自分(自社)のロゴを作成して、商品・ホームページやカタログなどに使用するのが一般的です。
実際、文字だけではなく、ロゴも商標登録するケースは、多々あります。
筆者も、これまで、何百件と、ロゴの商標登録をお手伝いしてきました
この記事を読めば、ロゴの商標登録の事例やロゴで商標登録するメリットが分かります。
また、ロゴで商標出願する際の注意点や費用も、教えます。
そもそも「ロゴ」とは何か?
そもそも「ロゴ」とは、何でしょうか?
一般的に、「ロゴ」といわれるものには、以下の3つの種類があります。
- シンボルマーク(図形)
- ロゴタイプ(図案化した文字)
- ロゴマーク(図形と文字の組み合わせ)
シンボルマークは、文字を含まない図形(デザイン)です。
例えば、以下の登録商標が、シンボルマークに該当します。
ロゴタイプは、文字を図案化(ロゴ化)したものです。
例えば、以下の登録商標が、ロゴタイプに該当します。
ロゴマークとは、図形と文字を組み合わせたロゴです。
例えば、以下の登録商標が、ロゴマークに該当します。
この記事では、「ロゴ」は、シンボルマーク・ロゴタイプ・ロゴマークの総称を意味します!
ロゴを商標登録する2つのメリット
ロゴを商標登録するメリットは、主に2つあります。
- 商標登録したロゴを独占的かつ安全に使用できる
- 他人のロゴの模倣を防げる
商標登録を取得することで、登録商標のロゴを独占的に使用できます。
また、商標登録を取得せずに、ロゴを使用していると、第三者の商標権を侵害している危険性があります。
しかし、商標登録を取得すれば、そのようなリスクを排除でき、安全にロゴを使用できます。
商標登録を取得すれば、商標権の侵害者に対して、その侵害行為の中止を請求できます。
同一の分野で、商標登録したロゴと同一又は類似したロゴを他人が使用した場合、商標権の侵害を主張できます。
ロゴでの商標登録が有効な3つのケース
文字として、商標登録を取得することもできます。
そのため、ロゴと文字、どちらで、商標登録すべき、頻繁に相談を受けます。
詳しくは、以下の記事で、説明しています。
【ロゴの商標登録】文字とロゴ、どっちで商標登録すべき?例えば、以下のようなケースであれば、文字ではなく、ロゴでの商標登録が有効です。
- 文字ではなく、ロゴをメインに使用する場合
- ロゴを変更する予定がない場合
- 地名や数字などを商標登録したい
実際に使用する態様で、商標出願するよう、筆者は勧めています。
消費者が最も着目する態様で、商標登録すべきだからです。
文字ではなく、ロゴをメインに使用している場合、ロゴでの商標登録の取得が考えられます。
不使用取消審判という制度があり、3年以上、登録商標を使用していないと、商標登録が取り消される危険性があります。
なお、不使用取消審判については、以下の記事で、詳細に紹介しています。
使用していない商標登録を取り消せる!?不使用取消審判を、分かりやすく紹介!商標登録したロゴを変更した場合、登録商標を使用していないとして、不使用取消審判により、商標登録が取り消される危険性があります。
そのため、将来的に、ロゴを変更する予定がなければ、不使用取消審判のリスクがないので、ロゴでの商標登録をお勧めできます。
商標としての特徴性(専門的に言うと、「識別力」)がない商標は、原則、商標登録できません。
たとえば、以下のような商標は、原則、商標登録できません。
- 「AB」などのアルファベット2文字
- 「東京」などの地名
- 「フランス」などの外国の国名
- 「鈴木」などのありふれた苗字
- 「777」などの数字
このような商標は、他人の商品・サービスと区別できないからです。
商標としての特徴性(識別力)を有さない場合、商標をロゴ化することで、このような拒絶理由を回避できます。
拒絶理由を回避するため、ロゴで商標登録している例
地名やアルファベット2文字の場合、以下のようにロゴ化して、商標登録することが多いです。
- (商登第6362133号)
- (商登第5259014号)
- (商登第3032279号)
- (商登第5059561号)
ロゴを商標登録しない3つのリスク
ロゴの商標登録の取得費用は安くなく、実際、全ての事業者が、自分のロゴを商標登録しているわけではありません。
