「エアウィーヴ四季布団【和】(なごみ)」の判例紹介

まとめ

・原告は、「なごみ」の商標登録を保有していて、商標権侵害の主張が認められました

・被告の商標の使用態様の1つが、「」になります

・損害賠償の請求も認められているので、損害額の算定方法の参考になります

事件の概要

商標の実務で、参考になる判例・審決例を紹介していきます。

今回は、東京地方裁判所の平成27年(ワ)第8132号の判決、「エアウィーヴ四季布団【和】(なごみ)」の判例を紹介します。

まず、事件の概要を説明します。

原告の西川産業株式会社は、「マットレス」「布団」などの商品を指定する、以下の商標登録を保有しています。

(商登第2081173号)

これに対して、被告のエアウィーヴ社は、マットレスに敷き布団的な要素を付加した商品を販売しました。

その商品の名称は、「エアウィーヴ四季布団【和】(なごみ)」で、使用態様の1つが、以下の通りになります。

このような状況で、「なごみ」の商標権侵害を主張して、原告が被告を訴えたのが、本件になります。

裁判所の判断

あなたは、被告の行為が、原告の商標権を侵害すると思いますか?

つまり、被告が使用していた「エアウィーヴ四季布団【和】(なごみ)」の態様は、登録商標「なごみ」と類似すると思いますか?

結論としては、被告の行為が、原告の商標権を侵害すると、裁判所は判断しました

被告の使用態様の構成を検討していて、「エアウィーヴ」の部分に比し「四季布団【和】」の部分が約1.5倍の大きさになります。

また、「(なごみ)」の部分が約3分の2の大きさで、「エアウィーヴ」と「四季布団」の間に半角程度のスペースがあります。

さらに、外観上、14文字及び記号4個からなり、一目で視認され得るものではないと判断しました。

また、称呼上も、「エアウィーヴシキブトンナゴミ」は13音からなり、必ずしも一息で発音されないと考えました。

よって、外観上・称呼上、被告の使用商標から「【和】(なごみ)」部分が分離・抽出して認識されうると裁判所は判断しました。

また、「なごみ」の語は、一般に広く使われていますが、商品の効能(保温・吸汗など)の直接表示には該当しないとのことです。

つまり、「なごみ」の語は、出所標識として機能します。

以上より、被告が使用していた「エアウィーヴ四季布団【和】(なごみ)」の態様は、登録商標「なごみ」と類似すると判断しました。

なお、原告は、被告に対して損害賠償も請求しています。

「エアウィーヴ四季布団【和】(なごみ)」の売り上げは、発売から約2か月で4億円に達していました。

しかし、被告の営業努力によるものが大きいと考えて、原告の損害額は300万円に過ぎないと、裁判所は判断しました

判例から学べること

本件は、侵害訴訟における商標の類否判断の参考になる事例です。

使用商標から、一部分を分離・抽出して認識して、登録商標と比較することがあります。

特に、本件のように、競合他社が、問題となりそうな商標登録を保有していないか、事前にチェックしましょう

また、損害額の算定にも、参考になる事例です

営業努力など、様々な要素を個別具体的に考慮した上で、損害額を算出しています。

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