・観念(意味合い)は、商標の類否の判断要素の1つです
・商標審査基準を参考にしながら、観念上、商標を類似するか、検討しましょう
・判断に迷う場合には、できれば、商標専門の弁理士に相談することをお勧めします
商標の類否判断
以下の記事で、商標の類否判断基準について、紹介しました。
【商標の類否判断】重要!商標が似ているか、どう判断する?商標の類否は、商標から生じる外観・称呼・観念の3つの要素から判断します。
つまり、商標から生じる観念が同一であれば、商標が類似する可能性があります。
それでは、商標の観念が類似しているのは、どういった事例でしょうか?
観念とは、取引上、自然に想起する意味合い
まず、観念とは、商標に接する需要者が、取引上、自然に想起する意味又は意味合いを指します。
なお、商標審査基準によると、取引の実情に応じて判断します。
例えば、商標が外国語で、辞書等に特定の意味が掲載されていたとします。
しかし、需要者が、その意味を直ちに理解、認識し得ない場合、当該商標からその意味による観念は生じないと判断します。
つまり、日本人に馴染みのない言語やほとんど知られていない外国語の単語であった場合、辞書上の意味合いが認定されるとは限りません。
何らの観念も生じないと判断される可能性があります。
また、「白い」馬や「赤い」旗の図形のように、商標が色彩を有するときは、その部分からも観念を生ずることがあります。
それでは、具体的に、商標審査基準で提示している例を紹介します。
観念が類似する事例(商標審査基準より)
商標審査基準において、以下の商標の観念が、類似すると例示しています。
商標「 」と「 」
「でんでんむし」と「かたつむり」の語は、いずれも同じ意味を表すものとして一般に理解・認識されるからです。
一方で、以下の商標については、観念上、類似しないと例示しています。
商標「虫」と「 」
理由としては、「 」は、「虫」ではなく、「テントウムシ」と認識されるからです。
また、以下の商標についても、観念上、類似しないと示しています。
商標「 」と「 」
左の図形は、「ギター」と認識されます。
一方、右の図形は、「ヴァイオリン」と認されるので、観念が異なるからです。
さらに、以下の商標についても、観念上、類似しないと例示されています。
商標「EARTH」(指定商品:9類の「テレビ」)と「terre」(指定商品:9類の「テレビ」)
理由としては、指定商品「テレビ」に関する需要者は、フランス語に馴染みがないからです。
よって、フランス語「terra」から、「地球」の観念を生じず、両商標の観念が相違するからです。
なお、化粧品のように、フランス語が一般に採択されている分野もあります。
「化粧品」などが指定商品であれば、フランス語「terra」からの「地球」の観念が生じる可能性があります。
商標が類似するか、判断に迷ったら、弁理士に相談!
商標の観念が類似するか、判断に迷うこともあるでしょう。
その場合には、できれば、弁理士に相談することをお勧めします。
商標が類似するか、専門的な知識が必要なので、弁理士の中でも、商標専門の弁理士に相談するのが望ましいです。
筆者(すみや商標知財事務所)にご相談いただければ、親身になって、一緒に検討します。
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