ロゴで商標登録すべき?文字にすべき?迷ったときの判断基準と実例

ロゴと文字、どちらで商標登録すべきか迷っていませんか?

実は、「何を商標登録するか」は、ビジネスの今後に大きな影響を与える重要な選択です。

文字だけで登録すべきケースもあれば、ロゴ(図形)で登録した方が効果的なケースもあります。場合によっては、両方を登録する方がよいことも。

この記事では、文字とロゴ、どっちで商標登録すべきか、解説して、また、文字とロゴ、どっちも商標登録している事例も教えます。

商標登録の「後悔しない選び方」を知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

以下のような人に読んでほしい!

・ロゴと文字、どっちで商標登録しようか、迷っている人

・ロゴでの商標登録の有効なケースを知りたい人

・他社がどのように対応しているか、教えてほしい人

記事の信頼性
記事の信頼性

すみや商標知財事務所の代表弁理士(登録番号18043)が執筆しています

・商標専門の弁理士として、13年以上、働いています

ロゴの商標登録、文字の商標登録、どちらも多数の案件をお手伝いしました

・初心者向けに分かりやすく説明するのが、得意です

初回の相談料、無料!

【業界では珍しい「商標専門」の弁理士】

目次

  1. 文字とロゴの商標登録の関係
  2. 文字ではなく、ロゴでの商標登録が有効な3つのケース
  3. 文字ではなく、ロゴで商標登録している例
  4. ロゴではなく、文字での商標登録が有効な3つのケース
  5. 予算に余裕があれば、文字とロゴ、どちらも商標登録することも
  6. 文字だけでなく、ロゴでも商標登録している例
  7. 文字とロゴの商標登録の「よくある質問」(FAQ)
  8. 【まとめ】ロゴと文字、どっちで商標登録すべきか、分からなければ、商標専門の弁理士に相談!

文字とロゴの商標登録の関係

様々な企業や個人が、ビジネスでロゴを使用していて、商標登録しています。

一方で、ロゴではなく、文字で商標登録するも可能です。

まずは、商標登録の効力から、文字とロゴの商標登録の関係について、説明します。

登録商標に類似する範囲まで、効力が及ぶ

商標登録を取得すれば、登録商標に類似する範囲まで、効力が及びます。

例えば、同一の事業分野において、他人が、登録商標に類似する商標を使用した場合、商標権の侵害に該当します。

また、他人が、同一の事業分野で、登録商標に類似する商標を出願した場合、商標出願が拒絶されます。

ロゴの商標登録の類似範囲で、文字の商標をカバーできる可能性あり

ロゴと文字が、類似関係にあることも多々あります。

つまり、ロゴの商標登録の類似範囲で、文字商標をカバーできる可能性があります

例えば、世界最大級のテクノロジー企業のDell(デル)社のロゴです。

国際登録1005367

この「DELL」のロゴは、「DELL」の文字と類似します。

つまり、ロゴの商標登録で、他人の「DELL」の文字の使用行為や「DELL」の文字の商標出願を排除できるでしょう。

初心者くん
初心者くん

ロゴと文字は、必ず、類似しますか?

虎さん
虎さん

必ず、類似するわけではありません!判断に迷ったら、商標の専門家(弁理士)に相談しましょう

費用を節約するため、文字かロゴのみ、商標登録することが多い

商標登録に掛かる費用は、安くはありません。

ロゴの商標登録に掛かる費用は、以下の記事で、紹介しています。

ロゴの商標登録費用を完全ガイド|出願から登録までの相場と3つの節約術

文字とロゴ、両方とも、商標登録する場合には、2件分の費用が掛かります。

そのため、文字とロゴが類似関係にあれば、どちらか一方を商標登録することが多く、費用を節約できます

文字ではなく、ロゴでの商標登録が有効な3つのケース

初心者くん
初心者くん

ロゴと文字、どっちで商標登録しようか、迷っています

虎さん
虎さん

例えば、以下のようなケースだと、文字ではなく、ロゴで商標登録するのが、有効です!

  • 文字ではなく、ロゴをメインに使用する場合
  • ロゴを変更する予定がない場合
  • 地名や数字などを商標登録する場合

文字ではなく、ロゴをメインに使用する場合

実際に使用する態様で、商標出願するよう、筆者は勧めています。

消費者が最も着目する態様で、商標登録すべきだからです。

文字ではなく、ロゴをメインに使用している場合、ロゴでの商標登録の取得が考えられます。

ロゴを変更する予定がない場合

不使用取消審判という制度があり、3年以上、登録商標を使用していないと、商標登録が取り消される危険性があります。

なお、不使用取消審判については、以下の記事で、詳細に紹介しています。

使用していない商標登録を取り消せる!?不使用取消審判を、分かりやすく紹介!

