区分が違えばOK?同じ名前でも商標登録できる条件とは

区分が違えば、必ず、商標登録できると、勘違いしているお客様が多いです。

虎さん
虎さん

13年以上の弁理士歴がある商標専門の弁理士が、商標登録に関する正しい知識を伝えます

以下のような人に読んでほしい!

・違う区分に、同一もしくは類似する登録商標を見つけた人

・同じ区分に、同一もしくは類似する登録商標を見つけた人

商品・役務(サービス)の類似判断の方法を知りたい人

この記事を読めば、違う区分に、同一もしくは類似の登録商標があった場合、商標登録できるか、教えます。

また、同一の区分に、同一もしくは類似の登録商標があった場合でも、商標登録できるケースを紹介します。

記事の信頼性
記事の信頼性

すみや商標知財事務所の代表弁理士(登録番号18043)が執筆しています

・商標専門の弁理士として、13年以上、働いています

お客様のよくある勘違いを熟知しています

・初心者向けに分かりやすく説明するのが、得意です

初回の相談、無料!

【業界では珍しい「商標専門」の弁理士】

目次

  1. 商標登録の区分は、商品・役務(サービス)のカテゴリー
  2. 区分が違えば、商標登録できる可能性が高い(必ずではないが)
  3. 【注意】区分が違っても、商標登録できない危険性がある
  4. 区分が同じでも、商標登録できることがある(すぐには諦めない!)
  5. 【重要】区分ではなく、指定商品・役務で、商標登録の権利範囲を判断すべき!
  6. よくある質問(FAQ)
  7. 【まとめ】迷ったら、商標専門の弁理士に相談!(誤った判断だと、商標権侵害で訴えられるかも)

商標登録の区分は、商品・役務(サービス)のカテゴリー

初心者くん
初心者くん

区分とは、何ですか?

虎さん
虎さん

簡単にいえば、区分は、商品・役務(サービス)の属するカテゴリーです!

区分は、全部で45個に分かれています。

1類~34類は商品の区分で、35類~45類は役務(サービス)の区分です。

各区分の商品・サービスをざっくりと紹介すると、以下のリストの通りです。

1類化学品16類紙、紙製品、事務用品31類生きている動植物
2類塗料、着色料17類電気絶縁用などの材料32類アルコールを含有しない飲料、ビール
3類洗浄剤、化粧品18類革、旅行用品、馬具33類ビールを除くアルコール飲料
4類工業用油、工業用油脂、燃料、光剤19類金属製でない建築材料34類たばこ、喫煙用具、マッチ
5類薬剤20類家具35類広告、事業の管理、小売・卸売
6類卑金属、その製品21類家庭用品、化粧用具、ガラス製品36類金融、保険、不動産の取引
7類加工機械22類ロープ製品、織物用の原料繊維37類建設、設置工事、修理
8類手動工具23類織物用の糸38類電気通信
9類科学用、電気制御用などの機械器具24類織物、家庭用の織物製カバー39類輸送、旅行の手配
10類医療用機械器具、医療用品25類被服、履物40類物品の加工その他の処理
11類照明用、加熱用などの装置26類裁縫用品41類教育、娯楽、スポーツ、文化活動
12類乗物その他移動用の装置27類床敷物、織物製でない壁掛け42類コンピューター、ソフトウェアの開発
13類火器、火工品28類玩具、遊戯用具、運動用具43類飲食物の提供、宿泊施設の提供
14類貴金属、宝飾品、時計29類動物性の食品、加工食品44類医療、美容、農業のサービス
15類楽器30類植物性の加工食品、調味料45類冠婚葬祭、警備、法律のサービス

なお、類似商品・役務審査基準では、より詳細かつ具体的に、各区分の商品・サービスを紹介しています。

区分が違えば、商標登録できる可能性が高い(必ずではないが)

区分が違うということは、商品・サービスのカテゴリーが相違します。

そのため、先行の商標登録と区分が違えば、商標登録できる可能性が高いです

しかし、必ず、商標登録できるわけではありません。

区分が違っても、商標登録できないケースがあります。

【注意】区分が違っても、商標登録できない危険性がある

初心者くん
初心者くん

区分が違う他人の商標登録でも、障害となることがありますか?

虎さん
虎さん

勘違いしている人も多いですが、区分が違っても、障害となることがあります!

