株式会社セガ(知財功労賞(令和4年度)の受賞企業)の商標戦略

まとめ

・令和4年度の知財功労賞の商標部門で選べられた企業の1つが、ゲームで有名な「株式会社セガ」になります

・「UFOキャッチャー」や「プリクラ」などの登録商標について、普通名称化の防止策が評価されました

・その他、重要ブランドの国内外での商標権の取得及び権利行使、グループ全体の効率的な商標管理、商標業務の内製化なども評価されました

はじめに

あなたは、知財功労賞を知っていますか?

その名の通り、経済産業省と特許庁は、知財制度を有効に活用した企業を表彰しています。

特許・意匠・商標などの分野ごとに、毎年、企業が選ばれています。

令和4年度の商標部門で選べられた企業の1つが、ゲームで有名な「株式会社セガ」になります。

それでは、知財功労賞の受賞理由から、株式会社セガの商標戦略を検討していきます。

普通名称化への対策

以下の通り、「UFOキャッチャー」や「プリクラ」は、以下の通り、セガ社の登録商標になります。

(商登第4049951号)
(商登第4112941号)
(商登第4232768号)

これらの製品は、世の中に広く普及して、「UFOキャッチャー」や「プリクラ」の語が、普通名称のごとく、使用されるケースが多々あります

つまり、普通名称化して、商標権が空洞化してしまうリスクのある商標になります。

なお、普通名称化については、以下の記事で説明していますので、ご参照ください。

セガ社は、このような商標の普通名称化を防ぐため、使用や表記のガイドラインを作成していて、この点が、評価されました。

実際、インターネットで検索すると、セガ社の製品を紹介する記事に、「プリクラ」などが株式会社セガの登録商標であることが明示されています。

(ホームページ「FASHION TREND」より)

さらに、公式Twitterでも、「プリクラ」や「UFOキャッチャー」が、セガ社の登録商標であることを注意喚起しています。

セガ社は、商標制度を深く理解していて、UFOキャッチャーやプリクラなどが、普通名称にならないように、積極的に対応しています!

国内外での重要ブランドの保護

重要ブランドについて、グッズ販売やオンラインゲームの提供、映画化など、事業の変化に応じてポートフォリオを強化している点も評価されました。

例えば、「Sonic the Hedgehog」は、90ヵ国で、約1900件の商標で保護されているとのことです

「Sonic the Hedgehog」は、通称、「ソニック」で、以下のセガ社の看板キャラクターの名称になります。

(株式会社セガのホームページより)

さらに、セガ社は、権利行使を重視し、侵害品に対しては警告・訴訟など、外国も含めて、アグレッシブに対応しています

また、重要商標については、外国でも、異議申し立てを行っています。

つまり、セガ社の重要商標と同一もしくは類似する商標について、第三者が商標登録を取得するのを積極的に阻止しています。

国内だけではなく、外国での商標登録の取得や権利行使にも積極的です

グループ全体の商標管理と商標業務の内製化

セガ社の知的財産部の人員が、セガサミーホールディングス社の知的財産部を兼任しています。

なお、セガサミーホールディングス社は、大手パチスロ・パチンコメーカーのサミー社とセガ社が経営統合したことで、設立されました。

これにより、グループ全体の商標管理などを、より俯瞰的かつ効率的に行えると評価しています。

また、知的財産部は、新規事業の立案から関与して、商標調査や権利化を行っているようです。

商標業務を内製化して、大幅なコスト削減と知財スキル強化を図っている点も、評価されました。

セガサミーホールディングのグループの規模になると、国内外の商標の出願件数も膨大です。

自社で対応できることは内製化を図り、一方で、複雑な案件は弁理士に頼るといったメリハリが、重要です。

グループ全体で効率的に商標を管理・対応していて、コスト削減にも成功しています!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です