商標登録したロゴを変更した場合、登録商標を使用していないとして、不使用取消審判により、商標登録が取り消される危険性があります。

そのため、将来的に、ロゴを変更する予定がなければ、不使用取消審判のリスクがないので、ロゴでの商標登録をお勧めできます。

地名や数字などを商標登録する場合

商標としての特徴(専門的に言うと、「識別力」)がない商標は、原則、商標登録できません

たとえば、以下のような商標は、原則、商標登録できません。

  • 「AB」などのアルファベット2文字
  • 「東京」などの地名
  • 「フランス」などの外国の国名
  • 「鈴木」などのありふれた苗字
  • 「777」などの数字

このような商標は、他人の商品・サービスと区別できないからです。

商標としての特徴性(識別力)を有さない場合、商標をロゴ化することで、このような拒絶理由を回避できます

文字ではなく、ロゴで商標登録している例

文字ではなく、ロゴで商標登録している例も、多数、あります。

参考までに、ロゴで商標登録している事例をいくつか紹介していきます。

人気漫画・アニメ「僕のヒーローアカデミア」の商標登録

例えば、週刊少年ジャンプで連載していて、アニメ化もされている人気作品の「僕のヒーローアカデミア」です。

少年ジャンプ公式サイトより)

集英社は、文字で商標登録を取得せずに、以下のロゴで商標登録しています。

商登第5768244号

漫画の表紙やアニメのタイトル画面なで、多数の場面で、ロゴが使用されています。

また、漫画の連載が始まった後、このようなロゴが変更されることは、ほとんどありません。

よって、文字ではなく、ロゴでの商標登録が有効です。

人気ゲーム「マリオカート8 デラックス」の商標登録

「マリオカート」は、世界中で大人気のアクションレースゲームです。

2017年に発売された「マリオカート8 デラックス」は、全世界で、6000万本以上を売り上げ、大ヒットしました。

(任天堂の公式ホームページより)

任天堂は、文字ではなく、以下のロゴで商標登録しています。

商登第6102138号

CMなどで、多くの消費者が、このロゴを目にし、また、ゲームを発売してから、ロゴ変更することはありません。

よって、文字ではなく、ロゴで商標登録するのは、理にかなっています。

「すみだ水族館」の商標登録

すみだ水族館は、東京スカイツリータウンの東京ソラマチ内にあります。

(すみだ水族館の公式ホームページより)

すみだ水族館は、文字ではなく、以下のロゴを商標登録しています。

商登第5492718号

仮に、「すみだ水族館」の文字で、商標出願した場合、「東京都墨田区にある水族館」を意味しているに過ぎず、商標出願が拒絶される危険性があります。

そのため、ロゴの方が、商標登録になる可能性が高いので、ロゴでの商標登録が有効です。

自販機用のアイスクリーム「セブンティーンアイス」の商標登録

セブンティーンアイスは、江崎グリコが1983年に販売を開始した自動販売機用のアイスクリームです。

(江崎グリコの公式ホームページより)

江崎グリコは、数字の「17」をモチーフにした、以下のロゴを商標登録しています。

商登第5121733号

なお、数字の「17」だと、商標としての特徴(識別力)がなく、原則、商標登録できません。

そのため、「17」をモチーフにしたロゴで、商標登録するのが、有効です。

なお、地名やアルファベット2文字の場合も、原則、商標登録できないため、以下のように、ロゴ化して、商標登録することが多いです。

ロゴではなく、文字での商標登録が有効な3つのケース

初心者くん
初心者くん

ロゴではなく、文字での商標登録が有効なケースはありますか?

虎さん
虎さん

例えば、以下のようなケースであれば、ロゴではなく、文字で商標登録すべきです!

