様々な企業や個人が、自分のキャラクターを作成して、ビジネスに使用しています。
実際、ビジネスで使用されている多くのキャラクターが、商標登録されています。
ただし、同一もしくは類似の先行商標が存在すると、商標権侵害の危険性があるので、事前に先行商標を検索すべきです。
筆者は、10年以上、商標専門の弁理士として働いていて、数多くのキャラクターの商標調査をお手伝いしました!
しかし、多くの人が、先行商標の検索のやり方を知りません。
この記事を読めば、キャラクターを商標登録する前の先行商標の検索方法のやり方が分かります。
また、キャラクターを商標登録するにあたり、先行商標を検索する際の注意点も教えます。
キャラクターが商標登録できるか、検索するには?
キャラクターを商標登録する前に、先行商標を検索します。
その場合、通常、オンラインの公開データベース「J-PlatPat」を使います。
「J-PlatPat」には、誰でも無料で利用できます!
キャラクターの外観(見た目)が類似する図形の先行商標がないか、チェックする必要があります。
また、キャラクターには、各々の名前があります。
キャラクター名についても、類似する先行商標がないか、調べましょう。
【キャラクターを商標登録する前】図形の検索のやり方
まず、キャラクターの外観(見た目)と類似する先行商標がないか、検索する必要があります。
キャラクター図形の先行商標の検索方法は、以下の通りです。
【Step1】まずは、対象の商品・サービスの類似群コードを調べる
類似群コードは、商品・サービスが類似するかの判断の基準です。
類似群コードが一致していれば、商品・サービスが類似すると推定されます。
一方、相違していれば、商品・サービスが類似しないと推定されます。
なお、商品・サービスの類否判断については、以下の記事で、詳しく紹介しています。
【重要】商品・役務(サービス)が類似するか、どうやって判断する?類似群コードの使い方を説明!類似群コードは、特許庁データベースを利用して、調べられます。
まずは、データベース「J-PlatPat」の「商標」の欄から、「商品・役務名検索」をクリックしましょう。
検索キーワードに、対象の商品名・サービス名を入力して、類似群コードを調べます。
【Step2】対象のキャラクター図形の図形等分類を調べる
次に、調査対象のキャラクター図形の図形等分類を検討します。
公開データベース「J-PlatPat」の「図形等分類表」を使いましょう。
キーワード検索や分類表を利用して、図形等分類を調べます。
図形等分類は、出願人が決めるんですか?
出願人が決められません。出願した商標に基づき、特許庁が図形等分類を付与します
【Step3】次に、「商標検索」の欄から、先行商標を調べる
特許庁データベースの「商標」の欄から、「商標検索」をクリックします。
「図形等分類」と「類似群コード」を入力して、検索しましょう。
【Step4】先行商標と類似するか、検討
検索して、ヒットしたからといって、必ず類似するわけではありません。
調査対象のキャラクター図形と先行商標が類似するか、検討しましょう。
商標が類似するか、正確に判断するには、専門的な知識や経験が必要になります。
【Step5】対象の先行商標の現状をチェック
対象商標の登録番号をクリックすると、商標の現状が分かります。
その中には、「存続期間満了日」が記載されています。
念のため、商標登録が存続しているか、確認しましょう。
【Step6】調査したキャラクター図形が商標登録できそうか、結論を出す
最後に、先行商標の検索結果をもとに、キャラクター図形が商標登録できそうか、判断します。
同一もしくは類似する先行商標が存在した場合、商標登録できないだけではなく、商標権侵害のリスクがあります。
できれば、そのようなキャラクターを採択しないことをお勧めします。
【キャラクターを商標登録する前】図形の検索の具体例
具体例を出して、キャラクター図形の先行商標の検索方法を説明します。
このホームページで使っている、以下のキャラクターを商標登録したいとします。
このキャラクター図形に、類似する先行商標がないか、調べます。
【Step1】「商標に関する情報の提供」の類似群コードを調べる
筆者は弁理士で、本サイトでは、商標に関する情報を提供しています。
以下の通り、「商品・役務名」に「商標」「情報」と、それぞれ入力します。
「検索」ボタンをクリックすると、以下のような検索結果が表示されます。
「商標に関する情報の提供」の類似群コードは、「42R01」だと分かります。
【Step2】対象のキャラクター図形の図形等分類を検討する
対象のキャラクター図形()は、虎をモチーフとしています。
図形等分類表を調べると、以下のように、記載されています。
これにより、虎の図形の図形等分類が「3.1.4.01」だと分かります。
図形によっては、複数の図形等分類に該当する可能性があるので、注意です!
