商標「LADY GAGA」の判例紹介

まとめ

・商標「LADY GAGA」が、指定商品「レコード」などとの関係において、識別力を有さないと判断されました

・LADY GAGAは、女性の歌手名として広く知れ渡っているので、商標「LADY GAGA」は、LADY GAGAが歌唱(出演)していることを意味しているに過ぎず、商品の内容表示と判断されました

事件の概要

商標の実務で、参考になる判例・審決例を紹介していきます。

今回は、知的財産高等裁判所の平成25年(行ケ)第10158号の判決、商標「LADY GAGA」の判例を紹介します。

あなたは、LADY GAGA(レディー・ガガ)を知っていますか?

LADY GAGA(レディー・ガガ)は、アメリカ合衆国出身の人気の女性歌手で、NHK紅白歌合戦にもビデオ出演しました。

原告は、9類の商品「レコード」「インターネットを利用して受信し、及び保存することができる音楽ファイル」「映写フィルム」「録画済みビデオディスク及びビデオテープ」を指定して、以下の商標の分割出願を行いました。

(商願第2011-21592号)

しかし、本願商標は、「LADY GAGAが歌唱(出演)していること(映像が収録されていること)」を意味しているに過ぎないと判断されました。

よって、本願商標は、指定商品との関係において、商品の品質(内容)を表示したものに過ぎず、商標法3条1項3号に該当し、識別力を有さないとして、特許庁の審査で拒絶されました。

拒絶査定に対して不服審判を請求しましたが、やはり本願商標が識別力を有さないと判断されて、拒絶査定を維持する旨、審決が下されました。

この審決に対して不服があり、訴訟を提起したのが、本件の裁判になります。

裁判所の判断

あなたは、本願商標「LADY GAGA」が商品の内容を表示していると思いますか?

結論としては、裁判所でも判断が覆らず、本願商標「LADY GAGA」が商品の内容表示に過ぎず、識別力を有さないと判断しました。

原告は、商標法26条1項において、本人の名前の使用には、商標権の効力が及ばないと規定されているので、本願商標の登録を認めても、不都合が生じない旨、主張しました。

しかし、商標法26条1項は、登録査定された商標権の効力について定めた規定になります。

よって、登録査定の要件を定めた商標法3条1項3号の該当性の判断を緩和されることはないとして、裁判所は原告の主張を否定しました。

「LADY GAGA」(レディー・ガガ)は、日本を含め世界的に広く知られており、本願商標に接する者は、女性歌手のLADY GAGAを表示したものと容易に認識できます。

指定商品との関係を考慮すると、本願商標に接した需要者・取引者は、当該商品に係る収録曲を歌唱する者又は映像に出演し歌唱している者を表示したもの、すなわち、その商品の品質(内容)を表示したものと認識すると、裁判所でも判断しました。

したがって、本願商標は自他商品の識別標識としての機能を果たさず、商標法3条1項3号に該当すると、裁判所は判断しました。

判例から学べること

「LADY GAGA」のように、日本において、広く知れ渡った歌手名・グループ名の場合には、指定商品・役務によっては、識別力を有さないと判断される危険性があります。

すわなち、有名になってから、商標出願すると、商標登録が取得できないかもしれません。

なお、日本において、広く知れ渡る前に、出願すれば、出願商標に接した需要者が、必ずしも、その人物やグループを想起するわけではないので、商標登録できる可能性があります。

また、識別力の有無は、指定商品・役務との関係を考慮して、判断されます。

今回、問題とならなかった「化粧品」や「キーホルダー」の様々な商品・役務については、商品・役務の内容表示には該当しないとして、原告は「LADY GAGA」の商標登録を取得できています。

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