商標出願するとき、弁理士が代行することがあります。
弁理士に支払う手数料、気になりますよね。
筆者は、10年以上、商標専門の弁理士として働いていて、業界内を熟知しています。
この記事を読めば、商標登録までに掛かる弁理士の手数料の相場が、分かります。
また、費用や経験値に応じた弁理士(特許事務所)の決め方を教えます。
商標出願を依頼すれば、弁理士との付き合いも長くなりますので、自分に合った弁理士(特許事務所)を選びましょう。
弁理士は自由に手数料を決められる!
統計上、商標出願を弁理士に依頼することが多いです。
特許庁の統計データによると、2022年、約15万件の商標出願のうち、約10万7千件、弁理士が代理しています。
本人出願・弁理士の代理出願・弁理士以外の代理出願をグラフにすると、以下の通りです。
弁理士に商標出願を依頼すると、特許庁に支払う印紙代の他に、弁理士に支払う手数料が発生します。
法改正によって弁理士報酬の基準が廃止されて、弁理士は、独自の料金を設定可能になりました。
なお、特許庁に支払う印紙代の金額については、以下の記事で、紹介しています。
ざっくり言えば、商標登録に掛かる費用は2つある!
弁理士に依頼して商標出願すると、弁理士に支払う手数料は、主に2つあります。
まず、商標出願を依頼して、商標出願が完了した際に、印紙代とともに、商標出願の手数料が掛かります。
商標出願の願書(申請書)の作成や提出などで掛かった手数料です!
その後、無事、登録査定になり、特許庁に登録料を支払ったとします。
その際に、印紙代とともに、商標登録の手数料が掛かります。
事務所によっては(特に、歴史の長い事務所では)、手数料ではなく、「謝金」と呼ぶことがあります
弁理士会のアンケート結果に基づく平均の弁理士の手数料
古いデータですが、平成15年に弁理士会がアンケート結果を公表しています。
特許事務所を経営する719名の弁理士の回答をもとに、作成しています。
その中には、商標出願の手数料・商標登録の手数料に関するデータがあります。
1区分、商標出願した場合、商標出願の手数料のアンケート結果は、以下の通りです。
5~8万円が、70%を超えています。
また、ほとんどの特許事務所では、区分数によって、手数料が増減します。
3区分、商標出願した場合、商標出願の手数料のアンケート結果は、以下の通りです。
3区分での商標出願の場合では、12~15万円、手数料を請求する弁理士が多かったです。
区分数が増えれば、その分、費用が増えるんですね
区分数が多ければ、広範囲に商品・サービスをカバーできますが、その分、コストが掛かります!
1区分、商標出願した場合、商標登録の手数料のアンケート結果です。
なお、古いアンケート結果なので、商標登録の手数料を「商標出願の謝金」と表現しています。
4~6万円が、70%を超えています。
また、登録の手数料も、ほとんどの特許事務所で、区分数によって、手数料が増減します。
3区分の商標登録の手数料のアンケート結果は、以下の通りです。
3区分の場合では、8~11万円、商標登録の手数料を請求する弁理士が多かったです。
商標業界の現状は二極化している!(大手の特許事務所と新興の特許事務所)
昔は、大手の特許事務所のシェアが高く、多くの商標出願を代理していました。
しかし、法改正によって弁理士報酬の基準が廃止され、弁理士が自由に料金を決められるようになりました。
それによって、価格競争が始まりました。
また、インターネットが普及し、IT技術が向上することで、薄利多売の商標出願が可能になりました。
新興の特許事務所が、大きくシェアを伸ばしました。
その結果、現状、大手の特許事務所と新興の特許事務所で二極化されています。
新興の特許事務所の売りは、「圧倒的な費用の安さ」!