【Step3】類似する先行商標がないか、検索する
「商標検索」で、対象の図形等分類の「3.1.4.01」を入力します。
また、「類似群コード」の欄に、対象の類似群コード「42R01」を入力します。
この条件で、検索してみると、9件の先行商標がヒットします。
検索すると、商標(法律)情報の提供の分野において、虎の図形の先行商標が表示されます。
【Step4】先行商標と類似するか、検討する
検索してヒットした先行商標が、調査対象の図形と類似するか、個別に検討していきます。
筆者がチェックした限りでは、調査対象の図形と、明らかに類似する先行商標は見つかりませんでした。
【Step5】調査した図形が商標登録できそうか、結論を出す
データベースで検索した限り、商標情報の提供の分野において、類似する先行商標は見つかりませんでした。
よって、先行商標の関係においては、対象のキャラクター図形()は、商標登録できそうです。
また、現状、類似する先行商標は存在しないので、使用しても、問題なさそうです。
【キャラクターを商標登録する前】キャラクター名称の検索のやり方
キャラクターには名前があり、キャラクター名もビジネスで使用することが多いです。
実際、キャラクター名を商標登録することが多々あります。
- ピカチュウ(商登第6454136号)
- (商登第2343144号)
- くまモン(商登第5540075号)
よって、キャラクター名称についても、先行商標を調べる必要があります。
【Step1】まずは、対象の商品・サービスの類似群コードを調べる
図形の場合と同様、まずは、対象の商品・サービスの類似群コードを調べます。
データベース「J-PlatPat」の「商品・役務名検索」を利用しましょう。
【Step2】次に、「商標検索」の欄から、先行商標を調べる
特許庁データベースの「商標」の欄から、「商標検索」をクリックします。
検索項目から「称呼(類似検索)」を選びます。
なお、よくある間違いは、「称呼(類似検索)」ではなく、「商標(検索用)」での検索です。
「商標(検索用)」は、全く同一の商標を調べる際に使用します。
「商標(検索用)」を選択すると、類似の先行商標がヒットしない危険性があります。
【Step3】先行商標と類似するか、検討
検索して、ヒットしたからといって、必ず類似するわけではありません。
調査対象の商標と先行商標が類似するか、検討しましょう。
商標が類似するか、正確に判断するには、専門的な知識や経験が必要になります。
なお、判断方法については、以下の記事で、説明しています。
【商標の類否判断】重要!商標が似ているか、どう判断する?【Step4】対象の先行商標の現状をチェック
対象商標の登録番号をクリックすると、商標の現状が分かります。
その中には、「存続期間満了日」が記載されています。
念のため、商標登録が存続しているか、確認しましょう。
【Step5】調査したキャラクター名称が商標登録できそうか、結論を出す
最後に、先行商標の検索結果をもとに、キャラクター名称が商標登録できそうか、判断します。
同一もしくは類似する先行商標が存在した場合、商標登録できないだけではなく、商標権侵害のリスクがあります。
できれば、そのようなキャラクター名を採択しないことをお勧めします。
【キャラクターを商標登録する前】キャラクター名称の検索の具体例
具体例を出して、キャラクター名称の検索方法を説明します。
以下のキャラクターの名称、「虎さん」を例にします。
「虎さん」に類似する先行商標がないか、調べます。
【Step1】「商標に関する情報の提供」の類似群コードを調べる
筆者は弁理士で、本サイトでは、商標に関する情報を提供しています。
データベース「J-PlatPat」の「商品・役務名検索」を利用して、類似群コードを調べます。
「商標」「情報」をキーワードにして、検索すると、以下のような検索結果が表示されます。
「商標に関する情報の提供」の類似群コードは、「42R01」だと分かります。
【Step2】「虎さん」と類似しうる先行商標がないか、データベースで検索する
「称呼(類似検索)」の欄に、「トラサン」と入力します。
「類似群コード」の欄に「42R01」(商標に関する情報の提供の類似群コード)を入力します。
「検索」ボタンを押して、検索したところ、以下の通り、検索結果は0件でした。
念のため、「さん」を除いて、「虎」に類似する先行商標がないか、調べましょう。
「称呼(類似検索)」の欄に、「トラ」と入力し、また、「類似群コード」の欄に「42R01」(商標の代理業務の類似群コード)を入力します。
「検索」ボタンを押して、検索したところ、以下の5件の先行商標がヒットしました。
【Step3】先行商標と類似するか、検討する
検索してヒットした先行商標が、キャラクター名称と類似するか、個別に検討していきます。
筆者がチェックした限りでは、商標「虎さん」と、明らかに類似する先行商標は見つかりませんでした。
