「正規品を転売しただけなのに、商標権の侵害になるの?」
メルカリなどの普及で、転売行為が一般化し、最近よく耳にするこの疑問。
転売行為と商標権の関係は、ケースによって判断が異なります。
この記事を読めば、転売行為が商標権を侵害しないか、また、その理由が、分かります。
また、どのような転売行為だと、商標権侵害に該当する危険性があるか、アドバイスします。

・すみや商標知財事務所の代表弁理士(登録番号18043)が執筆しています
・商標専門の弁理士として、13年以上、働いています
・転売行為が商標権を侵害するか、何度も相談を受けたことがあります
・初心者向けに分かりやすく説明するのが、得意です
転売行為とは、「他人から購入した物を、他の人に販売する行為」
フリマアプリが普及したことで、個人間の売買が活発になり、転売行為も頻繁に行われるようになりました。


そもそも「転売」って、何ですか?

転売とは、他人から購入した物を、改めて値段を付けて、他の人に販売する行為です!
たとえば、誤って同じ商品を2つ購入して、余った1つを他人に販売した場合には、転売行為に該当します。
また、限定生産品を購入して、定価よりも高値で販売するような行為も、転売行為に該当します。
転売行為と商標権侵害との関係について、検討していきます。

近年、フリマアプリの影響もあり、個人間での売買・転売行為が増えています
転売行為は、原則、商標権侵害に該当しない(理由を説明)

転売行為は、商標権侵害に該当しますか?

真正品を購入して、そのままの状態で、再度、販売する場合には、商標権侵害になりません!
商標権の侵害に該当するかの判断は、商標の機能を害するかどうかが、ポイントになります。

「出所表示機能」と「品質保証機能」は、代表的な商標の機能ですので、検討していきます。
商標の機能の1つとして、その商標が、同一の出所(生産元・販売元)を表示する、出所表示機能があります。

同じ商標(マーク)が付いていれば、同一の出所だと認識します。これが商標の機能の1つです
例えば、ABC社が製造・販売しているスニーカーを転売したいと思い、フリマアプリで出品したとします。

フリマアプリで、転売品のスニーカーを見た人は、そのスニーカーがABC社の製造・販売している商品と認識します。
つまり、転売品であっても、真正品と同一の出所を表示します。
よって、商標の出所表示機能が害されることはありません。
同じ商標が付されている商品は、同一の品質であると需要者は考えます。
これを、商標の機能の1つである「品質保証機能」と言います。

同じ商標(マーク)が付いた商品は、品質も同じだと認識します。これも商標の機能の1つです
真正品を購入して、そのままの状態で販売していれば、転売品の品質は、真正品と違いがありません。
よって、商標の品質保証機能も害されることはありません。
真正品をそのまま転売したとしても、出所表示機能も品質保証機能も害されることはありません。
つまり、商標の機能が害されないので、真正品をそのまま転売しても、商標法上、侵害には該当しません。

実質的に考えても、商標権者は、真正品が売れたことで、利益を得ています。
過度に商標権者を保護してしまうと、二重の利益を与えることになってしまいます。
なお、その他の法律や利用規約などで、違反となる可能性がありますので、そのような観点では、注意する必要があります。

真正品の転売行為は、原則、商標権侵害には該当しません!
転売行為が、例外的に、商標権侵害に該当するケース

どのような転売行為でも、商標権侵害に該当しないんですか?

例えば、以下の転売行為は、例外的に、商標権侵害に該当する危険性があるので、注意しましょう!
- 製品を小分けにして、転売する場合
- 製品を改変して、転売する場合

例えば、小分けにして、製品を販売すると、商標権侵害に該当する危険性があります。
なぜなら、開封することで、商品の品質が害される危険性があり、商標の品質保証機能が害されるからです。
マグアンプK事件(大阪地裁平成4年(ワ)第11250号)では、園芸肥料を小分けにして、再販した行為が、商標権侵害に該当すると判断されました。

製品を改変した場合も、商標権侵害に該当する可能性があります。
このような場合も、真正品とは同一ではなくなり、商標の品質保証機能が害されるからです。
過去の裁判例だと、スマートフォンのOSを改変して、再販売した行為が、商標権侵害に該当すると判断されました。

このように、何らかの手を加えた真正品を転売した場合には、商標権侵害に該当する可能性があります。

真正品の転売行為でも、何らかの手を加えて再販した場合には、商標権侵害に該当する可能性があるので、注意しましょう
転売行為と商標権侵害に関する「よくある質問」(FAQ)
説明した通り、商標の「出所表示機能」や「品質保証機能」を害さないため、商標法上、原則として侵害に該当しません。
また、商標権者は本来得られた利益(販売による利益)を得ているので、二重の保護は過剰と判断されます。
例外的に、以下のような転売は商標権侵害とされる可能性があります
- 開封・小分け販売:商品の品質が保たれず、品質保証機能を害する例として、「マグアンプK事件」で侵害と判断された事例あり
- 改変した商品の転売:スマートフォンのOS改変など、真正品と同一ではなくなる改変行為も品質保証機能を損ねると判断される可能性があります
利用規約による規制は商標法による規制とは異なります。つまり、規約違反であっても、商標法違反には必ずしも該当しません。
ただし、利用停止などのプラットフォーム制裁を受ける危険性はあります。
状態を保って販売すれば品質保証機能は害されず、商標侵害には該当しません。
ただし、視覚的包装の劣化や箱へのダメージなどがあると、品質に対する需要者の誤認が生じるおそれがあるため、掲載写真や説明には注意が必要です。
商標法上は真正品をそのまま転売している限り、侵害にはなりません。
ただし、営利目的で大量に転売するのは、ブランドイメージや流通ルールへの懸念からトラブルに発展しやすいため、慎重な対応が望ましいです。
【まとめ】転売行為が商標権侵害に該当するか、心配だったら、商標専門の弁理士に相談!
・真正品をそのまま転売したとしても、商標権侵害には該当しません
・商標権侵害に該当しない理由は、出所表示機能や品質保証機能などの商標の機能が害されることがないからです
・ただし、何らかの手を加えた真正品を転売した場合には、商標権侵害に該当する危険性があります
依然として、転売行為が商標権侵害に該当するか、心配な人もいるでしょう。
そのような方は、商標専門の弁理士に相談すれば、悩みを解消できます!

判断を誤ると、商標権侵害で訴えられるリスクがあります!
専門家と一緒に、慎重かつ詳細に検討すべきです。

筆者(角谷 健郎)にご相談いただければ、親身になって、一緒に検討した上で、あなたの不安を解消します!
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