筆者は、12年以上、商標専門の弁理士として働いてきました。
しかし、恥ずかしながら、2024年4月に大手特許事務所から独立・開業して、「さくっと書類作成」というツールを知りました。
そこで、実際に「さくっと書類作成」を利用してみて、商標登録の願書を作成しました。
この記事を読めば、「さくっと書類作成」の利用方法が分かります。
また、実際に利用してみた感想と「さくっと書類作成」を利用すべき人を教えます。
「さくっと書類作成」とは
「さくっと書類作成」は、特許庁が2020年12月から提供している書類作成支援ツールです。
「さくっと書類作成」を使えば、ブラウザの画面に入力するだけで、電子出願用の一部の書類を作成できます。
具体的には、商標に関する以下の書類を作成できます。
- 商標登録願
- 地域団体商標登録願
- 早期審査に関する事情説明書
- 商標登録料納付書
また、ブラウザの画面に入力する形式なので、ソフトをダウンロードする必要はありません。
「さくっと書類作成」で商標登録の願書を作ってみた!
実際に、「さくっと書類作成」を使ってみました。
今回は、筆者(角谷 健郎)の個人名義で、自分の事務所名「すみや商標知財事務所」の商標登録の願書を作成します。
その場合には、以下のステップで、「さくっと書類作成」を利用して、商標登録の願書を作りました。
まずは、「さくっと書類作成」に電子出願ソフトサポートサイトからアクセスします。
リンク先ページの「さくっと書類作成を開く」のボタンをクリックしてください。
はじめて使う時や初期化した後は、「パスワードの設定」がでます。
パスワードを設定した場合、「さくっと書類作成」を起動時にパスワード認証します。
筆者は、お試し利用なので、パスワードを設定しませんでした。
なお、後から変更して、パスワードを設定することもできます。
「書類をつくる」のタグから、対象の書類を選びましょう。
商標登録の願書なので、「四法」は「商標」を選択し、「作成書類」は「商標登録願」を選択します。
「新規作成」をクリックすれば、次のページに進みます。
次に、出願人の情報を入力します。
個人もしくは法人を選び、氏名(名称)や住所を記載します。
なお、法人の場合には、代表者の氏名を記載します。
今回、個人の名義なので、以下の通り、入力しました。
なお、「識別番号」は、初めて商標出願した場合に、特許庁から付与されます。
筆者は、識別番号が付与されているので、「住所又は居所」の欄を省略できます。
商標登録する商標を入力します。
今回、文字商標での商標登録を希望しているので、「種類」は「標準文字」を選択します。
また、「登録する商標」には、「すみや商標知財事務所」と入力します。
なお、ロゴや図形を商標出願したい場合、「種類」は「平面」を選択し、対象のデータをアップロードしましょう。
商標登録する「区分」を選択し、具体的な「商品・役務名」を記載します。
弁理士業の属する区分の「45類」を選択し、「商標に関する手続の代理」など、具体的な「商品・役務名」を記載しました。
商標登録する「区分」の決め方については、以下の記事で、紹介しています。
また、「商品・役務名」の決め方については、以下の記事で、紹介しています。
次に、手数料の納付方法や納付金額を入力します。
筆者が、普段、利用している「クレジットカード納付」を選択し、1区分の場合の印紙代(納付金額)の「12000」円を入力します。
なお、納付方法については、以下の記事で紹介していますが、ポイントが付いて、お得な「クレジットカード納付」をオススメしています。
作成した書類を確認します。
これまで入力した情報をもとに、確認画面が表示されますので、内容に間違いがないか、確認しましょう。
問題なければ、「編集終了」をクリックします。
最後に、書類名を付けて保存します。
今回は、「名称」を「テスト用」として、「はい」をクリックして、保存しました。
これで商標登録の願書の作成は、完了なので、インターネット出願ソフトを使って特許庁へ電子出願します。
「さくっと書類作成」で商標登録の願書を作った感想
実際に利用してみて、「さくっと書類作成」は、かなり便利でした。
一方、「さくっと書類作成」に対して、不満に思うこともありました。
筆者が感じた「さくっと書類作成」のメリット・デメリットを紹介します。
初心者でも、分かりやすく操作できる
初めて、「さくっと書類作成」を利用しましたが、迷うことがありませんでした。
初心者でも、分かりやすく操作できるよう、「さくっと書類作成」は工夫されています。
ソフトをダウンロードせずに、利用できる
ソフトをダウンロードするのは、面倒です。
しかし、「さくっと書類作成」は、ソフトをダウンロードせずに、利用できます。
電子出願にしか、対応していない
「さくっと書類作成」は、電子出願用の願書しか、作成できません。
つまり、郵送する場合の紙での出願用の願書には、対応していません。
代理人による出願には、対応していない
「さくっと書類作成」は、個人事業主・中小企業向けのサービスです。
そのため、代理人による商標出願を想定して、設計されていません。
弁理士が、日常的に使用するのには、向いていないです。
「さくっと書類作成」を利用すべき人
以下の3つの条件を満たす人であれば、「さくっと書類作成」の利用をお勧めします。
- インターネット出願ソフトをインストロールしている
- あまり商標出願した経験がない
- 音や色などの特殊な商標ではなく、文字・ロゴ・図形の商標登録を希望している
「さくっと書類作成」は、電子出願にしか対応していません。
インターネット出願ソフトをインストールするのは、結構、手間が掛かります。
わざわざ1件の商標登録のために、出願ソフトをインストールするのは、お勧めできません。
一方、インターネット出願ソフトをインストロールしていれば、電子出願でき、「さくっと書類作成」を利用できます。
商標出願の経験が豊富であれば、「さくっと書類作成」を利用せずに、商標登録の願書が作れるでしょう。
一方、初めて商標出願する方や商標出願の経験がほとんどない方には、「さくっと書類作成」をお勧めします。
直感的に操作できるので、簡単に、商標登録の願書を作成できます。
音や色などの特殊な商標には、「さくっと書類作成」では対応できません。
一方、文字・ロゴや図形など、一般的な商標であれば、「さくっと書類作成」で対応できます。
特殊な商標でなければ、「さくっと書類作成」の利用を検討しましょう。
商標登録の願書の作成で分からないことがあれば、商標専門の弁理士に相談!
実際、商標登録の願書を作成したら、分からないことも出てくるでしょう。
そのような場合には、商標専門の弁理士に相談しましょう。
筆者(すみや商標知財事務所)にご連絡いただければ、親身になって、一緒に検討します!
業界では珍しい「商標専門」の弁理士
・「さくっと書類作成」を利用すれば、登録する商標、商標登録する区分と商品・役務名、出願人の情報などを入力するだけで、商標登録の願書が簡単に作成できます
・初心者でも、分かりやすく操作でき、ソフトをダウンロードせずに、利用できます。ただし、電子出願にしか対応しておらず、また、代理人による出願にも対応していません
・あまり商標出願した経験がなく、インターネット出願ソフトをすでにインストロールしている人には、「さくっと書類作成」の利用をお勧めします