どの出願区分が必須か、検討していきます。

士業の事務所の名称を商標出願する場合には、対象の業務をきっちりカバーできるよう、出願する区分を検討しましょう!

弁理士の場合

弁理士は、知的財産権に関する業務を行い、具体的には、特許庁への出願手続きの代理などです。

「知的財産権に関する手続の代理」などは、45類に属します。

よって、弁理士の事務所名の商標出願の場合には、45類が必須です。

弁護士の場合

弁護士は、裁判時の代理人業務だけではなく、交渉や法律相談など、多岐にわたる法律業務を行います。

「法律業務」や「法律の助言及び代理」は、45類に属します。

よって、弁護士の事務所名の商標出願の場合には、45類が必須です。

司法書士の場合

司法書士は、専門的な法律知識に基づき、不動産や会社の登記を代理したり、裁判所等に提出する書類を作成します。

「登記に関する手続の代理」や「法的書類の作成(法律業務)」は、45類に属します。

よって、司法書士の事務所名の商標出願の場合には、45類が必須です。

行政書士の場合

行政書士は、県庁や市町村役場など官公署に提出する書類を作成したり、作成した書類を提出する手続を代理・代行します。

「官公署に提出する書類の作成」や「行政手続きの代理」は、45類に属します。

よって、行政書士の事務所名の商標出願の場合には、45類が必須です。

税理士の場合

税理士は、各種税金の申告・申請、税務書類の作成、税務相談などを行います。

業務内容によりますが、以下の出願区分を検討しましょう。

35類(「税務書類の作成」など)

36類(「税務相談」や「税務代理」)

公認会計士の場合

公認会計士は、監査・会計のスペシャリストです。

監査証明がメイン業務とし、その他、会計・税務・コンサルティングの業務を行うこともあります。

「会計監査」や「財務書類の作成」は、35類に属します。

よって、監査法人の名称の商標出願の場合、35類は必須です。

社会保険労務士の場合

社会保険労務士は、主に、労働社会保険の手続などを代行します。

「社会保険に関する手続の代理」は、45類に属しますので、社会保険労務士の事務所名の商標出願の場合には、45類が必須です。

また、「労務に関する指導及び助言」は、35類に属します。

これらのサービスもメインの場合には、35類も指定しましょう。

土地家屋調査士の場合

土地家屋調査士は、不動産の表示に関する登記の専門家です。

土地や建物の所在・形状などを調査・測量して、図面の作成や不動産の表示に関する登記の申請手続などを行います。

業務内容によりますが、以下の出願区分を検討しましょう。

36類(「建物又は土地の鑑定評価」や「建物又は土地の情報の提供」)

42類(「土地の測量」や「地質の調査」)

45類(「登記に関する手続の代理」など)

中小企業診断士の場合

中小企業診断士は、中小企業の経営課題に対応するための診断・助言を行う専門家です。

企業の成長戦略策定やその実行のためのアドバイスがメイン業務です。

「企業の経営の診断」や「経営の助言」は、35類に属します。

よって、中小企業診断士の事務所名の商標出願の場合には、35類が必須です。

不動産鑑定士の場合

不動産鑑定士は、不動産の経済価値を判定・評価します。

「土地・建物の鑑定評価」や「建物又は土地の鑑定書の作成」は、36類に属します。

よって、不動産鑑定士の事務所名の商標出願の場合には、36類が必須です。

士業サービスの商標出願の注意点

法律で、業務を行うために、国家資格などの保有が義務づけられていることがあります。

例えば、「財務書類の監査又は証明」を行うには、公認会計士の資格が必要です。

また、「登記又は供託に関する手続の代理」は、司法書士もしくは弁護士の独占業務です。

これらのサービス(役務)を含んだ商標出願の場合、特定の資格を保有した個人もしくは法人の名義ではないと、特許庁の審査で、拒絶理由が通知され、登録できません。

例えば、「財務書類の監査又は証明」を含んだ商標出願は、公認会計士もしくは監査法人の名義でないと、拒絶理由が通知されます。

士業サービスの商標出願の場合には、出願人の名義に注意しましょう。

士業の独占業務との関係で、出願人の名義に注意しないと、出願商標を使用する意思に疑義があるとして、特許庁の審査で、拒絶理由が通知されて、商標登録できない危険性があります

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