以下の3つのケースでは、区分が違っても、商品・役務(サービス)が類似します

  • 商品と、その商品の小売業
  • 他区分でも、商品が類似する
  • 他区分でも、役務(サービス)が類似する

他区分でも、商品と役務(サービス)が類似する事例(商品と商品の小売業)

商品と、その商品の小売業は、原則、類似します。

具体的に言えば、例えば、以下の商品と役務(サービス)は、類似します。

  • 25類「被服」と35類「被服の小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」
  • 16類「文房具類」と35類「文房具類の小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」

35類の「被服の小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定する類似の登録商標があったとします。

その場合、25類に類似する登録商標がなくても、「被服」において、商標登録を取得できません

虎さん
虎さん

商品は1類~34類のいずれかの区分に属します。一方、あらゆる商品の小売業が35類に属します

他区分でも商品が類似する事例(商品と他区分の商品)

区分が違っても、類似する商品も、結構、あります。

例えば、以下の商品は、区分が違っても、類似します。

  • 5類「綿棒」と8類「ピンセット」(類似群コード01C01)
  • 6類「金庫」と20類「家具」(類似群コード20A01)
  • 6類「金属製鍵」と14類「キーホルダー」(類似群コード13C02)
虎さん
虎さん

類似群コードが一致すれば、商品が類似すると判断されます

例えば、5類において、類似する登録商標がなかったとします。

しかし、8類の「ピンセット」を指定する類似の登録商標があれば、5類「綿棒」において、商標登録できません。

他区分でも役務(サービス)が類似する事例(役務と他区分の役務)

区分が違っても、類似する役務(サービス)も、結構、あります。

例えば、以下の役務(サービス)は、区分が違っても、類似します。

  • 39類「企画旅行の実施」と43類「宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ」(類似群コード42A02)
  • 44類「美容」と45類「着物の着付け」(類似群コード42C01)

例えば、美容院オープンのため、44類「美容」で、商標出願を検討していたとします。

45類の「着物の着付け」を指定する類似の登録商標がありました。

その場合、44類に類似する登録商標がなくても、44類「美容」で商標登録できません。

区分が同じでも、商標登録できることがある(すぐには諦めない!)

逆に、区分が同じでも、商標登録できることも多々あります

同じ区分に、同一・類似の先行商標が見つかっても、すぐに諦めないでください。

例えば、以下の商品・役務(サービス)は、同じ区分ですが、類似しません。

  • 「洋服」と「ベルト」
  • 「文房具類」と「写真立て」
  • 「ケーブル」と「スピーカー」
  • 「教育」と「セミナーの開催」
  • 「外科治療」と「はり治療」

同じ区分でも、商品が類似しない事例①(「洋服」と「ベルト」)

25類の「洋服」の類似群コードは、「17A01」です。

一方、25類の「ベルト」の類似群コードは、「21A01」です。

よって、同じ25類でも、「洋服」と「ベルト」は、類似しません。

初心者くん
初心者くん

「洋服」と「ベルト」、どちらもアパレル商品ですが、類似しないんですか?

虎さん
虎さん

類似群コードが違うので、原則、非類似の商品と判断します

同じ区分でも、商品が類似しない事例②(「文房具類」と「絵本」)

16類の「文房具類」の類似群コードは、「25B01」です。

一方、16類の「絵本」の類似群コードは、「26A01」です。

よって、同じ16類でも、「文房具類」と「絵本」は、類似しません。

同じ区分でも、商品が類似しない事例③(「ケーブル」と「スピーカー」)

9類の「ケーブル」の類似群コードは、「11A05」です。

一方、9類の「スピーカー」の類似群コードは、「11B01」です。

よって、同じ9類でも、「ケーブル」と「スピーカー」は、類似しません。

初心者くん
初心者くん

「ケーブル」と「スピーカー」、どちらも家電量販店で販売されている商品ですが、類似しないんですか?