【Step4】「虎さん」が商標登録できそうか、結論を出す
データベースで検索した限り、商標(法律)情報の提供の分野において、「虎さん」に類似する先行商標は見つかりませんでした。
よって、先行商標の関係においては、「虎さん」は、商標登録できそうです。
また、現状、類似する先行商標は存在しないので、「虎さん」を使用しても、問題なさそうです。
キャラクターを商標登録する前の検索の注意点
ほとんどの人が、先行商標を検索したことがありません。
実際、お客様から相談いただくと、検索の方法が間違っていることが多々あります。
キャラクターを商標登録する前に、先行商標を検索する際には、以下の点に注意しましょう。
- キャラクターが、どのように認識されるか、広い視点で考える
- 商品・サービスが類似するか、意識する
- 検索してヒットしても、必ずしも類似するわけではない
注意点については、各々、説明していきます。
キャラクターが、どのように認識するか、つまり、図形等分類をどうするか、特許庁が判断します。
よって、出願人が想定しなかったように、特許庁が、キャラクターを認識する危険性があります。
例えば、人気ポケモンのピカチュウです。
ネズミなどの齧歯類をモチーフとしたキャラクターですが、ネズミの先行商標を調べただけでは、不十分です。
特許庁では、以下の4つの図形等分類を付与しています。
- 1.15.3 稲光
- 3.5.5.02 ビーバー、テン、ミンク、むささび、かわうそ
- 3.5.7.01 ネズミ、ハツカネズミ
- 4.5.15 確認できない擬動物化したその他の形態、動物の外観を持つその他の空想上の存在
キャラクターが、どのように認識されるか、広い視点で考えるべきです。
場合によっては、複数の図形等分類で、先行商標を検索しましょう。
商品・サービスを意識せずに、先行商標を検索している人が多いです。
同一もしくは類似の先行商標があったとしても、商品・サービスが類似しなければ、原則、障害とはなりません。
なお、商標権者が実際に提供している商品・サービスではなく、対象の商標登録の指定商品・役務で判断します。
調査対象の商品・サービスと類似するか、意識しながら、先行商標を調べましょう。
類似群コードを入力して検索すれば、類似する商品・サービスを指定する先行商標に限定できます!
データベース「J-PlatPat」で検索すると、多くの先行商標がヒットすることがあります。
しかし、それらの先行商標が、調査対象の図形・名称と類似するとは限りません。
実際、検索すると、多くの先行商標がヒットしても、特許庁の審査において、区別されて、商標登録になることも多々あります。
先行商標がヒットしたら、調査対象の図形・名称と類似するか、各々、検討していく必要があります。
商標が類似するか、判断できない場合、どうしましょう?
専門的な知識が必要なので、一人で悩まずに、商標専門の弁理士に相談することをお勧めします!
キャラクターを商標登録する前の検索(調査)に掛かる費用
データベース「J-PlatPat」は、無料で利用できます。
キャラクターを商標登録する前に、自分で先行商標をチェックする場合には、お金が掛かりません。
つまり、自力で対応すれば、費用を節約できます。
専門家(商標専門の弁理士)に商標調査を依頼したら、数千円~数万円
自分で検索するのが不安な方も、多いでしょう。
そういった場合、商標専門の弁理士に商標調査を依頼することが考えられます。
専門家に依頼した場合、商標調査の費用は、数千円~数万円です。
ちなみに、筆者(すみや商標知財事務所)の場合、5千円~ですが、商標出願する場合には、実質、無料で対応します。
キャラクターを商標登録する前に検索しても、分からなければ、商標専門の弁理士に相談!
検索しても、先行商標が全くヒットしなければ、キャラクター及びキャラクター名を使用できそうと簡単に判断できます。
しかし、類似するか、判断が難しい先行商標がヒットすることもあります。
商標の類否判断には、専門的な知識と経験が必要です。
商標が類似しないと思い込んで、使用していると、権利者から、商標権侵害で訴えられる危険性があります。
判断が難しい場合には、商標専門の弁理士に相談しましょう。
筆者(すみや商標知財事務所)に相談いただければ、親身になって、一緒に検討します!
弁理士歴12年以上の商標専門の弁理士
・同一もしくは類似の先行商標が存在すると、商標権侵害の危険性があります。公開データベース「J-PlatPat」を利用すれば、誰でも、無料で先行商標をチェックできます
・対象の商品・役務の類似群コードを調べたり、キャラクター名の場合は「称呼(類似検索)」を選択したりして、正しい方法で、先行商標を検索しましょう
・キャラクターによっては、複数の図形等分類でチェックすべきです。なお、判断に迷ったら、一人で悩まずに、商標専門の弁理士に相談しましょう