【店名の商標登録】検索のやり方や注意点を紹介!

ビジネスにおいて、店名は、極めて重要で、また、簡単に変更できません。

同一もしくは類似の先行商標が存在すると、商標権侵害の危険性があるので、事前に先行商標を検索すべきです。

虎さん
虎さん

筆者は、10年以上、商標専門の弁理士として働いていて、数多くの店名の商標調査をお手伝いしました!

しかし、多くの人が、先行商標の検索のやり方を知りません

以下のような人に読んでほしい!

・先行商標の検索方法を知りたい人

・自分の店名を商標登録する前に、商標調査したい人

・店名をどうするか、迷っている人

この記事を読めば、店名を商標登録する前の先行商標の検索方法のやり方が分かります。

また、店名を商標登録するにあたり、先行商標を検索する際の注意点も教えます。

店名を商標登録する前の検索のやり方

店名の商標登録する前に、先行商標を検索します。

その場合、通常、オンラインの公開データベース「J-PlatPat」を使います。

虎さん
虎さん

「J-PlatPat」には、誰でも無料で利用できます!

店名を商標登録する前の検索の流れは、以下の通りです。

【Step1】まずは、対象の商品・サービスの類似群コードを調べる

類似群コードは、商品・サービスが類似するかの判断の基準です。

類似群コードが一致していれば、商品・サービスが類似すると推定されます。

一方、相違していれば、商品・サービスが類似しないと推定されます。

なお、商品・サービスの類否判断については、以下の記事で、詳しく紹介しています。

【重要】商品・役務(サービス)が類似するか、どうやって判断する?類似群コードの使い方を説明!

類似群コードは、特許庁データベースを利用して、調べられます。

まずは、特許庁データベースの「商標」の欄から、「商品・役務名検索」をクリックしましょう。

検索キーワードに、対象の商品名・サービス名を入力して、類似群コードを調べます。

【Step2】次に、「商標検索」の欄から、先行商標を調べる

特許庁データベースの「商標」の欄から、「商標検索」をクリックします。

検索項目から「称呼(類似検索)」を選びます。

なお、よくある間違いは、「称呼(類似検索)」ではなく、「商標(検索用)」での検索です。

「商標(検索用)」は、全く同一の商標を調べる際に使用します。

「商標(検索用)」を選択すると、類似の先行商標がヒットしない危険性があります。

【Step3】先行商標と類似するか、検討

検索して、ヒットしたからといって、必ず類似するわけではありません。

調査対象の商標(店名)と先行商標が類似するか、検討しましょう。

商標が類似するか、正確に判断するには、専門的な知識や経験が必要になります。

なお、判断方法については、以下の記事で、説明しています。

【商標の類否判断】重要!商標が似ているか、どう判断する?