しかし、商標登録せずに、ビジネスで、ロゴを使用するのには、リスクがあります。
代表的なリスクは、以下の3つです。
- 自分のロゴが模倣されても、泣き寝入りするかも
- 自分のロゴの商標登録を第三者に取得される
- ロゴを商標登録せずに、使用していたら、商標権侵害で訴えられる
これら3つのリスクについて、詳しくは、以下の記事で紹介しています。
【ロゴの商標登録】商標登録しない3つのリスクを紹介!ロゴを商標登録しない2つのケース
文字だけではなく、ロゴでも、商標登録すると、その分、費用も掛かります。
例えば、以下のようなケースであれば、ロゴでの商標登録の必要性が低いです。
- ほとんどロゴを使用しない
- 文字の商標登録でカバーできる
商標を使用して、その商標の認知度が広まる程、商標としての価値が高まります。
逆に言うと、ほとんど使用しない商標は、商標としての価値が低いです。
ロゴを作成したものの、ほとんどロゴを使用しなければ、商標出願する必要性は低いです。
文字をロゴ化しても、ほとんど、その文字と変わらないことが多々あります。
そのような場合、実質的に、文字での商標登録でカバーできます。
コストを掛けてまで、ロゴを商標登録する必要性が低いです。
ロゴの商標登録が必要か、判断が付かないとき、よく相談を受けます。その場合、ロゴでも商標出願すべきか、アドバイスしています!
ロゴでの商標登録の注意点(色をどうするか)
ロゴの色が何パターンもある場合、全て、商標登録すべきか、相談を受けることがあります。
原則、一番よく使う色を1パターンだけ商標登録すれば、十分です。
商標登録する際に、ロゴの色は、以下の2つのことに注意すべきです。
- 色違いのロゴを他者が使った場合、権利行使できるか?
- 登録商標の使用に該当するか?
登録商標と類似していれば、商標権を行使できます。
よって、色違いのロゴであれば、基本的に、登録商標と類似して、権利行使できます。
なお、色彩の変更により、印象が大きく異なる商標の場合、商標権を行使できない危険性があります。
登録商標を3年間使用していない場合、第三者がその商標登録を取り消せる、不使用取消審判という制度があります。
詳しくは、以下の記事で、ご参照ください。
使用していない商標登録を取り消せる!?不使用取消審判を、分かりやすく紹介!商標法上、色彩が多少異なっていても、登録商標を使用していると判断される可能性が高いです。
ただし、色彩の変更により、印象が大きく異なる商標の場合、登録商標の使用と判断されるかもしれません。
その場合、不使用取消審判により商標登録が取り消されてしまう危険性があります。
ロゴの著作権との関係にも注意しよう!
商標登録と著作権は、別の制度です。
詳しくは、以下の記事で紹介しています。
【ロゴの商標登録】著作権との比較や注意点を紹介!ロゴを商標登録しても、ロゴの著作権も取得できるわけではありません。
商標登録した場合も、デザイナーの著作権を侵害(商標権と著作権の抵触)し、登録商標が使用できなくなるリスクがあります。
ロゴの制作を外部のデザイナーに委託する場合、著作権を譲渡してもらいましょう!
ロゴを商標登録するための費用
ロゴを商標登録するためには、特許庁に商標出願する必要があります。
ざっくりと言えば、①出願時と②登録時に、費用が掛かります。
特許庁での審査で、拒絶理由通知を受けた場合、別途、拒絶理由通知に応答するための費用が掛かる可能性があります
商標登録した後の費用も含めて、ロゴの商標登録の費用について、以下の記事で詳しく紹介しています。
【ロゴの商標登録の費用】概算、相場や節約方法を紹介!自分で商標出願した場合でも、特許庁に支払う印紙代が、掛かります。
以下の通り、印紙代は、区分(商品・サービスのカテゴリー)の数で、決まります。
1区分目:12,000円
追加1区分あたり:8,600円
また、弁理士に商標出願を依頼すると、弁理士の手数料も掛かります。
ちなみに、筆者の事務所(すみや商標知財事務所)の場合、以下の通りです。
1区分目:50,000円(税抜)
追加1区分あたり:30,000円(税抜)
登録時にも、特許庁に支払う印紙代が掛かります。
なお、登録料の納付方法は、10年分一括と5年分分割を選ぶことができ、印紙代は、各々、以下の通りです。
10年分一括(10年分の費用):32,900円(1区分あたり)
