「CLUBHOUSE」事件の判例紹介

まとめ

・無料配布であっても、メールマガジンでの使用行為が、商標法上の「使用」に該当すると判断しました

・メールマガジンを配信して、商品やサービスを宣伝する場合には、メールマガジンの名称の商標出願も検討してみましょう

事件の概要

商標の実務で、参考になる判例・審決例を紹介していきます。

今回は、知的財産高等裁判所の平成21年(行ケ)第10354号の判決、いわゆる「CLUBHOUSE」事件の判例を紹介します。

まず、事件の概要を説明します。

ハウス食品株式会社が、「カレー・シチュー又はスープのもと」などの29類・30類・31類・32類の商品を指定する以下の商標登録を保有していました。

(登録第2230404号)

これに対して、第三者から不使用取消審判が請求されたので、ハウス食品社はメールマガジンの名称として「クラブハウス」を使用している旨、主張しました。

しかし、商標法上の使用には認められずに、商標登録を取り消す旨、審決が下されました。

この審決に不服があるハウス食品社が、審決の取り消しを求めて、訴訟を提起したのが、本件になります。

裁判所の判断

結論から先に言えば、原告の「クラブハウス」の使用が認められて、判断が覆りました。

争点になったのは、メールマガジンでの使用行為が、商標法上の「使用」に該当するか否か、になります。

メールマガジンの配信を受けようとする人は、原告のホームページ等から、「メールマガジン【クラブハウス】会員登録」をクリックして、登録することで、月2回の割合で、「クラブハウス」という名称のメールマガジンを受け取ることができます。

このメールマガジンは、原告商品に関するプレゼントキャンペーンの告知、新商品の情報、原告商品のテレビCM情報などが構成されています。

また、原告のメールマガジンには、原告のウェブサイトをすぐに閲覧することができるようにする多数のリンクが貼られていて、その中には、原告ウェブサイトの商品カタログなども含まれていました。

このことから、原告のメールマガジンは、顧客に原告の商品を認知させ理解を深め、いわば、電子情報によるチラシとして、原告商品の宣伝媒体としての役割を果たしています。

したがって、メールマガジンの名称「クラブハウス」は、加工食料品を中心とする原告商品に関する広告又は原告商品を内容とする情報に付されていて、商標法2条3項8号に規定する商標法上の「使用」に該当すると裁判所が判断しました

判例から学べること

この判例から、メールマガジン上での使用やメールマガジンの名称としての使用も、商標法上の「使用」に該当する可能性があります。

仮に、メールマガジンを配信して、あなたの販売する商品・サービスを宣伝する場合には、メールマガジンの名称の商標出願も検討してみましょう

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