筆者の相場感としては、大手の特許事務所に1区分の商標出願を頼むと、手数料が、6~9万円程度、掛かります。
また、商標登録の際に、登録の手数料が、4~6万円掛かります。
それに比べて、大きなシェアを占めている新興の特許事務所は、圧倒的に、費用が安いです。
多くの依頼を抱える新興の特許事務所は、ホームページで、料金を公開していることが多いです。
1区分、商標出願した場合の出願手数料と登録手数料は、以下の通りです。
出願手数料 | 登録手数料 | |
弁理士法人Toreru | 19,800円 | なし |
みなとみらい特許事務所 | 18,480円 | 27,500円 |
ナレッジ特許&技術士事務所 | なし | 27,500円 |
坪内特許事務所 | 10,000円 | 4,000円 |
海特許事務所 | 9,000円 | 21,580円 |
弁理士法人Smarca | 13,200円 | 17,800円 |
これらの事務所は、驚異的に安い料金を売りに、集客しています。
大手の特許事務所の売りは、「安心感」!
新興の特許事務所が伸びている一方で、大手の特許事務所も、依然、多くの依頼者を抱えています。
大手の特許事務所の売りは、「安心感」です。
大手の特許事務所は、古くに設立されて、長い歴史があります。
また、特許弁理士や弁護士も多く在籍して、所員数が多いのも、特徴です。
代表的な大手の特許事務所の設立年や所員数などは、以下の通りです。
設立年 | 所員数など | |
TMI総合法律事務所 | 1990年 | 所員数1199名 (2024年1月5日時点) |
三枝国際特許事務所 | 1946年 | 所員数 約130名 |
中村合同特許法律事務所 | 1914年 | 所員数 約180名 |
ユアサハラ法律特許事務所 | 1902年 | 弁理士などの専門家76名 (2022年9月1日時点) |
規模が大きい・歴史が古いことが、依頼者の「安心感」に繋がっています。
大手と新興の特許事務所の中間の存在が必要!
筆者は、大手の特許事務所で、約12年間、商標弁理士として働いてきました。
そのため、商標業界のことを熟知しているつもりです。
新興の特許事務所・大手の特許事務所、どちらにも欠点があります。
筆者が考える両者の欠点は、以下の通りです。
大手の特許事務所の欠点 | ・手数料が高い ・担当する弁理士によって、当たり外れがある ・上司の確認が必要で、対応が遅くなりがち |
新興の特許事務所の欠点 | ・担当案件が多いので、対応が雑になりがち ・AIなどを利用すると、依頼者に対して不親切になりがち ・実務経験の浅い弁理士が担当する可能性 |
そこで、これらの欠点を補うため、大手と新興の事務所の中間のような存在も、必要です。
筆者が考える理想の事務所(弁理士)は、以下の通りです。
- 商標に関する知識・経験があり、質の高いサービスを提供
- 初心者にも、分かりやすくて、丁寧な説明
- 素早い返信・レスポンス
- 大手事務所よりも、リーズナブルな手数料
このような事務所を目指して、筆者は大手特許事務所から独立し、「すみや商標知財事務所」を開業しました。
こんな人には、こんな特許事務所が、オススメ!
商標出願の経験の有無や予算に応じて、おススメの特許事務所は、違います。
筆者の考えは、以下の通りです。
格安の新興の特許事務所をおススメできる人 | ・とにかく費用を抑えたい人 ・商標出願の経験があり、ある程度、商標に関する知識がある人 |
大手の特許事務所をおススメできる人 | ・費用が高くても、問題ない人 ・大手の「安心感」を得たい人 |
中間の存在(すみや商標知財事務所)をおススメできる人 | ・初めて商標出願にチャレンジする人 ・適切かつ有効な商標登録を取得したい人 ・なるべく費用も抑えたい人 |
商標登録は、更新することで、半永久的に存続するので、弁理士との付き合いも長くなります。
また、商標に関することを気軽に相談できる弁理士だと、非常に助かります。
自分に合った弁理士(事務所)を見つけることは、とても重要です。
なお、筆者(すみや商標知財事務所)に相談・依頼いただければ、全力で、あなたの商標出願をサポートします!
業界では珍しい「商標専門」の弁理士
・弁理士は、自由に手数料が決めることができます。商標の業界では、価格競争が生じています
・格安の新興の特許事務所と大手の特許事務所の二極化が生じています。その中で、筆者は、両者の中間となる事務所を設立しました
・人によって、おススメできる事務所が違います。自分に合った弁理士(事務所)を見つけることが、とても重要です