5年分分割(5年分の費用):17,200円(1区分あたり)
また、弁理士が商標出願を代理している場合、弁理士の手数料も掛かります。
ちなみに、筆者の事務所(すみや商標知財事務所)の場合、区分の数に関係なく、30,000円(税抜)です。
ロゴの商標登録の検索方法
同一の分野において、類似する先行商標が存在すれば、商標登録できません。
公開データベース「J-PlatPat」を利用すれば、無料で、登録商標を検索できます。
先行の登録商標(文字や図形)の調べ方について、記事で、詳しく紹介しています。
【ロゴの商標登録】検索のやり方や注意点を紹介!なお、先行商標を検索してみたところ、調査対象の商標と類似しているか、判断に迷うこともあるでしょう。
一人で悩まずに、筆者(すみや商標知財事務所)のような商標専門の弁理士に相談しましょう。
業界では珍しい「商標専門」の弁理士
ロゴの商標登録の方法
多くの人がロゴの商標登録の方法を知りません。
ロゴの商標登録の方法については、以下の記事で紹介しています。
【ロゴの商標登録の方法】分かりやすく解説!ロゴを商標登録するには、まずは、商標登録の願書を特許庁に提出します。
知的財産・支援ポータルサイトにおいて、願書の様式をダウンロードできます。
例えば、筆者が、自分の事務所のロゴを商標出願したいと考えました。
その場合、商標登録の願書を、例えば、以下のように記載します。
なお、自分(自社)で商標出願する時間・手間を省きたければ、商標専門の弁理士に商標出願を依頼しましょう!
業界では珍しい「商標専門」の弁理士
【ロゴの商標登録】登録までの期間と存続期間
日々、弁理士として商標業務をしていて、よく受ける質問があります。
それが、商標登録になるまでの期間と商標登録の存続期間なので、簡潔に疑問にお答えします。
なお、以下の記事で、より詳しく、説明しています。
【ロゴの商標登録】登録までの期間と存続期間を紹介!ロゴの商標登録までの期間は、通常、出願から7~9ヵ月程度
商標出願から、商標登録までの流れは、以下の通りです。
商標登録になるまで、いくつかの手続きがあるんですね
大まかに言えば、「商標出願→特許庁での審査→登録査定→登録料の納付→商標登録」の流れになるので、登録まで、結構、時間が掛かるよ!
スムーズに行けば、ロゴが商標登録になるまでに掛かる期間は、7~9ヵ月程度という体感です。
ただ、案件によって、登録までの期間が大きく違うので、注意です。
なお、早期審査制度を利用すれば、商標登録に掛かる期間を短縮できます。
早期審査を利用すると、どれぐらい審査期間を短縮できますか?
早期審査を利用すれば、審査期間を最短2か月間に短縮できます!
早期審査制度の利用方法は、以下の記事で、詳しく紹介しています。
審査スピードを速められる!?商標の早期審査の利用条件や注意点を分かりやすく紹介ロゴの商標登録の存続期間は10年間
商標法第17条第1項は、以下のように、規定しています。
商標権の存続期間は、設定の登録の日から十年をもつて終了する。
よって、ロゴの商標登録の存続期間は、登録になってから、10年間です。
商標登録の存続期間は、ロゴの場合も、文字などの商標の場合も同じです!
なお、更新登録の申請によって、10年間、存続期間を延長できます。
また、更新できる回数に制限はなく、何度でも更新できます。
商標登録の具体的な更新方法については、以下の記事をご参照ください。
【商標登録の更新のやり方】申請書の記載方法や費用を紹介ロゴの商標登録で分からないことがあれば、商標専門の弁理士に相談!
実際に、自力でロゴを商標登録しようとすると、分からないことも出てくるでしょう。
分からないことがあれば、商標専門の弁理士に相談しましょう。
筆者(すみや商標知財事務所)にご相談いただければ、親身になって、一緒に検討します。
業界では珍しい「商標専門」の弁理士
・ロゴを商標登録すれば、①商標登録したロゴを独占的かつ安全に使用でき、②他人のロゴの模倣を防げます
・文字ではなく、ロゴをメインに使用する場合、地名や数字などを商標登録したい場合などは、ロゴでの商標登録が有効です
・ロゴの色が何パターンもある場合でも、原則、一番よく使う色のロゴだけ商標登録すれば、十分です。また、商標登録と著作権は、別の制度なので、ロゴの著作権にも注意しましょう