【会社名の商標登録】商標登録する区分の決め方!

ビジネス上、会社名は重要で、多くの会社が、自分の会社名を商標登録しています。

商標登録する際に迷うのが、商標登録する区分です。

以下のような人に読んでほしい!

・会社名の商標登録を検討している人

・どの区分で会社名を商標登録すべきか、迷っている人

・コスパよく、会社名を商標登録したい人

この記事を読めば、会社名の商標登録における区分の決め方が分かります。

また、他社の商標登録例を提示するとともに、区分を決める際の注意点も教えます。

目次

  1. 区分とは、商品・サービスのカテゴリー
  2. 「会社名」という商標登録の区分は存在しない!
  3. サービスを提供している場合、35類~45類で会社名を商標登録
  4. 商品を販売している場合、1類~34類で会社名を商標登録
  5. 小売業・卸売業を営んでいる場合、35類で会社名を商標登録
  6. 会社名の商標登録での区分選びの2つの注意点
  7. 【注意】会社名の商標登録の区分の数が増えれば、費用も増加
  8. 会社名の商標登録で区分に迷ったら、商標専門の弁理士に相談!

区分とは、商品・サービスのカテゴリー

商標登録の願書には、区分を記載する必要がありますが、そもそも区分とは何でしょうか?

簡単にいえば、区分は、商品・役務(サービス)の属するカテゴリーです

区分は、1類~45類で、全部で45個に分かれています。

虎さん
虎さん

1類~34類は商品の区分で、35類~45類は役務(サービス)の区分です

各区分の商品・サービスをざっくりと紹介すると、以下のリストの通りです。

1類化学品16類紙、紙製品、事務用品31類生きている動植物
2類塗料、着色料17類電気絶縁用などの材料32類アルコールを含有しない飲料、ビール
3類洗浄剤、化粧品18類革、旅行用品、馬具33類ビールを除くアルコール飲料
4類工業用油、工業用油脂、燃料、光剤19類金属製でない建築材料34類たばこ、喫煙用具、マッチ
5類薬剤20類家具35類広告、事業の管理、小売・卸売
6類卑金属、その製品21類家庭用品、化粧用具、ガラス製品36類金融、保険、不動産の取引
7類加工機械22類ロープ製品、織物用の原料繊維37類建設、設置工事、修理
8類手動工具23類織物用の糸38類電気通信
9類科学用、電気制御用などの機械器具24類織物、家庭用の織物製カバー39類輸送、旅行の手配
10類医療用機械器具、医療用品25類被服、履物40類物品の加工その他の処理
11類照明用、加熱用などの装置26類裁縫用品41類教育、娯楽、スポーツ、文化活動
12類乗物その他移動用の装置27類床敷物、織物製でない壁掛け42類コンピューター、ソフトウェアの開発
13類火器、火工品28類玩具、遊戯用具、運動用具43類飲食物の提供、宿泊施設の提供
14類貴金属、宝飾品、時計29類動物性の食品、加工食品44類医療、美容、農業のサービス
15類楽器30類植物性の加工食品、調味料45類冠婚葬祭、警備、法律のサービス

区分は、1類~45類の計45個あり、事業内容に応じて、商標登録する区分を決定します。

虎さん
虎さん

お客様に商標出願のご依頼を頂いたら、入念にヒアリングして、十分に検討・相談した上で、商標登録する区分を決めています!

「会社名」という商標登録の区分は存在しない!

区分は、商品・サービスのカテゴリーで、商標登録する区分の数によって、費用が変動します。

「会社名」というような区分はありません。

よって、「その商標(会社名)をどのような商品・サービスに使うか」に基づいて区分を決めます。

会社名の場合、基本的には「その会社で取り扱う全ての商品・サービス」について使う可能性があります。

よって、会社で取り扱う商品・サービスを網羅的に商標登録するのが基本です

サービスを提供している場合、35類~45類で会社名を商標登録

35類~45類が、サービスに関する区分です。

何らかのサービスを提供しているのは、これらの区分から選びましょう。

いくつか、具体例を出しながら、商標登録すべき区分を説明します。

飲食業を営む会社の名称の商標登録の区分(43類)

「飲食物の提供」などが属する43類で、商標登録すべきです。

例えば、以下の通り、飲食業を営む会社が、43類で、自分の会社名を商標登録しています。

なお、松屋フーズホールディングスは、牛丼チェーンの松屋などを運営しています。

(松屋フーズの公式ホームページより)

