マドプロ出願で失敗しないために|加盟国の調べ方と実務上の注意点4つ

「マドプロ出願をすれば、どの国にも簡単に商標を保護できる」――そう思っていませんか?

実際は、マドプロ加盟国ごとにルールや取り扱いに違いがあり、確認不足が思わぬトラブルを招くことも。

特に、ベネルクスやEUのような地域単位での扱い、あるいは事後指定に制限のある国など、注意すべきポイントがいくつか存在します。

この記事では、マドプロ加盟国の調べ方と、実務で見落とされがちな4つの注意点を、弁理士の視点からわかりやすく解説します。

出願前に確認しておくことで、余計な手戻りや出願ミスを防ぎましょう。

記事の信頼性
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すみや商標知財事務所の代表弁理士(登録番号18043)が執筆しています

・商標専門の弁理士として、13年以上、働いています

これまで、多くのマドプロ出願を担当しました

・初心者向けに分かりやすく説明するのが、得意です

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【業界では珍しい「商標専門」の弁理士】

マドプロ加盟国とは

マドリッド協定議定書は、商標の国際登録手続きを簡素化するための条約で、その略称が、「マドプロ」です。

この条約に加盟している国・地域を、マドプロ加盟国といいます。

日本は、2000年に、マドプロに加盟したので、マドプロ加盟国です。

また、アメリカ・中国・シンガポール・韓国・ブラジルなど、多くの国もマドプロに加盟しています。

マドプロ加盟国であれば、マドプロ出願を利用して、外国に一括して商標出願することができます。

なお、マドプロ出願の概要については、以下の記事をご参照ください。

【初心者向け】マドプロ出願の基本と利用条件|外国商標登録の第一歩をわかりやすく紹介
虎さん
虎さん

日本はマドプロ加盟国なので、外国に商標出願する際に、マドプロ出願を利用できます

マドプロ加盟国の調べ方(特許庁ホームページの利用)

商標の実務で、マドプロ出願を利用する際には、マドプロに加盟しているか、チェックします。

そのような場合、最新の加盟国一覧リストをみて、確認しています。

加盟国一覧リストは、日本の特許庁のホームページから入手できます。

参考までに、「マドリッド協定議定書締約国一覧」の抜粋は、以下の通りです。

100ヵ国以上の国・地域がマドプロに加盟しています。

加盟国数が多いので、加盟しているか、チェックする際には、見落とさないよう、気を付けましょう。

虎さん
虎さん

110ヵ国以上の国・地域がマドプロに加盟していてるので、多数の国に商標出願する際、マドプロ出願が有効です!

マドプロ加盟国をチェックする際の「4つの注意点」

マドプロ加盟国をチェックする際に、例えば、以下のような点に気を付けましょう。

  • 増え続けるマドプロ加盟国
  • オランダ・ベルギー・ルクセンブルクの商標出願は、まとめて「ベネルクス」
  • EUへの加盟と脱退
  • 一部のマドプロ加盟国での事後指定の制限

増え続けるマドプロ加盟国

マドプロ加盟国は増え続けています。

2021年以降だけでも、パキスタン・チリ・ジャマイカ・アラブ首長国連邦など、9ヶ国が加盟しました。

マドプロ加盟国をチェックする際には、最新の情報を入手するよう、注意しましょう

オランダ・ベルギー・ルクセンブルクの商標出願は、まとめて「ベネルクス」

マドプロ加盟国のリストを見ると、「ベネルクス」があります。

マドプロ出願で「ベネルクス」を指定すれば、その効力は、オランダ・ベルギー・ルクセンブルクの3ヵ国に及びます。

ただし、オランダ・ベルギー・ルクセンブルクを個別に指定することはできませんので、注意しましょう。

虎さん
虎さん

オランダ・ベルギー・ルクセンブルクは、「ベネルクス」として、マドプロに加盟しています

EUへの加盟と脱退

マドプロ出願で、欧州連合知的財産庁(EUIPO)を指定することができます。

これにより、欧州連合(EU)の加盟国をカバーすることができます。

しかし、EU加盟国は、増減していて、近年では、イギリスがEUから脱退しました。

欧州連合知的財産庁(EUIPO)を指定する場合、最新のEU加盟国を確認しましょう。

虎さん
虎さん

欧州連合知的財産庁(EUIPO)を指定すれば、EU加盟国を全てカバーできますが、EU加盟国も増減しています

一部のマドプロ加盟国での事後指定の制限

マドプロ出願した後に、指定国(出願国)を追加することができます。

この手続きを「事後指定」といいます。

しかし、国際登録日によっては、一部の加盟国での事後指定ができません

「マドリッド協定議定書締約国一覧」の注釈の5番目に、以下のように、記載されています。

具体例を使って説明

分かりにくいので、具体例を挙げて、説明します。

例えば、あなたが国際登録を保有していて、国際登録日が2019年1月1日だったとします。

新たにブラジルに商標出願しようとしても、この国際登録では、ブラジルを事後指定できません。

なぜなら、ブラジルでのマドプロの効力発生日は2019年10月2日で、国際登録日よりも後だからです。

なお、このような事後指定の制限がある加盟国は、ブラジル・インド・フィリピン・エストニアなので、注意しましょう。

本記事のまとめ

・マドプロとは、商標の国際登録手続きを簡素化するための条約で、120以上の国・地域が加盟しています

・日本の特許庁ホームページから、最新のマドプロ加盟国の一覧リストを入手でき、マドプロに加盟しているか、調べられます

・マドプロ加盟国は増え続けているので、最新のリストをチェックする等、いくつかの注意点があります

マドプロ出願に興味があれば、商標専門の弁理士に相談!

マドプロ出願は、外国に商標登録する際に、頻繁に利用される制度です。

マドプロ出願に興味があれば、専門家に相談しましょう。

なお、何十件・何百件もマドプロ出願を経験した商標専門の弁理士をオススメします。

筆者(角谷 健郎)は、マドプロ出願の経験も豊富で、商標専門の弁理士なので、ご遠慮なく、ご相談ください(初回の相談、無料です)。

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