【商標登録できないもの】極めて簡単で、かつ、ありふれた図形

まとめ

・特徴のない、単純なデザインの図形は、特許庁の審査で拒絶される可能性が高いです

・しかし、シンプルなデザインでも、ありふれたものでなければ、商標登録になる可能性があります

・商標登録になるか、判断するのが、難しいケースがあります。そのようなケースに直面したら、弁理士(できれば、商標専門の弁理士)に相談しましょう

「極めて簡単で、かつ、ありふれた」図形は、原則、商標登録できない!

図形を商標出願することは、よくあります。

図形には、構成要素の多い、複雑なものがある一方、構成要素の少ないシンプルなデザインもあります。

それでは、特徴のない、単純なデザインの図形は、商標登録できると思いますか?

結論から言えば、そのような図形は、基本的には、特許庁の審査で拒絶される可能性が高いです

ただし、図形によっては、商標登録できる可能性があります。

正直、商標登録できるか、判断が難しいケースもあります。

商標法の条文をチェックします。

商標法第3条では、商標登録の要件を規定しています。

同条第1項第5号において、以下の商標は、原則、登録できない旨、規定しています。

極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標

出願した図形が、「極めて簡単で、かつ、ありふれた」ものであれば、原則、商標登録できません。

よって、特徴のない、単純なデザインの図形は、商標出願したとします。

その図形が、極めて簡単で、かつ、ありふれていると審査官が判断すると、商標出願が拒絶されます。

「極めて簡単で、かつ、ありふれた」図形が商標登録できない理由

それでは、「極めて簡単で、かつ、ありふれた」図形が、なぜ商標登録できないか、分かりますか?

「極めて簡単で、かつ、ありふれた」図形は、誰でも、使用したいです。

商標登録を認めて、独占的な権利を与えると、他の人が使用できなくなります。

よって、このような図形を、一私人に、独占的に使用させるのは、好ましくありません

また、ありふれた図形は、多くの人が使用するので、誰の商標か、分かりません。

つまり、商標として、機能しない可能性が高いです

このような理由から、極めて簡単で、ありふれた図形は、原則、商標登録できない旨、定めています。

虎さん
虎さん

商標権は、強力な権利です!商標登録を認めると、その他の人は使えなくなるので、特許庁は慎重に判断します

「極めて簡単で、かつ、ありふれた」とは?

「極めて簡単で、かつ、ありふれた」図形は、原則、商標登録できません。

それでは、「極めて簡単で、かつ、ありふれた」図形とは、どのような図形を指すのでしょうか?

「極めて簡単で、かつ、ありふれた」図形について、検討していきます。

商標審査基準の記載

まずは、商標審査基準をチェックしましょう。

商標審査基準では、以下のような図形が、「極めて簡単で、ありふれている」と例示しています。

1本の直線、波線、輪郭として一般的に用いられる三角形、四角形、丸、ひし形、ハート、盾などの図形

審査基準によると、三角形、四角形やハートマークなどが、該当します。

よって、以下のような図形は、商標登録できない可能性が高いです

過去、特許庁が拒絶した事例

次に、実際の審査事例を確認しましょう。

以下の商標が、審査において、「極めて簡単で、ありふれている」と判断されました。

商願2002-55753号
国際登録938040

なお、出願人は、審査結果に不満があり、審判でも争いました。

しかし、判断は覆らずに、最終的に、拒絶されました。

特徴のない、単純なデザインの図形が、拒絶される可能性があることは、このような拒絶例からも分かります。

過去、特許庁が登録を認めた事例

一方で、特徴を加えると、「極めて簡単で、ありふれている」図形には、該当しません。

例えば、以下のような商標が、審判で争った結果、商標登録が認められました

商登第5791747号
商登第5686372号
国際登録794705
商登第5268441号
商登第5261038号

これらの図形は、構成要素も少なく、シンプルなデザインです。

しかし、形状に少し特徴を加えることで、ありふれたものではないと判断されました

虎さん
虎さん

いずれもシンプルなデザインですが、審判まで争うことで、最終的に商標登録になりました

「極めて簡単で、かつ、ありふれた」図形か、判断に迷ったら、弁理士に相談!

特徴のない、極めて、単純な図形は、商標登録できない可能性が高いです。

しかし、極めて単純な図形でも、ありふれていなければ、商標登録になります。

ありふれたデザインかどうか、なかなか線引きできない場合があります。

つまり、商標登録できるかの判断が、難しいケースがあります。

そのようなケースに直面したら、弁理士に相談することをお勧めします。

できれば、豊富な知識・経験がある商標専門の弁理士が、望ましいです。

なお、筆者(すみや商標知財事務所)にご相談いただければ、親身になって、一緒に検討します。

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