また、コロワイドは、焼肉チェーンの牛角などを運営しています。

(牛角の公式ホームページより)

クリーニング業を営む会社の名称の商標登録の区分(37類)

「洗濯」や「被服のプレス」が属する37類で、商標登録すべきです。

例えば、「ホワイト急便」の運営会社は、自社の社名「日本さわやかグル-プ」(商登第3043977号)を、37類で商標登録しています。

(ホワイト急便の公式ホームページより)

美容院を営む会社の名称の商標登録の区分(44類)

「散髪」、「頭髪の染毛」や「美容」が属する44類で、商標登録すべきです。

例えば、美容サロンを運営している「株式会社Neolive」は、44類で、「」(商登第4652584号)を商標登録しています。

(Neoliveの公式ホームページより)

ホテル業を営む会社の名称の商標登録の区分(43類)

「宿泊施設の提供」が属する43類で、商標登録すべきです。

例えば、リゾートホテルなどを運営している「株式会社星野リゾート」は、43類で、「星野リゾート」(商登第5760347号)を商標登録しています。

(星野リゾートの公式ホームページより)

商品を販売している場合、1類~34類で会社名を商標登録

1類~34類が、商品に関する区分です。

会社が自社の商品を販売している場合には、これらの区分から選びましょう。

自動車メーカーの会社名の商標登録の区分(12類)

例えば、自動車メーカーの場合、「自動車」が属する12類で商標登録すべきです。

実際、大手自動車メーカーのトヨタ自動車は、12類で、「」(商登第2666249号)を商標登録しています。

(トヨタ自動車の公式ホームページより)

アパレル会社の会社名の商標登録の区分(25類など)

ファッション関連アイテムには様々なものがあり、その性質や用途、素材によって、複数の区分に分かれます。

その中でも、アパレル業では、被服、履物、帽子などが含まれる「25類」が、メインの区分です

その他に、例えば、以下の区分(特に18類)もカバーすることが考えられます。

  • 26類(頭飾品 など)
  • 3類(香水 など)
  • 9類(サングラス、眼鏡 など)
  • 14類(時計、身飾品 など)
  • 18類(バッグ など)
  • 24類(ハンカチ、タオル など)

小売業・卸売業を営んでいる場合、35類で会社名を商標登録

あらゆる商品の小売業・卸売業が、35類に該当します。

よって、他者の商品を販売している場合、35類での商標登録すべきです。

例えば、以下のような場合、35類で、商標登録することが考えられます。

  • スーパーやコンビニ
  • 家電量販店
  • セレクトショップ
  • 他社製品を取り扱うオンラインショップ

なお、35類の小売等役務については、以下の記事で詳しく紹介しています。

商標法上の「小売等役務」の概要など、分かりやすく紹介!

スーパーやコンビニの運営会社名の商標登録の区分(35類)

スーパーやコンビニなどの運営会社の名称であれば、35類で商標登録します。

実際、以下のようなスーパーの会社名は、35類で商標登録しています。

なお、ライフコーポレーションは、スーパー「LIFE」を運営しています。

トクバイニュースより)

家電量販店の運営会社名の商標登録の区分(35類)

家電量販店も、基本的には、自社製品を販売せず、他社の家電などを取り扱っています。

そのため、家電量販店の運営会社の名称であれば、35類で商標登録します。

実際、以下のような家電量販店の会社名は、35類でも商標登録しています。

なお、上新電機は、家電量販店「Joshin」を運営しています。

(Joshinの公式ホームページより)

セレクトショップの運営会社名の商標登録の区分(35類)

セレクトショップでは、厳選した他社の商品を取り扱っています。

例えば、シップス、ビームス、ユナイテッドアローズなどです。

そのため、セレクトショップの会社名の場合、35類で商標登録すべきです。

他社製品を取り扱うオンラインショップの商標登録の区分(35類)

Amazonや楽天市場のように、他社製品を取り扱うオンラインショップは、多数、存在します。

オンラインによる小売業も、35類に含まれるので、オンラインショップの運営会社の場合も、35類で商標登録すべきです。

例えば、総合ショッピングモール「楽天市場」を運営している楽天グループ株式会社です。

(楽天市場の公式ホームページより)