【Step4】対象の先行商標の現状をチェック

対象商標の登録番号をクリックすると、商標の現状が分かります。

その中には、「存続期間満了日」が記載されています。

念のため、商標登録が存続しているか、確認しましょう。

【Step5】調査した店名を商標登録するか、結論を出す

最後に、先行商標の検索結果をもとに、店名を商標登録するか、判断します。

同一もしくは類似する先行商標が存在した場合、商標登録できないだけではなく、商標権侵害のリスクがあります。

できれば、そのような店名を採択しないことをお勧めします。

店名を商標登録する前の検索の具体例

具体例を出して、店名を商標登録する前の検索方法を説明します。

例えば、オリジナルの日本酒の製造・販売を行い、店名を「虎さん商店」にしようと考えています。

先行商標との関係で、「虎さん商店」で問題ないか、検討していきます。

【Step1】日本酒の類似群コードを調べる

日本酒の製造・販売を行うので、取り扱うの商品は「日本酒」です。

「商品・役務名」に「日本酒」と入力し、「検索」ボタンをクリックします。

そうすると、以下のような検索結果が表示されます。

日本酒の類似群コードは、「28A01」だと分かります。

【Step2】「虎さん商店」と類似しうる先行商標がないか、データベースで検索する

「称呼(類似検索)」の欄に、「トラサンショウテン」と入力します。

「類似群コード」の欄に「28A01」(日本酒の類似群コード)を入力します。

「検索」ボタンを押して、検索したところ、以下の通り、検索結果は0件でした。

しかし、「虎さん商店」が、使用できると判断するのは、まだ早いです。

次に、「商店」を除いて、「虎さん」を調べます。

「称呼(類似検索)」の欄に、「トラサン」と入力し、また、「類似群コード」の欄に「28A01」(日本酒の類似群コード)を入力します。

「検索」ボタンをクリックすると、以下のような検索結果が出てきます。

検索結果から、先行商標「寅さん」が見つかりました。

【Step3】「虎さん商店」と類似するか、判断する

「虎さん」と「寅さん」は、どちらも、読みが「トラサン」で、一致しています。

よって、「虎さん」と「寅さん」は、類似する可能性が高いです。

また、「虎さん商店」から、「虎さん」部分が、分離・抽出して認識される可能性が高いです。

以上より、「虎さん商店」が、先行商標「寅さん」と類似する危険性があるものと危惧します。

【Step4】先行商標(寅さん)の現状をチェックする

先行商標「寅さん」の登録番号をクリックすると、以下のように表示されます。

存続期間満了日が、「2027年2月25日」と記載されています。

よって、「寅さん」の商標登録は、現在も、有効に存続しています。

【Step5】店名を「虎さん商店」にするか、結論を出す

「虎さん商店」もしくは「虎さん」は、先行商標との関係で、商標登録できない可能性が高いです。

また、「虎さん」を日本酒で使用すると、商標権侵害に該当する危険性があります。

このような状況なので、筆者だったら、「虎さん商店」を店名にしないでしょう

店名を商標登録する前の検索の注意点

ほとんどの人が、先行商標を検索したことがありません。

実際、お客様から相談いただくと、検索の方法が間違っていることが多々あります。

店名を商標登録する前に、先行商標を検索する際には、以下の点に注意しましょう。

  • 「商店」や「レストラン」などの文言を除いて検索する
  • 商品・サービスが類似するか、意識する
  • 検索してヒットしても、必ずしも類似するわけではない

注意点については、各々、説明していきます。

「商店」や「レストラン」などの文言を除いて検索する

店名を検索して、先行商標をチェックしただけでは、不十分です。

例えば、「虎さん商店」の場合、「虎さん」部分が、主要部分と認識する可能性が高いです。

また、飲食店の店名で、「レストラン虎さん」の場合も、「虎さん」部分が、主要部分と認識されるでしょう。

よって、「商店」や「レストラン」などの文言を除いて検索して、先行商標を確認しましょう

商品・サービスが類似するか、意識する

商品・サービスを意識せずに、先行商標を検索している人が多いです。

同一もしくは類似の先行商標があったとしても、商品・サービスが類似しなければ、原則、障害とはなりません。

なお、商標権者が実際に提供している商品・サービスではなく、対象の商標登録の指定商品・役務で判断します。

調査対象の商品・サービスと類似するか、意識しながら、先行商標を調べましょう。

虎さん
虎さん

類似群コードを入力して検索すれば、類似する商品・サービスを指定する先行商標に限定できます!

検索してヒットしても、必ずしも類似するわけではない

データベース「J-PlatPat」で検索すると、多くの先行商標がヒットすることがあります。

しかし、それらの先行商標が、調査対象の店名と類似するとは限りません。

実際、検索すると、多くの先行商標がヒットしても、特許庁の審査において、区別されて、商標登録になることも多々あります。

先行商標がヒットしたら、調査対象の店名と類似するか、各々、検討していく必要があります。

初心者くん
初心者くん

商標が類似するか、判断できない場合、どうしましょう?

虎さん
虎さん

専門的な知識が必要なので、一人で悩まずに、商標専門の弁理士に相談することをお勧めします!

店名を商標登録する前の検索(調査)に掛かる費用

データベース「J-PlatPat」は、無料で利用できます。

店名を商標登録する前に、自分で先行商標をチェックする場合には、お金が掛かりません。

つまり、自力で対応すれば、費用を節約できます。

専門家(商標専門の弁理士)に商標調査を依頼したら、数千円~数万円

自分で検索するのが不安な方も、多いでしょう。

そういった場合、商標専門の弁理士に商標調査を依頼することが考えられます。

専門家に依頼した場合、商標調査の費用は、数千円~数万円です。

ちなみに、筆者(すみや商標知財事務所)の場合、5千円~ですが、商標出願する場合には、実質、無料で対応します。

店名を商標登録する前に検索しても、分からなければ、商標専門の弁理士に相談!

検索しても、先行商標が全くヒットしなければ、店名を使用できそうと簡単に判断できます。

しかし、類似するか、判断が難しい先行商標がヒットすることもあります。

商標の類否判断には、専門的な知識と経験が必要です。

商標が類似しないと思い込んで、使用していると、権利者から、商標権侵害で訴えられる危険性があります。

判断が難しい場合には、商標専門の弁理士に相談しましょう。

筆者(すみや商標知財事務所)に相談いただければ、親身になって、一緒に検討します!

弁理士歴12年以上の商標専門の弁理士

まとめ

・同一もしくは類似の先行商標が存在すると、商標権侵害の危険性があります。公開データベース「J-PlatPat」を利用すれば、誰でも、無料で先行商標をチェックできます

・対象の商品・役務の類似群コードを調べたり、「称呼(類似検索)」を選択したりして、正しい方法で、先行商標を検索しましょう

・検索結果をもとに、店名をどうするか、商標登録するか、検討すべきです。なお、判断に迷ったら、一人で悩まずに、商標専門の弁理士に相談しましょう

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です