虎さん
虎さん

両商品の類似群コードが相違するので、これらの商品も、原則、類似しません

同じ区分でも、役務(サービス)が類似しない事例①(「教育」と「セミナーの開催」)

41類の「教育」の類似群コードは、「41A01」です。

一方、41類の「セミナーの開催」の類似群コードは、「41A03」です。

よって、同じ41類でも、「教育」と「セミナーの開催」は、類似しません。

同じ区分でも、役務(サービス)が類似しない事例②(「外科治療」と「はり治療」)

44類の「外科治療」の類似群コードは、「42V02」です。

一方、44類の「はり治療」の類似群コードは、「42V01」です。

よって、同じ44類でも、「外科治療」と「はり治療」は、類似しません。

【重要】区分ではなく、指定商品・役務で、商標登録の権利範囲を判断すべき!

商標登録の権利範囲は、区分ではなく、指定商品・役務で判断します。

他区分でも、類似する商品やサービスがあるので、区分だけに着目すると、正確には判断できません。

さらに厳密に言えば、指定商品・役務の類似群コードをもとに、考えます。

初心者くん
初心者くん

区分ではなく、指定商品・役務の類似群コードに基づいて、判断すべきですね

虎さん
虎さん

その通りです!区分をもとに判断すると、判断を間違える危険性があります!

類似群コードに基づいた判断方法については、以下の記事で、詳しく説明しています

商標登録で失敗しないために!商品・役務の類否判断と類似群コードの使い方

商標業務を取り扱う弁理士であれば、「常識」ですが、ほとんどの人は、商標に関する知識が豊富ではありません。

多くのお客様が、勘違いしている点なので、注意しましょう!

よくある質問(FAQ)

以下は、読者の方が迷いがちな実務上の疑問に対して、簡潔に答えたFAQです。

記事本文と合わせてご活用ください。

Q1. 区分が違っていても、商標登録できないケースとは?

区分が異なっても、商品の性質や役務の内容が似ていれば「類似」と判断されることがあります。

たとえば、小売業(35類)とその商品(商品の区分)は、区分が違っても、類似します。

本記事で、より詳しく解説しています。

Q2. 同じ区分内であっても、「類似」にならないケースとは?

同一区分に属していても、類似群コードが異なれば、原則、「非類似」と判断されます。

たとえば、同じ区分(25類)でも、「洋服」と「ベルト」は、類似群コードが異なるので、類似しない商品と判断されます。

なお、類似群コードについては、以下の記事で、詳しく紹介しています。

商標登録で失敗しないために!商品・役務の類否判断と類似群コードの使い方

Q3. 区分が違う商標登録があると、将来のビジネスで問題が起きることがありますか?

はい、将来的に自社の業務を拡大して別の区分のサービス・商品を扱う場合、他人の商標登録が障害になる危険性があります。

最初に将来の使い方・展開を見越して指定商品・役務を広めに取るか、追加の商標出願を検討するのが望ましいです。

Q4. ネットショップや通販での商品販売でも「区分が違えば大丈夫」でしょうか?

商品販売であれば、その商品自体の区分が重要です。

「販売チャネル(ネット/店舗等)」は区分ではないので、商標登録する際には、取り扱う商品がどの区分かを正確に指定すべきです。

また、同一・類似の商標登録があれば、自分の取り扱う商品の類似群コードを調べて、商品が類似するか、正確に判断する必要があります。

【まとめ】迷ったら、商標専門の弁理士に相談!(誤った判断だと、商標権侵害で訴えられるかも)

本記事のまとめ

・先行の商標登録と区分が違えば、商標登録できる可能性が高いです。しかし、区分が違っていても、商標登録できないケースもあります

・その逆に、先行の商標登録と区別が同じでも、商標登録できるケースも多いです。同一の区分だから、商品・サービスが類似するとは限りません

・商標登録の権利範囲を、区分で判断してはいけません。正しくは、商標登録の指定商品・役務、及び、それらの類似群コードで、権利範囲を判断します

実際には、商品・役務が類似しているか、判断に迷うこともあるでしょう。

虎さん
虎さん

判断を間違えると、「商標登録できない」「商標権侵害で訴えらえる」危険性があります!

判断を間違うと、ビジネスに深刻なダメージを与えるリスクがあるので、判断に迷ったら、商標専門の弁理士に相談しましょう

筆者(角谷 健郎)に相談いただければ、親身になって、一緒に検討して、正確に判断します!

事務所HPからもご相談いただけますが、以下のフォームからも簡単にお問い合わせいただけます。

商標登録の不安、専門家が丁寧にサポート!

【業界では珍しい「商標専門」の弁理士】

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