楽天グループ株式会社は、35類などで、商標「楽天グループ」(商登第6521976号)を登録しています。

会社名の商標登録での区分選びの2つの注意点

会社名の商標登録をお手伝いすると、お客様が間違えやすい点があります。

以下、特に間違えやすい点を、2つ紹介します。

  • 商品とサービスの区分、どちらもカバーすることもある
  • 看板やチラシに店名を書く場合でも、「看板」や「印刷物」をカバーする必要なし

商品とサービスの区分、どちらもカバーすることもある

商品とサービスの区分、どちらもカバーする必要があることもあります。

例えば、マクドナルドなど、テイクアウトも行う飲食店の場合です。

店内で飲食できるので、サービスの区分の43類(「飲食物の提供」など)で商標登録すべきです。

一方、テイクアウトして、店外で飲食することもできます。

商品の販売にも該当するので、商品の区分の30類(ハンバーガー)などでも商標登録すべきです。

初心者くん
初心者くん

1件の商標登録で、複数の区分をカバーできるんですね

虎さん
虎さん

1件の商標登録で、複数の区分をカバーできます。ただし、区分数が増えれば、その分、商標登録に掛かる費用も増加します

商品とサービスの区分、どちらも商標登録している例

例えば、大手ハンバーガーチェーンのモスバーガーです。

(モスバーガーの公式サイトより)

モスバーガーは、店内での飲食の他に、テイクアウトで商品を販売しています。

そのため、以下の通り、「モスバーガー」の商標登録(商登第5408139号)は、サービスの区分の43類の他に、30類などの商品の区分もカバーしています。

  • 29類(フライドポテト など)
  • 30類(ハンバーガー など)
  • 32類(バニラシェーク など)
  • 43類(飲食物の提供 など)

名刺や会社案内に会社名を書く場合でも、「印刷物」をカバーする必要なし

名刺や会社案内に会社名を記載します。

その場合、商品「印刷物」を商標登録でカバーすべきでしょうか?

答えは、商標登録でカバーする必要がありません

「名刺」や「会社案内」を販売しているわけではなく、ビジネスのために使用しているに過ぎないからです。

虎さん
虎さん

実際、多くのお客様が勘違いする点なので、要注意です!

【注意】会社名の商標登録の区分の数が増えれば、費用も増加

会社名の商標登録の区分の数を増やす程、様々な商品・サービスをカバーできます。

しかし、区分の数が増える程、会社名の商標登録の費用が増額するので、注意です。

会社名の商標登録の費用は、区分の数で決まる!

商標登録の願書を特許庁に提出する際に、併せて、特許庁に費用(印紙代)を支払う必要があります。

つまり、出願時に掛かる印紙代は、「12,000円(1区分目)+8,600円×追加の区分数」です。

また、登録時にも、特許庁に支払う印紙代が掛かります。

なお、登録料の納付方法は、10年分一括と5年分分割を選ぶことができ、印紙代は、各々、以下の通りです。

10年分一括(10年分の費用):32,900円×区分数

5年分分割(5年分の費用):17,200円×区分数

虎さん
虎さん

弁理士の依頼した場合、弁理士の手数料も、原則、商標登録する区分の数で変動します!

なお、会社名の商標登録に掛かる費用について、以下の記事で、詳しく紹介しています。

【会社名の商標登録の費用】概算、相場や節約方法を紹介!

費用対効果を意識すべき!

区分を1つ増やすだけで、商標登録に掛かる費用が、数万円、増加します。

特に、設立したばかりの会社で、予算が限られている場合、商標登録の費用を抑えることが重要です。

場合によっては、商標登録する区分の数を制限して、コスパ良く商標登録を取得しましょう。

例えば、販売可能性の低い商品の区分については、商標登録を見送れば、コストを抑えられます。

虎さん
虎さん

商標登録を見送った商品の区分についても、追加で商標出願すれば、保護することができます!

会社名の商標登録で区分に迷ったら、商標専門の弁理士に相談!

実際に、会社名を商標登録しようと思ったら、どの区分で商標登録すべきか、迷うこともあるでしょう。

商標登録する区分に迷ったら、商標専門の弁理士に相談しましょう。

筆者(すみや商標知財事務所)に相談いただければ、親身になって、一緒に検討します!

弁理士歴12年以上の商標専門の弁理士

まとめ

・何らかのサービスを提供している場合、35類~45類から選びます。商品を販売している場合、1類~34類から選びます。また、小売業などは、35類です

・商品とサービスの区分、どちらもカバーすることもあります。また、名刺や会社案内に会社名を書く場合でも、商標登録で、「印刷物」をカバーする必要はありません

・商標登録する区分の数が増える程、商標登録の費用が増額します。予算を考慮した上で、コスパ良く、店名を商標登録しましょう

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