出願商標の使用意思に疑義がある場合とは?

まとめ

・原則、1区分内の類似群コードの数が23以上の場合には、自動的に使用意思に疑義があると判断します

・35類の小売等役務については、例外的で、「35K」から始める小売等役務の類似群コードが複数ある場合には、原則、使用意思に疑義があると判断します

・さらに、総合小売等役務を指定した場合には、類似群コードの数に関係なく、原則、使用意思に疑義があると判断します

出願商標の使用意思に疑義があると、拒絶理由通知書で指摘!?

あなたが、商標出願して、特許庁の審査官が商標登録を認めないと判断した場合には、拒絶理由通知書が届きます。

拒絶理由通知書が届いたら、以下の記事を参考にして、拒絶理由通知の内容を確認しましょう。

よくある拒絶理由として、出願商標の使用意思に疑義があるため、出願商標が商標法3条1項柱書の要件を具備しないという理由が挙げられます。

それでは、どのような場合に、出願商標の使用意思に疑義があると判断するのでしょうか?

商標出願したら、出願商標の使用意思に疑義がある場合とは

特許庁の審査では、1区分に含まれる類似群コードの数によって、自動的に、判断しています。

類似群コードについては、以下の記事で、簡単に説明しているので、参照ください。

原則として、1区分内において、23以上の類似群コードにわたる商品・役務を指定している場合、それらの指定商品・役務について、使用意思に疑義があると判断されます。

すでに商標出願している場合、特許庁データベースで検索すれば、類似群コードが記載されているので、類似群コードの数を簡単にカウントすることができます。

また、このような拒絶理由を避けたい場合には、特許庁データベースなどを利用して、商品・役務が付されている類似群コードを推測することで、類似群コードの数を予想することができます。

なお、複数の区分を指定していた商標出願について、23以上の類似群コードがある区分のみ、使用意思に疑義があると判断されます。

例えば、あなたが、3類と41類を指定して商標出願したとします。

3類の指定商品の類似群コードの数は計7個だったのに対して、41類の指定役務の類似群コードの数が計25個だったとします。

その場合には、23以上の類似群コードを有する41類の指定役務についてのみ、出願商標の使用意思に疑義があると判断されます。

35類の小売等役務を指定した場合は、より厳格に判断

35類において、様々な商品の小売等役務を指定することができ、小売等役務の場合、判断方法は、一般の商品・役務と異なります。

例えば、帽子の小売等役務であれば、「17A07」と「35K02」の2つの類似群コードが付き、化粧品の小売等役務であれば、「04C01」と「35K10」の類似群コードが付きます。

35類において、「35K」から始める小売等役務の類似群コードが複数ある場合には、原則、使用意思に疑義があると判断されます。

具体的には、帽子の小売等役務と化粧品の小売等役務を指定して商標出願した場合には、「35K02」と「35K10」の小売等役務の類似群コードを含みます。

よって、特許庁の審査において、使用意思に疑義があるという、拒絶理由が通知されます。

一方で、「35K」から始める小売等役務の類似群コードが1つだけであれば、原則、使用意思に疑義があるとは判断されません。

例えば、帽子の小売等役務とかばんの小売等役務の2つを指定して、商標出願したとします。

帽子の小売等役務の類似群コードは「17A07」と「35K02」、かばんの小売等役務の類似群コードは「21C01」と「35K02」で、この場合、小売等役務の類似群コードは「35K02」だけなので、使用意思に疑義があると判断されません。

さらに、例外を説明すると、35類には、以下の総合小売等役務(類似群コード35K01)があります。

衣料品・飲食料品及び生活用品に係る各種商品を一括して取り扱う小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供

総合小売等役務を指定した場合には、類似群コードの数に関係なく、原則、使用意思に疑義があると判断されます。

特許庁での現行の審査運用

使用意思に疑義があるかどうかの審査運用は、商標審査便覧に細かく規定されています。

ざっくりと言えば、原則、1区分内の類似群コードの数が23以上の場合には、自動的に、その区分の指定商品・役務について、使用意思に疑義があると判断します。

基本的には、1区分の中に含まれる指定商品・役務の類似群コードの数が重要になります。

ただし、35類の小売等役務については、例外的で、「35K」から始める小売等役務の類似群コードが複数ある場合には、原則、使用意思に疑義があると判断されます。

出願商標の使用意思に疑義があるとの判断に不満があれば、審査官や商標専門の弁理士に相談!

拒絶理由通知書において、出願商標の使用意思に疑義があると判断されて、判断に不満がある場合もあるでしょう。

その場合には、担当の審査官に連絡すれば、理由を丁寧に教えてくれます。

また、商標専門の弁理士に相談するのも、アリです。

筆者(すみや商標知財事務所)に相談いただければ、親身になって、一緒に検討します。

業界では珍しい「商標専門」の弁理士

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