  • 将来的に、ロゴを変更する可能性がある
  • ロゴをほとんど使用しない
  • 一貫性のない様々なロゴを使用している

将来的に、ロゴを変更する可能性がある

ロゴで商標登録して、ロゴ変更してしまうと、登録商標の使用に該当せず、不使用取消審判で、商標登録が取り消される危険性があります。

そのため、将来的に、ロゴを変更する可能性があれば、文字での商標登録が考えられます。

ロゴをほとんど使用しない

基本的には、頻繁に使用する態様で、商標登録することをお勧めしています。

そのため、ロゴをほとんど使用しない場合には、文字での商標登録の方がいいでしょう。

一貫性のない様々なロゴを使用している

様々なロゴを使用していて、それらのロゴに一貫性がない場合、消費者の印象が分散します。

いずれのロゴも、消費者の印象に残らない可能性があります。

そのため、一貫性のない様々なロゴを使用している場合、文字で商標登録することが考えられます。

予算に余裕があれば、文字とロゴ、どちらも商標登録することも

コストを掛けてでも、文字とロゴ、どちらも商標登録することもあります。

例えば、特徴のあるロゴの場合、文字の商標登録の類似範囲で、ロゴをカバーできない可能性があります。

そのような場合、念のため、文字とロゴ、両方とも商標登録するのも有効です。

また、会社のシンボルマークなど、重要な商標の場合、多額の予算を掛けられることがあります。

そのようなケースでは、文字とロゴ、両方とも商標登録して、厚く保護することもあります。

文字だけでなく、ロゴでも商標登録している例

実際、会社にとって、重要なロゴの場合、ロゴでも、文字でも商標登録していることが多いです。

例えば、以下の文字とロゴの商標登録です。

まずは、文字かロゴ、どちらか一方のみ、商標登録して、その後、事業が軌道に乗れば、追加で商標登録することも考えられます。

虎さん
虎さん

文字かロゴ、どちらか一方、商標登録すれば、将来、もう一方を商標出願した場合、商標登録になる可能性は高いです

文字とロゴの商標登録の「よくある質問」(FAQ)

以下は、読者の方が迷いがちな実務上の疑問に対して、簡潔に答えたFAQです。

記事本文と合わせてご活用ください。

Q1. 文字商標とロゴ商標はどう違うの?

文字商標は、「SONY」「ポケモン」など、文字そのものを保護します。

一方、ロゴ商標は、文字と図形・記号を組み合わせたデザインそのものを保護します。

Q2. 文字の商標登録のメリット・デメリットは何ですか?

メリット:どんなフォントでもカバーでき、汎用性が高く、将来的なデザイン変更に強い。

デメリット:文字デザインを真似して使用された場合には、排除できない危険性がある。

Q3. ロゴの商標登録のメリット・デメリットは?

メリット:ロゴ全体のデザインを保護できるため、視覚的な印象を守りやすい。

デメリット:デザイン変更に弱く、後から変更すると新しく商標出願が必要になる場合がある。

Q4. 今後、ロゴを変更したいけど、まずは文字商標で出願しても大丈夫?

はい、文字商標はデザイン変更の影響を受けにくいです。

「まずは文字商標で出願 → 後でロゴも商標出願」というケースも多いです。

Q5. 消費者に名前を言葉で伝えるなら、文字での商標登録が望ましい?

はい、その通りです。

口頭でのブランド認知が重要なサービス業やコンサルティング業などでは、文字の商標登録が特に有利です。

一方、飲食・アパレル・デザイン系など目で覚えてもらう業種では、ロゴの商標登録が適しています。

【まとめ】ロゴと文字、どっちで商標登録すべきか、分からなければ、商標専門の弁理士に相談!

本記事のまとめ

・登録商標と類似する範囲まで、商標権の効力が及びます。そのため、文字とロゴが類似関係にあれば、どちらか一方のみを商標登録することが多いです

・文字ではなく、ロゴをメインに使用する場合、ロゴを変更する予定がない場合などは、ロゴで商標登録することが考えられます

・一方、将来的にロゴ変更の可能性があれば、文字での商標登録が考えられます。なお、重要な商標の場合、コストを掛けて、ロゴと文字、両方で商標登録することもあります

ロゴと文字、どっちで商標登録すべきか、もしくは、どちらも商標登録すべきか、判断に迷うことがあるでしょう。

商標登録に掛かる費用は安くはないので、お金を無駄にしないためにも、的確に判断すべきです。

判断に迷ったら、できれば、商標専門の弁理士に相談しましょう。

筆者(角谷 健郎)にご相談いただければ、親身になって、一緒に検討します。

事務所HPからもご相談いただけますが、以下のフォームからも簡単にお問い合わせいただけます。

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