ドメイン名の使用は、商標権侵害に該当するの?(結論:侵害に該当する危険性あり!)

まとめ

・ドメイン名と類似する先行商標があったとしても、同一のドメイン名が存在しなければ、ドメイン名の登録を取得することができます

・しかし、著名商標や登録商標をドメイン名に含めると、ドメイン名の使用が商標権侵害に該当する危険性があります

・ドメイン名を採択する際には、同一もしくは類似する先行商標がないか、事前に確認することをお勧めします

ドメイン名とは「インターネット上の住所」

ドメイン名は「インターネット上の住所」です。

ドメイン名で、Webサイトがどこにあるかを判別します。

ドメイン名の種類には、「.com」や「.co.jp」など、いくつもあります。

会社の設立のときに、ホームページを作成することが多いです。

その際に、独自のドメイン登録を取得します。

虎さん
虎さん

自社のホームページを開設するときに、ドメイン名を決めて、ドメイン登録を取得する必要があります

ドメイン名と商標登録の関係

基本的には、ドメイン名は早い者勝ちです。

同一のドメイン名が存在しなければ、ドメイン名の登録を取得することができます。

同一のドメイン名があるか、民間会社の提供する無料データベースで確認できます。

WEBツール「TECH-UNLIMiTED」のホームページより)

一方、ドメイン登録の際には、先行商標がチェックされることはありません

よって、ドメイン名と類似する先行商標があったとしても、登録されます。

つまり、ドメイン名と商標は別の制度です

虎さん
虎さん

類似する先行商標が存在しても、ドメイン名を登録するか判断する際、考慮されません!

ドメイン名の使用が商標権侵害などに該当したケース

上述した通り、先行商標に関係なく、ドメイン名は登録になります。

しかし、ドメイン名の使用が権利侵害に該当するケースがあります。

例えば、「シャネル」や「ナイキ」のような著名商標をドメイン名に含めると、危険です。

商標法や不正競争防止法で訴えられる可能性があります。

具体的には、使用差し止めや登録抹消などのリスクがあります。

以下、ドメイン名の使用が問題となった判例を紹介します。

「リシュ活」事件(平成30年(ワ)第11672号)

判決文は、こちら

原告は、商標「Re就活」の商標登録を保有しています。

(Re就活の公式ホームページより)

これに対して、被告は、「risyu-katsu.jp」のドメイン名を使用していました。

原告は、被告の「risyu-katsu.jp」の使用の中止を求め、訴訟を提起しました。

これに対して、「risyu-katsu.jp」のドメイン名が、登録商標「Re就活」と類似すると、裁判所は判断しました

裁判所は、原告の主張を認めました。

「マリカー」事件(平成30年(ネ)第10081号・平成30年(ネ)第10091号)

判決文は、こちら

原告は、人気ゲーム「マリオカート」、通称「マリカー」を販売している任天堂株式会社です。

(任天堂の公式ホームページより)

被告は、「maricar.jp」「maricar.co.jp」「fuji-maricar.jp」「maricar.com」のドメイン名を使用していました。

そこで、原告が被告を訴えました。

裁判では、不正競争防止法に基づき、被告は、これらのドメイン名を使用してはいけないと判断しました。

また、一部のドメイン名については、登録を抹消するよう、被告に命じました。

虎さん
虎さん

先行商標や著名商標を含んだドメイン名を使用すると、使用差し止めや登録抹消のリスクがあります

ドメイン名を採択する際、商標登録や著名商標に注意!

ドメイン名を採択する際に、商標登録や著名商標に注意しましょう。

ドメイン名を決める前に、以下の2つの点を意識すべきです。

  • 念のため、先行商標をチェック
  • 著名商標を含めない・使用しない

念のため、先行商標をチェック

ドメイン名と商標は、別の制度です。

しかし、上記の裁判例の通り、ドメイン名の使用が、商標権侵害に該当する危険性があります。

ドメイン名を採択する際には、同一もしくは類似する先行商標がないか、チェックしましょう。

データベース「J-PlatPat」を利用すれば、誰でも、無料で先行商標を調べられます。

データベース「J-PlatPat」の使い方については、以下の記事をご参照ください。

また、同一もしくは類似する先行商標が見つかった場合には、その指定商品・役務を確認する必要があります。

指定商品・役務が、ドメイン名を使用する事業・業務と関連していないか、検討しましょう。

判断に迷うようであれば、弁理士や弁護士に相談することをお勧めします。

著名商標を含めない・使用しない

「SONY」や「CHANNEL」のような、誰もが知っている商標があります。

このような著名商標は、広く保護されます。

よって、分野を問わず、ドメイン名での著名商標の使用を避けるべきです。

著名商標をドメイン名に含める・使用すると、トラブルになるリスクが高いです。

具体的には、商標法や不正競争防止法に基づき、ドメイン名の使用の中止・登録の抹消を要求される危険性があります。

虎さん
虎さん

ドメイン名を決めるとき、同一の分野に類似する先行商標が存在しないか、著名商標を含んでいないか、チェック・検討しましょう!

ドメイン名の採択の際に、気になる商標登録があれば、商標専門の弁理士に相談!

ドメイン名を決めるときに、商標登録を調べて、気になる商標登録が見つかるかもしれません。

そのような場合、どうすべきか、商標登録の弁理士に相談しましょう。

筆者(すみや商標知財事務所)に相談いただければ、親身になって、一緒に検討します。

業界では珍しい「商標専門」の弁理士

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